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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

世知辛い

2021年10月20日

テーマ:雑感

コラムカテゴリ:スクール・習い事

この記事を読んで、なんと世知辛いことか・・と感じました。

大学院工学研究科の教授が平成30年度に実施された博士後期課程選抜の筆記試験で、自らも作成にかかわった問題の出題範囲について、複数の受験生に対し事前に示していたと発表した。教授が出題した問題を除いても受験者全員が合格しており、合否に影響はなかった。大学は処分を含めて対応を検討している。
京大によると、教授は試験の1~2カ月前、希望する研究内容とのミスマッチを防ぐために受験者と面談する場で、具体的な科目名を伝え、試験に出題される可能性があることを示した。試験には示唆した範囲が一部含まれていた。
大学の調査に教授は「進学までに絶対勉強してほしいという趣旨で伝えたが、結果的に示唆することになった」と説明したという。

こんなニュースですが、程度によるとは思いますが、この記事だけでは正直何が悪いのかがわかりません。不公平があって、合否に影響があった、あるいは、あきらかに合格の力のない特定の人が、事前情報の漏洩で合格した。コネクションがあって、不適切な人が合格して、本来の合格者が落ちた。試験を作る教授が、特定の学生のために有利な試験問題を作る、試験を作っていない教授が、事前に問題を合格させたい人に漏洩する・・などなど無数にありますが、実際にあったとは言いませんが、こういったことは確かに良くはありません。それは教授に不公平をしようという意図が明確にあるからです。しかし、実際はわかりませんが、記事からだけだと、それはわかりません。大学院受験は、研究科ごとに問題が違います。まして理系、博士課程ともなると、もっと細分化されますから、相当にピンポイントで出題されます。こういった学科は、「教授が欲しいと思う学生」を採るのが当たり前です。この「欲しいの基準」は日本に限ったことではないものの、曖昧と言えばそうです。だから学科試験があり、可能な限り客観的な基準を設けるわけです。その学科で不公平をしようとする意図があれば、確かに良くはありませんが、仮に本件のこの先生に不公平の意思があるなら、面接で不合格にすればいいわけです。学科に関係なく不合格にすることはよくありませんが、先生のその意思と意図が証明されれば、記事にすべきかもしれません。記事では受験者全員が合格していると書いています。この全員が何を意味するのかもよくわかりません。事前面接をした全員なのか、不合格者がいなかったということなのか、曖昧です。
こういった記事が出て、大学が謝罪する・・といったことは時々ありますが、では、一体どうしろ、と言っているのでしょうか。事前面談をしないことが公平だと言っているのか、事前面談までして、試験に関することを、先生が何も言えないなら、そもそも事前面談をする意味が先生にも学生にもありません。学生は合格したいわけですから、当然聞きたいと思います。不公平がない前提ならば、先生だって、せっかく来た学生に手ぶらで帰すのも申し訳ないと思う、人のいい先生もたくさんいます。言える範囲で(ここも曖昧ですが)、勉強すべき範囲を言うことは、普通のことだと思います。仮に研究室訪問に来た学生に「私の本で勉強しておいてよ」と言って、そこから出たら「アウト」と言っているわけです。少なくとも私には理解不能の記事です。
こんなことが記事になるなんて・・何を考えて書いているのだろという疑問しかわきません。
昔、子どものころに、豆腐屋のおばちゃんと仲良くしてて、よくおからをもらっていたのですが、それを見た別のおばちゃんが、「それやったら、私にもおからちょうだいよ!」と怒鳴り込んできて、それから「ごめんな、もうあげられへんわ」と申し訳なさそうな顔をされたことを思い出しました。そのレベルの話が記事になって、その豆腐屋が叩かれたのと同じように感じます。

豆腐屋のおからとか、サンドイッチ用のパンの耳は当時はグレーゾーンだったのですが、「良かれと思って好意を向けてくれたことが仇になる」・・かえって公平と不公平が難しくなる・・世知辛い嫌な世の中です。それをメディアが煽り、そのメディア禍が大学院教育にまで干渉していることに危機と恐怖を覚えます。こういう異常者メディアが日本の大学院教育をこんなことにするのです。政治禍と同じで反省などしないでしょうが、せめて記事を書くときはもう少し深く考えて、多少なりとも頭を使って、しっかり取材して書くべきでしょう。



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