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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

あらためて臨床心理士の就職

2021年4月25日

テーマ:臨床心理士になるには

コラムカテゴリ:スクール・習い事

第4回公認心理師試験が9月19日に行われます。あと2回の試験で公認心理師を取っていない臨床心理士がどのくらいいるのか、明確な数字はありませんが、公認心理師の登録はおそらく第3回試験の合格者を含めると4万人程度になると考えられます。臨床心理士資格認定協会のホームページによると令和2年時点で臨床心理士は38,397とのことですから、数字上ではほとんどの臨床心理士が公認心理師の資格も保持していると考えられます。しかし、実際はそうでもないようです。第1回試験では1、D2ルートと北海道と併せて15000人強が合格しています。第2回試験はD1が1879人とD2が1253人第3回試験ではD1ルートが 798人、D2が516人合格ですから合計すると、ほぼ20000人ということになります。ただし、Eルートも出てきましたし、Gルートで受けた臨床心理士も少なからずいますので、20000人を超える程度が今のところダブルライセンス保持者と見込んで良いでしょう。意外にも少なく見積もっても15000人以上、半数近くの臨床心理士が公認心理師の資格を取っていないということになります。
今のところ、就職に強いのはダブルライセンス保持者と言われています。雑誌『公認心理師』の編集会議に参加させていただいていますが、これは偉い先生方の一致した見解でもあります。

先日も紹介しましたが、協同出版『季刊 公認心理師』春号(通巻5号)に、心理職の仕事について書きました。次号にも掲載する予定ですので、是非ご覧いただきたいと思います。心理職はよく「食べていけない」といったネガティブな話を聞きますが、当塾の生徒さんの動向を聞くに、あまり食べて行けていないという人はいないようです。そうは言っても、臨床心理士の就職問題は重要な問題で、私たちも常に意識していることです。もちろん大学の先生方もそうだと思います。現実問題として、常勤職につく人は少ないと思います。私の印象では、あえてつかない人の方が多いと思います。ほとんどが非常勤か嘱託で週4勤務といった形態をとっています。一つのところで、安い給料で、拘束されるよりは、複数の現場に行った方が自由が効きますし、スキルアップにつながるという人の方が多いという印象です。
以前、京都光華女子大学に取材させていただいた際も、臨床心理士が結構幅広く就職していることがわかりました。自衛隊にも就職しているそうです。今、自衛隊ではメンタルケアが求められていることはよくわかります。そういった「公」の仕事は、これから公認心理師が担うことも増えてくるでしょう。

これから公認心理師になりたいと思う人も、臨床心理士との兼ね合いをどうするか、臨床心理士資格取得後、どんな仕事ができるのかということはとても気になるところだと思います。「臨床心理士、就職」などと検索をかけると、様々な見解が出てきます。個人が身につけたスキルで仕事も収入も差が付くというのは、どの世界でも同じですが、そのため、まず個々がスキルアップを意識することが大切であることは間違いありません。このような職種は一生勉強をしていかないといけない職種です。当塾からも臨床心理士になった人はたくさん出ました。みなさん、仕事が決まると、よく報告してくれますので、だいたいどういった職場で働いているか把握することができます。当塾出身者の臨床心理士がどんな職場で働いているのかについて言えば、常勤職としては、公務員の心理職や病院です。今年度の4月から病院に入ったという人もいます。公務員の場合は、自治体の地方公務員試験を経て、自治体職員になります。児童相談所、精神保健福祉センターに配置されています。県庁などで女性の悩み相談を受けている人もいます。児童相談所では、児童の心理検査、心理評価、相談、知能検査などを行っています。虐待の一時保護に行くこともあるそうです。精神保健福祉センターで勤めている人は、相談者のメンタルヘルス、精神障害者の社会復帰支援などを行い、PSWの業務と重なる点もあります。特徴的なのは、引きこもりの人への支援などもしていると聞きます。決して楽な仕事ではありませんが、やりがいのある仕事と聞いています。また、役所ですので生活の安定は保証されることが良い点です。

その他、スクールカウンセラーとして、6校(中学校と高校)で勤務。 勤務時間は各学校によって違う。おおよそ1校につき80時間~140時間程度。合計600時間程度で時給5000円のため、SCのみで年収300万程度、という人もいます。臨床心理士になると、まずスクールカウンセラーになることを考える人は多いと思いますが、このくらいの収入になる人は複数知っています。これだけで十分な収入とは言えないかもしれませんが、割合で考えると悪くはないと思います。
また市教育相談センター:1日5時間勤務(1時間休憩を含むため拘束は6時間)で日給27500円。年に40回勤務。年収110万程度。こんな仕事をしている人もあります。
大学心理臨床センター:1日8時間勤務。日給20000円。年に45週程度勤務のため年収は90万程度。私の周囲ではこの仕事をしている人は多いです。当塾の講師で国公立大学で、勤務している人もいます。また上記を一人でこなしている強者もいます。合計500万程度の年収になるでしょうか。 今の時代、資格が収入をくれるわけではありません。これは公認心理師でも同じことです。また資格があれば椅子に座っていても年収1000万円くらいもらえますかと、本気で質問されたこともありますが、今の時代は無理だと思います。資格はあって当たり前の時代になりつつあります。その資格をどう使うかが課題です。その知恵さえあれば、臨床心理士は非常によい選択になると思います。これから保険点数がつけば、公認心理師の仕事の幅は一気に拡大すると思います。まだまだこれから成長していく職種になっていくと思われます。



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