屁理屈は論文では書いてはいけません
医療看護系小論文は、時事的な問題が出されることが多いのはよく知られていることです。
そのため、毎年、医療関係のトピックについて学んでおく必要があります。
今年、私たちの間でしっかり勉強しておきたいことの一つは、有名女優の
アンジェリーナ・ジョリーさんのことです。
最近、卵巣摘出手術をしたという記事が出ました。
これは、がんの予防という側面が強く、現時点で、がんを発症している
ということではないようです。アンジェリーナ・ジョリーさんは、すでに
乳がんの予防として、乳房切除をしたということで話題になったこともあります。
この点について、たくさんの着眼点があります。まずわかりやすいところとしては、
その行為の是非です。当然、賛否両論あると思います。現段階で、
がんになっていないところを将来のリスクを考えた上で、先に切除するということですので、
事実だとすれば、大変に勇気のいる行為です。またその手術に伴う副次的な効果も
あると思います。もちろん、ただ、賛成、反対を考えるのではなく、その理由が重要です。
あるいは、現時点ではどちらとも言えないという回答もあってよいと
私個人の意見としてはあります。
次の着眼点としては、技術に関することです。
彼女が切除手術という選択を行ったのは、遺伝子検査に基づく情報に沿ったということです。
私は、この遺伝子検査という技術は好ましくないと個人的に考えていますが、
この検査を必要としている人はたくさんいます。私の後輩も遺伝的リスクを抱えています。
しかし、私の意見としては、リスクがあることがわかっていても、予防的措置をとるか
どうかはその人の人生観であったり、考え方によると思います。
全員が同じように予防的行動として、リスクのある箇所を切除するようになる時代は
来ないのではないかと考えています。
これも、様々な意見があって良いと思います。さらなる技術革新が求められていることは
確かなことですし、実際、遺伝子検査技術も進んでいます。
大切なことは、この技術を使う私たち個人の考え方の成長であって、
これは技術の進歩に本来平行して着いていっておかねばならないところです。
しかし、例えば出生前診断であっても、ポジティブな話はあまり聞きません。
インターネットで出生前診断と検索するだけで、すぐに出てくるのが、
「命の選別」という言葉です。やはり、最新技術を使うには高い倫理観が必要です。
最後に、自分ならどうするか、という問題も考えておくと有益です。
おそらく、仮に、自分がこの手術を受けることを希望する人であっても、
自分の子どもに、同じように手術を受けさせるか、と問われると、多くの人が
必ずしもそうではないと思われます。本来は遺伝的リスクの問題ですので、
自分がその手術を受けるのであるならば、次世代にも同じ遺伝的リスクが
あっても不思議ではないので、必ず子どもに受けさせるかどうかという問題が
生じることになります。この時、どのような選択をすべきなのかという問題は
非常に難しいと考えられます。
是非、これから小論文の練習をする人は、この問題についてちょっと思考を
めぐらせてみてください。
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