その1秒を削り出せ2019

井上博文

井上博文

テーマ:雑感

「その1秒を削り出せ」というタイトルで書こうとしていたのですが、ふと、書いたことがあるような気がして、確認してみると、1年前に同じタイトルで書いていました。
こちら
これは箱根駅伝の東洋大学の監督が考えた言葉ですが、私はこの言葉がとても好きで、カテゴリーが違うので使えませんが、心構えとしては非常に重要だと思います。よく言っている仏教の縁起という言葉ともつながり深いと考えています。今回の箱根駅伝では、何度か、襷の中継所で次の区間の選手がおらず、数秒ロスをしてしまうということが目につきました。もしかすると、補助員の問題なのかもしれませんが、当然言い訳無用の話です。こういった時に、東洋大学なら起こらない事なのだろうなと思いました。
昨年、東洋大学は往路優勝を果たしました。その戦力はほとんど残りましたので、今年も往路優勝を確実に取りたいことが明確な布陣でした。監督の思想が明確なチームは、狙いも明確で、選手も自分の仕事に対する理解が深いことがよくわかります。
一方で箱根5連覇と今期の三大駅伝三冠を狙う王者青山学院は、「ゴーゴー作戦」というちょっと「?」と思うような作戦でした。まぁ優勝しか狙わないわけですから、どんな布陣を敷こうが、勝つことしか求められていないチームはつらいところです。ただ、キャプテンが2区ではない時点で何らかの歯車がおかしくなっていることは明らかで、結局往路6位で総合優勝は厳しい情勢です。学生スポーツで5連覇というのは本当に難しいことでしょうから、それに挑む資格があるだけでも素晴らしいことですが。
昨年も言いましたが、箱根駅伝は、指導者のあり方が如実に反映する競技です。その面においては私たちのような塾と似ている面は少なくありません。以前、別のコラムでも書きましたが、高校スポーツの強豪校などで、ゴミ拾いやボランティアなどをさせているところがあります。これは決して、精神論やきれいごとだけのものではないのです。様々な行為の一つひとつの積み重ねの結実なのです。箱根でもスタート前に今から挑む道に一礼する選手、ゴールした後、倒れそうになりながらも来た道に一礼する選手、その在り方は様々ですが、それでも望んだ結果につながらないことはありますし、実は、圧倒的多数の人が、思った通りの結果は出ません。それでもブレーキをしてしまっても、礼儀を忘れない人もいます。
監督は、出場選手だけではなく、圧倒的多数の出場できない選手も統括し、組織運営します。そして勝負として勝つという結果だけを求めて、それに向けた「合理的」な積み重ねをさせていきます。その「合理的」積み重ねの中身こそが監督の個性であり、見せ場でもあります。いろいろな考え方、マネジメント方法があり、本当に面白く、興味深いものです。その中でも私は「その1秒を削り出せ」に最も感動しています。各大学の復路の健闘を祈ります。


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塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

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