文章を書けるようになるための基本的ルール
良い質問です。これまでも小論文については何度か書いてきました。
小論文で自分の意見を言うにはどうすればいいのですか?
ですが、そもそも小論文とは何か?という問いに答えたことは、あまりなかったように思います。何せ我々も明確な回答をもっていないのです。我々が持っている回答は、「小論文とは○○ではない」という回答が大半で、「小論文とは○○である」という明確なものを持ち合わせている人は、あまりいないのではないかと思います。ずいぶん前ですが、小論採点の仕事をしていた時がありますが、同僚とも「結局小論て何や?」という話は数えきれないくらいしてきました。だから、小論文の説明を見ると、「作文、感想文との違い」といったように何かとの違いを先に述べることが多いと思います。私もそのように回答することが多いと言えます。やはり質問の意図として、その違いを聞かれていると思うことが多いからです。
小論文とは、結局論文です。これを前提で考えましょう。だから、よく「書ける」「書けない」を言う人が多いのですが、少し観点が違います。作文なら、書けるかどうかは重要です。書けるとは、概ね字数を埋めることを意味すると思いますが、それは小論文においては違うということです。繰り返しますが、小論文は論文です。だとすると「小って何ですか?」となります。この「小」が曲者なのです。学会誌に掲載されている論文で、2万字程度の論文でも「本小論では・・・」なんて書いてある場合もあります。そうかと思うと、「理想の看護師像についてあなたの意見を述べよ」なんてのも小論文の問題にあります。まず小論文をややこしくするのは、この点です。そうすると、あまり好ましいことではありませんが、入試問題としての小論文に絞って考えなければならないということになります。ここでは、質問をいただいた看護学校入試に絞りますが、やはり前提は、論文であるということです。論文が何かは、ここでは割愛しますが、小論文であっても、論文の体裁をとっていることが採点基準になります。「小」については、まず字数が「小」ということになります。字数とは、概ね、600から1000字になることが多いと言えます。論文の基本は、「枠」の構築によるところが大きいのですが、この点も見られます。筋を通せるかどうかが重要ポイントです。嘘をついて他人を誹謗中傷するなどもっての外で、ジャッジから、調査したものが出せないと判断されれば、虚言とみなされ、ゼロ点回答になります。これは、自分の主張が正しいということを証明するために、証拠でもって、証明するという筋書きが要求されているということを意味します。
600字程度の出題の場合、問い(問題設定)がすでに出されていることが近年では多くなりました。「○○の患者の方々に対して、あなたならどのように対処するか?」という問題が出た場合、問いが明確ですので、「私は××のように対処する。なぜなら☆☆という記録によると、※※という数字が出されているからであり・・・・」と言い、その具体的データを出せばいいわけです。と簡単に言いますが、本来の採点ポイントはこの具体的データになります。600字程度の小論文の場合、すべてはここで決まると言って良いでしょう。1000字を超える場合は、問い→回答→証拠の筋道が通っていて、尚、事実が提示されているかどうかがポイントになります。
ここまでを読むと、非常に難しいものに見えますが、受験生にとって少しだけ「小」で許されることがあります。これは証拠の質です。本来、学会等で発表される論文は、かなり客観的かつ綿密に割り出されたデータを証拠として提出しないといけません。「独自調査の結果、詐欺であることが判明しました」などと恥ずかしいことを言う研究者はいないはずです。私なら恥ずかしすぎて廃業します。もちろん、小論文でもこのような嘘をついてはいけないのですが、事実と認定できるなら(推定事実)、証拠として採用されやすいと言えます。簡単に言うと、自分の経験も証拠になり得ますし、数字を出したとしても「約○○」「概ね○○」でも、大きく外していなければ許容範囲です。したがって、「小」とは言うものの、採点側からすると、実は許容範囲が大きいとも言えるのです。しかし、逆から言うと、証拠能力が低くても、証拠を出すことは必須ということになります。字数の多寡よりも、そちらに視点を持っておくことが重要です。
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