大学院に進む意義
ちょっと重い表題になりました。
名前を使わせていただきますが、評論家の西部邁氏が自殺で亡くなったとのニュースを受けてのことです。とても残念です。西部氏は、保守論客で名高い方でした。今のネット右翼の時代では想像もつかないですが、私が子どもの頃は、左翼全盛時代で、いわゆる保守論客は、朝まで生テレビでも西部氏一人孤軍奮闘といった風に見え、子ども心に、西部氏を「かっこいい」と思っていました。さしずめ、悪役商会三人に一人で戦うアントニオ猪木といったところです。わくわくしながら西部氏の切れ味鋭い論を見ていました。大学生の時には講演会に出たこともあります。当時、保守=右翼で、「右翼」という表現はある種の差別的表現でした。学校で日の丸を国旗と言うと、いちいち否定されていた時代です。法律で決まってないとか、言われました。そんな人たちは、法律で決めようとすると、大反対するというわけですが。私はそういった人々を冷たい目で見てきました。西部氏はぶれずに、今となっては、もはや保守とは、かつて左翼と言われた人々にあてはまる時代になりましたが、それでもご自身の保守思想(多分彼がその元祖ではないかと思うのですが)を貫き通された方でした。
そのぶれない姿勢が影響したのか、昔から、西部氏は自分の命は自分で決すべしという考え方を述べておられました。私はこの考え方に賛同しません。塾を経営すると、よく思いますが、自分ひとりの命ではないと思います。公認心理師講座作成のために最も苦労している主任から、「今、死なないでくださいよ」とよく言われます。別に私などいなくとも彼なら良いものを作ってくれるはずですが、その彼からそう言われると、そうかなと思います。どんな人でも、ほっておいてもいつか必ず死にます。殊更自分で死ぬ必要はないはずなのです。それを「立派な死」とは私は思いません。自分の信じた道を、条件をつけずに、信じ切って、失敗と他人が見ても、恥だとそしられようとも、自分では成功と思いつつ、それでいいと思いつつ、命が尽きる日まで、必死に生きる。後のことは、自分ではどうしようもありませんので、人なり、自然なり全て任せざるを得ません。好きにしてもらえれば結構です。自分の生を尽きるその日まで、貫き通して全うしきる。これだけで、十分生きる意味があると信じて疑いません。いつか私が往生したら西部氏に教えをいただきたいと願っています。
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