ケースフォーミュレーション
認知症はここまで行われてきた公認心理師試験においてとても重要なトピックであることは間違いありません。
第2回試験問36Alzheimer型認知症の患者に対して公認心理師が実施するものとして、不適切なものを1つ選べ。
①ADAS
②回想法
③COGNISTAT
④ケアプラン原案の作成
⑤認知症ケアパスへの参加
不適切を選ぶ問題は意外に迷います。①は尺度ですけど、これを公認心理師が実施すると言っているなら適切です。②は多分深く考えなくても適切です。あまり考えすぎるとかえって失敗しそうです。③は認知機能検査ですから①と同様でしょうか。④か⑤で悩みます。正解は④です。⑤は厚労省が認知症ケアパス作成のための手引き というものを出しており、そこに
1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及
というものがあります。そこに
④ 行動・心理症状等が原因で在宅生活が困難となった場合の介護保険施設等での対応
があり、そう考えると、⑤は適切になるかと思われます。単語を選ぶのにかなりの労力です。
北海道試験の問25
認知症について、正しいものを1つ選べ。
という問題が出ました。9月9日試験でも認知症は結構出たという印象があったのですが、ブループリントを見ると、4カ所で認知症が出ています。
12 発達 (5)高齢者の心理社会的課題と必要な支援 の小項目「認知症」
16 健康・医療に関する心理学の小項目「 認知症高齢者 」
17 福祉に関す る心理学 の小項目「 認知症」
同じく17の中項目の「(3)虐待、認知症に関する必要な支援」
ブループリントで複数箇所言及されているワードは当然出る確率は高くなります。問題の選択肢は以下の通りです。
① Lewy 小体型認知症は幻聴を特徴とする。
②Alzheimer 型認知症は感情失禁を特徴とする。
③ 血管性認知症は抑うつやせん妄が生じやすい。
④前頭側頭型認知症では初期から記憶障害が著明である。
⑤ Creutzfeldt-Jakob 病は他の認知症に比べて進行が緩徐である。
正解は3となっています。言われてみればそうかなと思うのですが、言われないと、他の選択肢と見比べると、かなり正確な知識を要する問題であることがわかります。認知症の種類に関しては現任者講習テキストにも記載がありますが、あまり詳細には書かれていません。
当塾の解説を見ると、
①Lewy小体型認知症は、脳幹部や大脳皮質にLewy小体が溜まっていくことに起因する大脳と脳幹の神経細胞の脱落と、側頭葉と後頭葉の委縮が特徴的である。主な症状としては、変動性の認知機能障害、幻視、パーキンソン症状の出現などが挙げられる。つまり、幻聴はLewy小体型認知症の特徴として妥当ではない。
②Alzheimer型認知症の主な精神症状としては、物盗られ妄想や意欲の低下、易怒性が挙げられる。感情失禁を主な精神症状とする認知症は、血管性認知症である。
④前頭側頭型認知症は、主な症状として、人格変化、抑制の欠如、社会性の欠如などが挙げられる。エピソード記憶や手続き記憶、視空間認知能力は比較的保たれているため、もの忘れのような認知機能障害は最初の頃はあまり目立たない。しかし、人格変化が起こるため、人柄が変わり、自分に対しても他者に対しても無関心になり、感情表出が乏しくなり、意思疎通が難しくなっていく。
ここまでにあがった4種の認知症を四大認知症というと現任者講習テキストに書かれています。
⑤のヤコブ病は進行が早いことで知られています。
繰り返しになりますが、この問題は、幅が広いというよりは、かなり正確な知識が問われますから、問題パターンとしては限られてくると思います。逆から言えば正確な知識があれば取れる問題と言えますので、勉強しておくと点数になると見てよいキーワードです。
北海道試験問37
「 認知症のケアに用いる技法として、不適切なものを1つ選べ」という問題でした。9月9日試験もそうでしたが、昨年は認知症に関する問題が多かったと思います。実はブループリントにも認知症関連ワードは複数出ています。当然ですが、ブループリントで複数のカテゴリーにまたがって出てくるキーワードは確率からいってもとても重要なワードになります。認知症は
12 発達(5)高齢者の心理社会的課題と必要な支援の小項目として、認知症、日常生活動作<ADL>、介護、被介護などと一緒に出ます。
16 健康・医療 に関する心理学(3)保健活動における心理的支援の小項目にも認知症高齢者が出ます。
17 福祉に関する心理学(1)福祉現場において生じる問題とその背景の小項目に 認知症と高齢者虐待が出ます。同じく中項目(3)虐待、認知症に関する 必要な支援にもあります。
22 精神疾患と その治療(2)向精神薬をはじめとする薬剤による心身の変化の小項目に抗認知症薬がでます。
やはりこれだけ出ると認知症は出やすくなるのは間違いありませんし、それは今年もブループリントの観点から言うならば同じことですので、認知症について、しっかり勉強しておくことは重要です。
① 回想法
② 動作法
③ バリデーション
④ デブリーフィング
⑤ リアリティ・オリエンテーション
解答は④になっています。この問題は不適切を選びますので、④以外も勉強になります。
①適切である。回想法は認知症のケアには基本的なものです。アメリカの精神科医R. N. Butlerもあわせて知っておきたいところです。
②動作法は成瀬悟策先生の名前も覚えておきたいところです。臨床心理士界のレジェンドです。
③バリデーションは私はわかりませんでした。これは、当塾の解説によると、認知症高齢者を対象としたコミュニケーション技法のひとつ。1980年代、アメリカのN. Feilが確立したとなっています。。
④が不適切です。
デブリーフィングとは、災害や精神的ショックを経験した者に行われる、急性期の支援方法のことです。詳細は当塾の解説を参照ください。
⑤リアリティ・オリエンテーションは、認知症の人に対して日時や今いる場所がどこなのか、周囲にいる人がだれなのか、周囲でどのようなことが起こっているのかなど見当識を高めることにより行動や感情の障害の改善を図るものとされます。
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