知恵ある人になるには?
以前、ついに来てしまった恐怖というコラムを書きました。私たち教育産業は、国のあり方や政治のあり方と完全に無関係でいられるわけではありません。研究者の多くは「科研費」という「公金」をもらわねばなりません。まして、大学院受験を扱うからには研究について一定の意識がないといけません。また公認心理師は国家資格ですから、どうしても国という名前の役所と関わらざるを得ません。また今京都コムニタスは法人ですので、個人ではありません。その意味で望む望まざるに関わらず、今の政治に目を向けざるを得ません。このコラムを始めた頃は、政治に関しては「選挙に行きましょう」レベルのことくらいしか書いていなかったと記憶します。しかし、東日本大震災以降、政治はめまぐるしく動き、結果、今の政権になり、7年が過ぎました。熊本地震があったくらいでしょうか、総理大臣が恐怖を感じるくらいに真顔で嘘をつく、被災者をないがしろにする、福島を、沖縄を・・など様々なことが浮き彫りになってきました。当初は、メディアが、民主党政権の時あるいは、民主党政権ができる前の自民党政権の時と同様、善し悪しはさておいて、時の政権を攻撃すると思っていましたが、それが一切なくなったのです。
そのあたりからきなくささが立ちこめるようになるのですが、そこから今に至るまで、総理大臣がどんな人物であったかは言うまでもありませんし、その成果のなさはついに来てしまった恐怖というコラムに書きました。彼はよく「ファクト」が大事で論難者を嘘つき呼ばわりします。しかし、自分はファクトは言いません。彼はいつも「政治は結果がすべて」と言います。しかし、彼は株価を人工的に上げた以外、特に成果はあげていません(上がったものは下がりますから成果と呼べるかどうかは意見が割れると思いますが)。北方領土をはじめとして失敗はたくさんしました。彼がしたことは、隣の国々を過剰にたたいたことです。「制裁しかない」と北朝鮮について、言った同じ口が「条件をつけずに云々」。話をするには相手が存在するということが理解できないのでしょう。たたかれた方は当然その痛みを覚えています。しかし、自国民の痛みさえ興味がない人物が、拉致被害者の家族の痛みと願いに寄り添って、成果をあげようとした形跡はもちろんありませんし、事実結果が出ていません。難しいことでしょうが、「結果がすべて」とは彼の言葉です。
今、「桜問題」で彼は終焉を迎えていると思いますが、確かにそこだけ取れば小さい問題だと思います。しかし、ここまで積み上げてきたものが全て噴出しているのが今だと思います。仮に桜問題を言い逃れて、皆が忘れても、次から次とここまで積み上げた嘘のほころびが出て来るでしょうから、状況はひどくなる一方でしょう。
ただ、やっと本題ですが、ついに来てしまった恐怖というコラムで書いた恐怖は、彼の嘘が民間業者に被害を及ぼしているということです。問題になっている当該ホテルの一方は、いまだに沈黙しています。しかし、ANAが総理大臣の答弁を否定しました。いずれの会社も本当に怖いと思っていると思います。もし私が同じ立場なら、冷静さを保てるとは思えません。
しかし、ANAは敢然と自分たちの持つ事実を述べています。もちろん、小出しにしていますので、これがどのような意味を持つかは実はこれから決まります。ボールを受け取った総理大臣次第です。こういった駆け引きができるのは民間業者の強みではありますが、この会社はいわゆる外資系になっています。新型コロナ問題でも外国は、この国を信用していませんから、「奪還」をしています。外国から見ると、この国は新型コロナを発生させている国で、とても危ない国であるにも関わらず、政権の都合で事実を言わない国です。はっきり言えば嘘をつく国です。つまり、この国は自浄作用がないと見なされつつあり、外からほころびた糸を引っ張られつつあるということです。戦時中と同じです。「美しい国」の正体と行き着く先が見えてきました。知らずに乗っている恐怖船の気分です。恐怖は次の「フェーズ」に来たのです。オリンピックを前にして諸外国が信用していないことが明確になり、世界中から「奪還作戦」をされる立場になっている国の行き着く先のイメージが浮き上がってきたということです。
とは言え、やはり、脱出してしまうのではなく、少しでも良い方向を考えるのが、研究、研究者の役目です。この国の研究者の多くは、そう考えていると信じています。ご飯論法という言葉を作った先生も大学の先生ですし、多くの大学の先生は冷静です。研究者が健在であるならばまだまだこの国は大丈夫だと信じたいと思っています。私たちは自分の与えられた仕事を誠実にこなしていくしかできませんが、誠意をもって仕事をすることの大切さを反面教師として教えてくれていると理解するようにしています。
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