公認心理師試験 事例問題対策⑤
公認心理師試験は第4回までが行われ、第5回は7月に行われますが、研修センターによれば、1月中には正確な情報が出るようです。おそらくはブループリントもそのあたりに出ると思われます。いよいよ本番が見えてくる時期になりました。Gルートの方は、最後ですので、しっかり準備をしたいところです。試験勉強で有効な手段は問題を解くことであることはこちらでも述べました。もちろん模試は有効手段ですが、他にも過去問もうまく使うと大きな効果を発揮します。過去問は北海道試験を入れると5つありますので、立派な教材と言えます。
北海道試験問78
公認心理師の秘密保持義務違反になる行為として、正しいものを1つ選べ。
① クライエントの同意を得て裁判所で証言する場合
② 養育者による虐待が疑われ児童相談所に通告する場合
③意識不明のクライエントの状況について配偶者に説明する場合
④ クライエントのケアに直接関わっている専門家同士で話し合う場合
⑤ 通院中のクライエントのきょうだいから求められ病状を説明する場合
これは解答は⑤となっています。その解説も大切ですが、①から④が「不正解」であることも重要なのです。不正解の選択肢にも大きな意味があるケースがあります。公認心理師の守秘義務は意外と難しいですので、過去問のこういった不正解は少なくとも、これからの公認心理師の守秘義務において、「これは違う」という勉強になります。
北海道試験問16
初回面接でのクライエントとの関わりにおいて必要な態度として、最も適切なものを1つ選べ。
①ラ ポール形成のために、早急な助言を控える。
② クライエントの主観的現実よりも客観的事実を重視する。
③ クライエントの言葉に疑義を挟まず、そのままの言葉を返す。
④ 主訴と状況を早く理解するために、できるだけ多くの情報を得る。
⑤ クライエントが主訴とその状況を話しやすいよう、定型の質問を準備しておく。
これは公認心理師法に基づくわけではありませんが、心理的な支援者の姿勢としては、公共が認識する基準になると考えられます。こういった問題は国がこれが正解と言えば、それが正解になってしまいますので、もしかすると、異論反論を持っている人もいると思いますが、あまり反映されません。
正解は①となっています。
「初回面接」が最も重要なキーワードになるので、いろいろ調べておく必要があります。①は間違いであろうはずはありませんが、個人的には④が絶対違うのはどのあたりなのかな、と疑問を持ってしまいます。「早く」くらいでしょうか。急ぐ必要は特にはありませんし、クライエントにもペースがあるでしょうから、そちらの方が大事でしょう。多くの情報は得られる場合もあれば得られない場合もあるでしょうから、グレーになりますし、①と比べたら見劣りするのかな、といった印象です。こうやって正解があると、他がなぜ違うのかという理由を考えますので、それだけでも勉強にはなります。
北海道試験問17
バーンアウトについて、正しいものを1つ選べ。
① バーンアウトの中核的な特徴は不安である。
② バーンアウトが最も多い職種は生産技術職である。
③ バーンアウトを初めて提唱したのは C. Maslach である。
④ バーンアウトした人は他者に対して無関心になりやすい。
⑤ バーンアウトにおける情緒的消耗感とは自分への不信や疑惑が生じる状態を指す。
正解は④となっています。この問題はバーンアウトの基準としての国の考え方がわかる問題になっています。とは言え、④だと、これが違うというところは探しにくいので、ある意味ではサービス的な問題にも思えます。ですからむしろ、他の選択肢から勉強を深めた方が良い問題と言えます。
バーンアウトは通常「燃え尽き症候群」と言います。最近は産業分野でも言いますが、もともと、研究として多いのは、医療、看護、教師、こういった分野の人々が陥りやすいとされています。だから②はちがうのかなと思えます。
これを提唱した人は有名なFreudenberger(フロイデンバーガーくらいのカタカナ読みでしょうか)ですので③も違うかなと言えます。また燃え尽きというくらいですから
