茶番

井上博文

井上博文

テーマ:雑感

初めてかもしれませんが、辞書で茶番という言葉を引きました。ばからしい、底の見えすいたふるまいなのだそうです。
もちろん、証人喚問に関する記事をネットで見てのことです。最初から予想された通りの展開で、期待した人にとってはがっかりの展開だったかもしれません。
もちろん、これは誰のせいでもありませんし、あの場にいた全員の責任でもあります。与党は、印象操作ができて、総理大臣一味が、本件悪事に関与していないということを、言質だけとれば100点満点です。根拠などいりません。「証人」ですから、嘘をつかないのが前提です。言質を取れば、「勝利」と意味不明なことを言ってしまえば、それ以上の成果はないでしょう。もちろん、総理大臣一味が悪事を働いていないという証明はなされていません。以前に証人喚問に出てきた人の証言とは異なる見解が出ているわけですから、証言が割れたにすぎません。まぁ、誰しも自分の都合のいいことは大声で言いたくなるものです。一方、野党も何をしたかったのかが意味不明でした。証人は、いずれ刑事罰を受けることも覚悟していることを読み取れなかったのかどうかはわかりませんが、司法の場で言わざるを得ないことを証人喚問の場で言うことを全部拒否しました。証人は、司法の場を闘いの場と定めているようです。司法で、もしかすると、総理大臣一味にとって、とんでもないことを言う可能性を残したとも言えます。あのメッセージを総理大臣一味はどのように理解するのかわかりませんが、野党には、何らのメッセージも残さないという強い意思表明でした。それが読み取れただけでも、面白かったかもしれませんが、別に証人喚問という場は必要なかったと思います。
そんなこんなで茶番という言葉が頭をよぎったのですが、ふと冷静に考えてみると、茶番ではありますが、意味がないかと問われると、そうでもないかもしれません。私はよくプロレスという言葉を使うのですが、予定調和の中にも、しっかりとした見せ場があって、技の応酬もあり、ドラマもあり、客を盛り上げるのがプロレスです。今回は、証人は、野党とプロレスをするつもりは全くなく与党とだけ、できの悪いプロレスを演じましたが、野党がもっと質の高い予定調和を作ってくれば、まだ見るべきものがあったのかもしれません。プロレスは、単なる茶番ではありません。最終的な評価は、客が決めるのです。だから、対戦相手とだけ闘うのではなく、ある意味客との真剣勝負なのです。今回の茶番は、国民という客が判定をするのだと思います。国民という客を全く意識しなかった証人とヘタなプロレスをした与党と、相手にもしてもらえなかった野党。この判定はある意味興味深いと思い直しました。


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