公認心理師試験(北海道)振り返り②

井上博文

井上博文

テーマ:公認心理師になるには

問2です。

精神科病院に通院中のクライエントが特定の人へ危害を加える可能性があると判断される場合、公認心理師が最初に行うべき行動として、最も適切なものを1つ選べ。

という問題でした。いきなり難問です。私は回答できませんでした。
問題文のどこを主体と見るかが重要です。「精神科病院に通院中のクライエント」なのか「特定の人へ危害を加える可能性」なのかです。前者ならば②が有力です。後者ならちょっとわからなくなりますが、やはり前者の方を取るのが妥当なのだと思います。考えないといけないのは、義務として、有名な医師の指示、秘密の保持です。さらに保護義務も警告義務も重要です。これらの知識を総動員しないとよくわからない問題です。
選択肢は
①ただちに警察に連絡する。
保護義務にあたりそうです。

②クライエントの主治医に状況を報告する。

これは、何度も話題になった公認心理師法四十二条です。
公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

この条文からすると、公認心理師が「業務を行う当たって」主治医がある時は、その指示を受けなければならないとありますので、特定の人に危害を加える可能性があるからといって主治医に報告しても、と思わなくはないですが、指示だけに注目するというよりは、この四十二条は連携の項目ですので医師との連携、リスクマネジメントという観点も必要です。

③クライエントに入院の可能性が高いことを説明する。
これは公認心理師法のどこにも該当しませんし、本来医師の仕事でしょう。

④犠牲者となり得る人に対して安全な場所に身を隠すよう伝える。
これも保護義務になりそうです。

⑤クライエントの家族に、クライエントの行動について注意するように助言する。

これも保護義務になります。さらに言えば
第二条 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

これからすると、三が、クライエントの「家族に」クライエントの行動について注意するように「助言」とありますので、近いように見えます。しかし、⑤の日本語はちょっとわかりにくいです。クライエントの行動について、「家族に注意してもらう」という意味なのか、公認心理師が、家族に「注意しなさいよ」と助言しているのかが、判別がつきません。
以上から見ると、保護義務は公認心理師法に明記があるわけではないですが、四十二条に明確に触れられていることからすると、やはり②が有力だと考えられます。
何度も言いますが、私はわかりませんでした。



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井上博文
専門家

井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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