「Maslach& Jckson(1981)のMaslsch Inventoryが提唱したバーンアウトの定義が「長期間にわたり人に援助する過程で心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群であり、自己卑下、仕事嫌悪、関心や思いやりの喪失んどを伴う症状」(上野・佐藤, 2010)との定義からすると、①はないかなとなります。ここから④が正解とある程度導き出せます。
また⑤の情緒的消耗感はバーンアウトの論文には必ず出ます。これも上の定義で説明がつきます。特に「長期間にわたり人に援助する過程で心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群」からすると、やはり⑤はちがうかなと思えます。
このような形で勉強すると、バーンアウトの勉強になります。
北海道試験問20
非行について、正しいものを1つ選べ。
① 校内暴力は中学校と高等学校で増加傾向にある。
② 非行少年とは触法少年、虞犯少年及び不良行為少年の3つをいう。
③ 少年鑑別所は非行に関する親や学校からの相談や非行防止への援助の業務を担う。
④ 児童相談所は家庭裁判所から送致を受けた少年を児童自立支援施設に措置することはできない。
⑤ 非行少年は家庭裁判所での審判を受け、保護観察又は少年院送致のいずれかの保護処分を受ける。
解答は③となっています。
問題を見た瞬間、無茶ぶりも甚だしいと思いましたが、これから公認心理師試験の勉強をする人は是非見ておくべき問題といえます。要するにこのケースでは非行の定義です。非行の問題はよくでます。もちろんブループリントにもありまし、たから、当然次年度も勉強しておくべき事柄です。当塾の教材にももちろんありますが、非行というワードは、教育・学校心理学と司法・犯罪心理学の分野で扱われるのが通常です。まずは後者の方から見るのが妥当です。以前にも書きましたが改正少年法はしっかり見ておくことと、「非行少年」の定義を覚えることが重要になります。
非行少年の定義はこちらで以前書きました。それからすると、②は消えます。
文科省の報告によれば、校内暴力は小学校では増えていますが、中高では減少傾向にありますので、①も消えます。
④が難しいのですが、主語が児童相談所になっていることが重要で、家庭裁判所は児童自立支援施設に措置することはできます。その家庭裁判所から送致された人を児童相談所が自立支援施設に措置できるかどうかどいう問題です。児童福祉法がポイントです。
このページを参照しました。
(1) 非行少年に関する福祉の措置
都道府県知事又は指定都市の市長は,警察,学校及び一般の人々から通報のあった非行児童に対して,児童福祉法(昭22法164)第27条第1項の規定に基づき,次のような措置を採ることとなっている。
ア 児童又はその保護者に訓戒を加え,又は誓約書を提出させること。
イ 児童又はその保護者に対して児童福祉司等による指導を行うこと。
ウ 児童を児童自立支援施設等の児童福祉施設に入所させること。
エ 家庭裁判所の審判に付することが適当であると認められる児童は,これを家庭裁判所に送致すること。
これらの措置を採るに当たっては,児童相談所において医学的診断,心理学的診断,家庭等の環境調査等が行われ,児童福祉の見地から総合的な判定がなされている。
以上からすると、児童相談所も自立支援施設に措置ができると言えます。
⑤は比較的わかりやすく、このページによれば、
家庭裁判所は,非行少年に対する調査・審判を行い,非行事実の有無について判断するとともに,再非行防止の観点から,その少年にとって適切な処遇を決定する。そのため,家庭裁判所調査官がその少年,保護者又は関係人の行状,経歴,素質,環境等について医学,心理学,教育学,社会学等の専門知識を活用して行った調査結果や,少年鑑別所の行った鑑別結果等を総合的に考慮して,適当と認める保護処分(少年院送致,保護観察所の保護観察及び児童自立支援施設又は児童養護施設送致)に付するほか,犯行時14歳以上(平成13年3月31日以前は処分時16歳以上)の少年に係る禁錮(こ)以上の刑に当たる罪の事件について,刑事処分を相当と認めるときは,検察官に送致することとなる。
以上からすると、⑤も消えることになります。
これらの知識を入れておくのはかなり困難ですが、今からなら勉強する時間がありますので、必ず勉強しておくべき問題です。
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