その1秒を削り出せ

井上博文

井上博文

テーマ:雑感

箱根駅伝が始まりました。「その1秒を削り出せ」とは箱根駅伝の東洋大学の監督の名言です。いろいろな意味を含んだとても良い言葉です。本番でも当てはまる言葉ですし、日常生活にも当てはまります。勝負にこだわった言葉でもありますし、自分に勝つという意味の言葉でもあります。
今年の東洋大学は1年生が多く4年生のエントリーが一人だけの若いチームになり、来年以降のチームと見られていましたが、なんと往路優勝しました。これを予想したジャーナリストはほとんどいませんでしたが、勝負はやってみないとわからないという事例の典型でした。優勝候補の青山学院大は「何かが足りない」の典型でした。追いつきそうになると、立ち止まったりして、あと一歩というところで追いつけませんでした。「悪い流れ」にはまり込んだ時こそ、監督の腕の見せ所ですが、明日どんな手を打つのかが見ものです。現場にいるとさすがに「その1秒を削り出せ」とは言いにくいでしょうから、自分で選手が奮い立つ言葉を考え出さねばなりません。
早稲田大学は3位でしたが、各区間順位は全体的には低い人が多いのですが、スルスルと3位に来ました。監督のマジックとも言えるでしょう。
優勝候補の一角東海大学は、1区にエースを配置して、万全を期しましたが、まさかの出走できずで、苦戦を強いられました。東海大学はここ数年、強力な補強に成功していますが、どうも箱根では力が発揮できていません。これも監督の腕の見せ所だろうと思います。
「その1秒を削り出せ」こういった強い言葉を持っていて、根付いているところは、その学校のカラーになります。監督がチームの理念を体現する言葉をしっかりと持っているところは安定した力を発揮します。青山学院大は今年は戦前に「ハーモニー大作戦」と銘打ち、オーケストラにたとえ、指揮者が失敗すると、全部失敗するという、奇しくも指導者の腕の見せ所を主張しました。余程ご自身の力に自信があるのでしょう。東洋大学の監督は、自分の力というよりも、選手の1秒の短縮を引き出すことに専心しています。監督の腕も箱根の見どころですし、私たち指導者も大いに勉強すべきところがあります。


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