幸福度
前回の続きです。
彼の16分間の演説が、至るところで分析されていますが、その評価は様々です。できたら文章で見た方が冷静に見られます。映像で、彼の語り口調とその姿に触れてしまうと、正直私も少々嫌悪感を抱きます。どこなく裁判所で見た人と色々似ています。でもこれが彼流なのかもしれません。内容としては、個人的には、「こんなもんじゃないかな」といったところで、特にこれといった内容を言ったわけではなく、歴代の大統領と比べても同じくらいの抽象度であったと思います。「格調高き上から目線」と比べても、プレデターVSエイリアンといったところでしょうか。特徴的なのは、今アメリカ国土にいるアメリカ人だけを対象に語りかけているところです。彼は自分がなぜ選ばれたのかをよく理解しており、今の時代のアメリカ国内をよく見ているというメッセージでもあったと思います。
Washington flourished - but the people did not share in its wealth.
ワシントンは栄えた。しかし、人々(国民)はその富を共有しなかった。
Politicians prospered - but the jobs left, and the factories closed.
政治家たちは豊かになった。しかし、仕事はなくなり、工場は閉鎖した。
The establishment protected itself, but not the citizens of our country.
エスタブリッシュメントは自分を守った。しかし、この国の市民を守らなかった。
これはこの演説の特徴の一つで、これまでのアメリカの取ってきた立場の結果、アメリカ人が犠牲になった、という主張でしょう。でもこれはその通りでしょう。そのアメリカ人に眼差しを向けると言うのなら支持をする人はするでしょう。
We've made other countries rich
while the wealth, strength, and confidence of our country has dissipated over the horizon.
我々は、この国の富と力と自信が地平線の向こうで衰退していく間に、アメリカ以外の国々を金持ちにしてきた。
One by one, the factories shuttered and left our shores,
with not even a thought about the millions and millions of American workers that were left behind.
ひとつひとつ、工場は閉鎖し、この国を去って行った。
何百万人ものアメリカ人労働者がそのあとに残されていくことについて、全く考えずに。
彼の主張の骨子はこのあたりにあると思います。要するに海外に金(軍事も含む)、富をつぎ込んで、本来守られるべきアメリカ人が置き去りになっているという主張です。これがあの有名な「America First」になったのです。これはアメリカ第一主義とよく訳されていますが、好意的に見ると、「まずアメリカ」と言っているようにも見えます。だからこそ、
We will follow two simple rules: Buy American and hire American.
我々は二つの単純なルールに従おう:アメリカの製品を買おう。アメリカ人を雇おう。
につながるのでしょう。
もちろん、アメリカ第一主義に違いはありませんが。この内向き具合は、確かにアメリカに依存している側からすると、戦々恐々です。グローバル的平和の幾ばくかは、アメリカ(核を含む)によってもたらされてきたことは否定できません。私たちは何となく、その責任はアメリカにあると考えて、ぶら下がってきたこと、うま味だけ吸い取ろうとしてきたことを否定できません。トランプ氏は、そこに切り込んだとも言えます。現実は、そんなに甘くないでしょうから、これからが彼の腕の見せ所ですが、基本理念は明確です。そして、私たち、他国民にとっては、利益は当然少ない話ですから不安になります。彼は、グローバリズムをある意味肯定していないように読めますが、また違った観点からすると、ある意味、アメリカ一国でまかなわずとも、このグローバルが崩れることがないという信頼を置いているようにも読めます。いくつかの隣接する他国以外とは、それほど敵対姿勢を示しているわけではありませんから、ものすごく好意的に見れば、足下をよく見ることのできる(俯瞰力は低くとも)、オバマ氏とは異なった、グローバルではないアメリカ一国にのみ適用されるリアリストということになるのでしょう。私たち日本人も上ばかり見ず、まずは足下を見ろということになるかもしれません。今までは、下を向いても何もないから、上を見ろという時代だったのかもしれませんが、時代が動いたと言えると思います。
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