教科書は自分で作る

井上博文

井上博文

テーマ:思考方法

雑誌Numberの最新号、男子マラソン低迷の問題点という記事が連載されています。マラソンに関する評価は、もはや私のとやかく言える話ではありませんが、今号は中山竹通氏のご意見が秀逸でしたので、是非紹介したいと思いました。中山氏は、90年代最強のマラソンランナーといえる人です。その前世代が、瀬古利彦氏、宗兄弟という歴史に残る名ランナーが揃っていました。中山氏は、とりわけ瀬古氏に勝つために練習していたことはよく知られた話です。今号での中山氏の金言がたくさんありますので、いくつか紹介します。
「プロは感動を与えるもの」
昔のマラソンは、多くの人に感動を与えたと思います。それは、世界でもトップクラスのランナーが、人生をかけて勝負している姿が強く訴えかけるものがあったからです。今のマラソンは、どちらかというと「我慢大会」でペースメーカーについて行けるところまでついていき、ダメになったら離れていく…というものです。勝つならばいざ知らず、まけたら選手が視聴者に感動を与える確率は極めて低いと言わざるを得ません。勝負して他人に負けたというよりも、自分に負けた感が強いのです。

私は84年のロスオリンピックで、まだ小学生でしたが、当時世界最強と言われた瀬古利彦氏が14位になったことを鮮明に覚えています。ウルトラマンがゼットンに負けたのと同じくらいの衝撃でした。あれを見て、陸上を始めようと決めました。 瀬古氏は負けても記憶に残る選手であり、その姿を見て長距離選手になった人は、当時かなりの人数がいたはずです。
中山氏は、その瀬古氏を乗り越えようとした人でした。メディアもあることないこと書いて、あおりましたが、中山氏は自分の方法で、瀬古氏の日本記録を更新しました。その破壊的とも言われた走りっぷりは、瀬古氏とは異なった感動を与えてくれました。

「式が先にあって答えが一つしかないマラソンではなく、答えが先にあって、式が無限にあるマラソン」
答えが3なら、それを導く式はたくさんあります。そこには感性が重要になると述べておられます。
教科書通りでいいと思って取り組んでも、画一的な選手しか生まれません。だから皆同じように負けるので、負け姿にインパクトがないのです。ある意味予想通りで、「ここまでよく頑張ったね」で終わってしまい、次は「もう少し耐えよう」という作戦しかなくなってしまうのです。
中山氏は競技で勝つには、自分で教科書を作るしかない、と言います。中山氏らしい厳しい言葉ですが、名言です。個人事業のプロは心に刻み付けたい言葉です。

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井上博文
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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

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