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コラム

わからないものはわからない-憶測だけでいろいろ言わない

思考方法

2018年1月12日

貴乃花親方は「何を」明らかにしたいのか? という記事をたまたま目にしました。私は相撲についてはあまり詳しくはありませんし、最近の騒動について、何か言いたいわけでも、意見を持っているわけでもありません。できれば、対立よりも、よりよい相撲を見る人に見せていただければ、それで十分だと思います。
ただ、この記事を読んで、強い違和感を覚えたのと、研究を志す人は、こういうことをしてはいけない典型だと思い、失礼を承知で、言及させていただきます。誰かを批判するならば、やはりある程度は根拠を明示する必要があります。この記事は特に悪意があるわけでもなさそうなのですが、それにしてももう少し考えてから書くべきなのではないかと思います。
まずこの記事の題です。
「貴乃花親方は「何を」明らかにしたいのか? 降格処分への疑問、相撲協会の闇」
とあって、一見して、極めて恣意的な表題に見えました。これだけ見ると、著者は、貴乃花親方に寄り添った記事を書くことは明らかであり、相撲協会に批判的であることが一目でわかります。かなりやる気満々な印象を受けます。しかし、相撲協会が貴乃花親方を降格にしたからと言って、何かしら闇があるように示唆するのは、かなり無理があるように思えます。
以下、記事を見ていきます。
悪者扱いのリスクを背負った“沈黙”は何のため?
→このような小見出しですが、冷静に考えて、最初から、貴乃花親方は、あえて悪者扱いのリスクを背負い、沈黙していると確定しているようです。ということは、貴乃花親方が「正義」「善人」「悪ではない」という前提があるようですが、なぜその前提がたつのかが全く理解できません。かりに相撲協会が悪だとしても、それでもって貴乃花親方が善にはならないはずです。先の選挙もそうですし、源平の合戦のごとく、正義の味方なんてそもそもいない、なんてことはいくらでもあります。なぜこんな対立構造を作ってから、論を進めねばならないのか、強烈な違和感を覚えます。

続いて
「幕内力士(当時)貴ノ岩に対する暴行問題に、ようやく一応の区切りがついた。ここまで2カ月もの時間を要したことも異常だが、日馬富士をはじめ主にモンゴル出身力士による暴行事件が、いつの間にか“貴乃花親方の問題”にすり替わったことには大きな疑問がある。しかも貴乃花親方がこの件に関わった人物の中で最も重い処分を受けるというおかしな結末を迎えてしまった。」
→これも冷静に見て、極めておかしな指摘です。法人である以上、理事会があり、外部の人もその中にはいるわけです。そこで決まった処分に、何の関係もない、ましてや、当事者から取材したわけでもない人間が、その処分にコメントをするということは通常ありませんし、そんなことをしていたら、毎日どこかの法人の処分に目くじらをたてねばなりません。公務員でさえ、明らかに不当と見える処分でも、ほとんどがスルーされているはずです。

さらに
「明らかに礼を失していた」と、池坊保子委員長が理事解任の理由を挙げたが、貴乃花親方は、大相撲を改革するため、あえて内部情報に止めず警察に届けた。そして、メディアや世間に口外すべきでないと判断した事柄は徹底して口を閉ざし、相撲界の名誉を失墜させる事態を避けた。この行動は、実はものすごく「相撲界に対して礼儀を尽くした」とも言えるのだ。
→この箇所も読んでいてちょっと怖くなりました。
貴乃花親方から聞いてきたかのようです。貴乃花親方は大相撲を改革する意図があったようです。でもご本人は沈黙しているはずです。これはどういうことでしょう。沈黙している人の壮大な計画を勝手に読み取って、公表したのでしょうか。それともご本人から聞いたけれど、ご本人が何も言わないから代弁したのでしょうか?一体どのような心持ちでこんなことが言えてしまうのか、あまりにもひどい内容です。普通、被害届けを出す人は、誰かから被害を受けたから出すのです。私も、嘘をついて他人を誹謗中傷する人から被害を受けたので、警察に届けました。何かを改革する意図で警察に届けるなんてことはしませんし、仮にそれが意図であるならば、警察は受理しないでしょう。それであるにも関わらず、著者は、貴乃花親方が警察に届けた理由は、弟子が被害を受けたからではなく、大相撲の改革が目的だと言うわけです。これは沈黙しているご本人が語るまでは、わからないことのはずです。
また、相撲界の名誉を失墜させる事態を避けたというのですが、これもそのような意図があったのであるならば、本人が言わねばわからないことです。また事実として、相撲協会の名誉が保たれているならば、それも言いうるかもしれませんが、どう見ても相撲協会は、著者の立場からも明確ですが、悪人扱いです。とてもではありませんが、名誉は保たれていません。したがって、貴乃花親方の一連の行動と沈黙は、相撲協会の名誉のためと考えるのはあまりにも無理があります。

次の一節もひどいものです。
確証はないが、すでに多くのメディアが指摘しているので端的に書く。
→確証がない場合、憶測で書くわけですが、その自由はあるにせよ、憶測で書く場合は、かなりの慎重さを要します。例えば、私の裁判のように、私が詐欺をしていると、何の根拠もなく、かつ営業妨害をしようという悪意を持って、その嘘を世界に公表する輩もいるわけです。憶測で書くのは、いかなる他者であっても傷つけない範囲で書くのが基本だと、私は考えています。

今回の事件の背景には「星のやり取り」つまりは八百長が常態化している心配があり、貴乃花親方はこれを根本的に一掃することこそ大相撲の改革・再生の前提だと信じている。それを徹底して内部に訴え、改善を提起しているように読み取れる。
→これも怖ろしい一節です。沈黙している親方を見て、ここまで憶測するのは、通常は無理です。八百長の問題まで、事実を知らず、かつ関係のない人間が踏み込むのもいかがなものかと思いますし、貴乃花親方がこれを一掃するという決意表明をしたのならば、それに応援したり、寄り添ったりするのは理解できます。しかし、くどいようですが、貴乃花親方は、沈黙しているのが、この記事の前提でもあるのです。

次に、
自分の弟子が暴行を受けた、重大な事実が起こった時、協会は被害者である自分たちの思いを全面的に受け入れて対処してくれないだろう。そう感じる体質が協会にはあった。事実、問題が協会に伝えられてからも、メディアが報じるまで協会は一切隠蔽していた。その責任はいまだ問われていない。

→これも読んでいて恐ろしくなってきます。最初に述べましたが、著者は「貴乃花親方は、大相撲を改革するため、あえて内部情報に止めず警察に届けた」と言い切っています。これでは論理破綻です。また、協会は隠蔽していたと言い切るのですが、これも立証できるのでしょうか。かなり厳しい言い方だと思いますが、隠蔽したと言うならば、誰の意図であるかを明確に証明できなければならないはずです。相撲協会という団体がそんな意思は持ちません。具体的に協会の誰なのかが言えなければ、隠蔽したという事実は認められません。
これ以上、言う必要もないかと思いますので、ここで止めますが、これ以降も怖ろしいまでの憶測が連発されます。憶測のすべてが悪いとは思いません。情報が少なければ、憶測もやむなしということもあります。しかし、この著者は、記事の最後に書いていますが、貴乃花親方と以前に一回しか会っていないのです。それは親方の引退直後と言いますから、随分前のことです。それだけで、ここまで書くのはかなりの無理があります。
研究を志す人は、資料に事実を物語らせることが第一に意識しなければならないことです。嘘をついて他人を誹謗中傷することなど論外ですが、憶測だけで誰かを正義、誰かを悪に仕立てるのも、少なくとも研究者としては、してはならないことです。


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