医学部学士編入は「抜け道」ではありません

井上博文

井上博文

テーマ:京都コムニタスとはどんな塾か?

ダイヤモンドオンラインの記事に、医者になる抜け道があった!「医学部編入」の実際という記事が掲載されていました。失礼ながら、とても嫌な記事です。先に言えば、抜け道ではありません。医学部編入は、本質としては、医学研究者を求める入試であって、医者になるための抜け道として行われているものではありません。
当塾の今年最初の朗報が弘前大学医学部の編入の合格でした。合格した生徒さんは、本当に身を削る努力をしました。英語は、TOEICでほぼ満点をとりましたし、弘前大が課すようになったTOEFLも同様の高得点を出しました。生命科学は、塾で習うことに加えて、様々なところに足を運びました。生物の知識がほとんどない状態からスタートして、数ヶ月でセンターくらいなら確実に満点が取れるようになってからが本当にスタートになり、「大学生が学ぶ生物」の本をすべてマスターし、そこからが受験勉強でした。かつて、私が医師に依頼して、解いてもらったいくつかの学校の過去問も全部マスターしました。留学もしました。元々国際関係学の出身ですので、英語でプレゼンなど慣れっこです。英語での議論の方法も身についています。集団討論も、面接も精一杯練習しました。書類は毎日のように夜中まで残って書きました。それでも、簡単には合格できませんでした。一勝がどれほど難しいことかは、私たちがよく知っています。
この試験は、問題傾向などほとんどわかりませんし、あってもすぐに変わります。かつて群馬大学が、生命科学から、化学中心の問題にシフトした時は、ネット上でも動揺が走りました。しかも簡単に解答がわかりません。
弘前大に合格した方は、面接点も9割以上取りました(この大学は点数が公開されます)。すなわち、相手が課してくる課題への対応力の幅はかなり広いのです。学科ができることは当然のこととして、面接や討論のウエイトもかなり大きいと言えるのです。もちろん、一回生から入ることの方が簡単だと言っているわけではありません。私がいつも言うのは、競技が違うということです。大学受験は、医学部であっても、一般入試ならば、スピードスケートです。私たちが手がける受験は、フィギュアスケートと言えます。だから、同じスケートでも、根本的に競技の性質が違うのです。遠からず、大学受験のシステムが変わりますので、もしかすると、大学受験もフィギュアスケートの要素が入ってくるかもしれませんが、それは大学受験の方が、こちらの受験に近づいたことになります。つまり、人物とその適性を見るならば、編入の側の競技の方が適切だと大学側は考えているということになります。
また、合格する人に目を向けるならば、雑な言い方ですが、ちょっと私たちの常識を超えるようなハイスペックの人がほとんどです。ドラゴン桜の言葉を借りれば、「宇宙人」です。私は何人もそのような合格者を知っていますが、以前、ある編入合格経験者と東京で合い、一緒に山手線に乗っていたときのことですが、突然「山手線2周したいのですが」と言いだして、私はもちろん、意味不明だったので、訳を聞くと、「距離を測りたい」とのこと。どうやるのかは凡人にはわかりませんが、とりあえず付き合って、2周すると、山手線の距離が割り出せるのだとか言い出して、しばらく沈黙。測ってどうするのかも凡人にはわかりませんが、急に測りたくなったのだとか。でも彼はかつて阪大医学部の編入に合格した人でした。特に予備校にも行っていませんでした。どうやって勉強したの?と聞いても、特に特別な勉強をした訳じゃないそうです。その独特のひらめき?で思いついたことを探求するのが、癖なのだとか。それがたまたま20代後半になって、医学研究の方に向いたのだとか(元々は工学部)。本人曰く、数学はどんな問題でも解けるのだとか。人間が作ったものに解けないものなどないのだとか。何と評価すればいいのか、凡人の私には遠く及びませんので、ただ、彼の話を口を開けて聞いているだけでした。半分も理解できなかったように記憶しています。
私の理解するところでは、特に国公立の医学部学士編入(私立は少しニュアンスが異なりますので、稿をあらためます。)とは、医学部に言わせれば、何かの間違いで、大学入試の時に医学部に入らなかった、このような「宇宙人」を、最高峰の優秀な人材を欲する医学研究科が、学部生として回収する場なのだと思っています。通常の医学部で学んだのでは、思いつかないような、外部で学んだ天才のきらめきが欲しいのだと思います。そのような人を医学研究者に育てていきたいのだと思います。しかし、それだけでは、私たち一般人は絶望するしかありませんが、必ずしも悲観する必要もなく、私は「地球防衛隊」と名付けているのですが、「地球人」の優秀な人を求める大学もあるのです。弘前大学はそういうことになるのですが、地球人枠もあると理解しています。いずれにせよ、一回生から入ったのではかえってわからない、全く異なった発想とアイディアをもった人材を回収する入試が医学部学士編入だと私は理解して、対策に臨んでいます。




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井上博文
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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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