適者生存
高学歴親が子どもを追い詰めるという記事を見ました。
ここのところ、若者の自信のなさや自尊感情の低さについて
注目してきました。
子どもが親から追い詰められるのは、あまりいいことではありませんが、
親が「高学歴」故に「理詰め」で子どもの逃げ場を奪ってしまうというのは
いかがなものかと思います。
記事では、親の学歴が高いと子どもの話を聞かないかのように言われていますが、
それはとんでもない誤解です。私が知る限り、確率的には高学歴の人の方が
子どもの話や言い分を聞きますし、安易に体罰をするということもありません。
学歴絡みで親が子どもや周囲の話を聞かなくなるのは、親の学歴のせいではなく
「学歴はどうしても気になる。自分自身は社会に出てから頑張って
今の生活を手に入れた実感があるのに、わが子には『大学は関係ない』
と言う勇気がない。
こいったイラショナルビリーフに負けているからと見た方が合理的です。
漠然とした不安が、おかしな行動になっているだけで、高学歴であることと
何の関わりもありません。こういった誤解を招く言説は慎んで欲しいものです。
「どこからを高学歴と呼ぶかはともかく、大卒の親の子育ては難しい」
と話すのは、「子育て科学アクシス」を主宰する小児心理医の成田奈緒子さん
(文教大学教育学部特別支援教育専修教授)。
小児心理外来で長年親子の悩みを聞いてきたが、患者の多くが高学歴親の家庭だ。
だからこの引用の仕方にも強い違和感を感じます。この先生がどのように話したのかを
文脈をすべて見せて欲しいものです。「少なくとも大卒の親の子育ては難しい」
という言葉だけを言ったとは考えにくいでしょう。
今時、大卒率はかなり高く、高卒や中卒より、育児が困難である根拠はないですし、
客観的にみて育児困難を抱えていると報告されるケースは大卒の方が少ないはずです。
経済面においても、社会保障的知識、公共施設の利用率のどれを見ても大卒が
不利になる要素はないはずです。
医師の元夫(50代)は、勉強が苦手な中学3年の次男の実情を
受け止められない。成績表は2と3が半分ずつで模試の偏差値40台の息子に、
偏差値65の高校へ行けと言う。
「せめてM大の附属校へ行け。授業を真面目に聞いていれば、ある程度の成績が
取れるはずだ。いい高校に行って一流大学に入らなくては就職できないぞ」
ちぐはぐな説教をする元夫はK大医学部卒。附属中学時代から医者を目指し、
ひたすら勉強だけをやり続け医者になった。
今時こんなことを言う人は、むしろ少数派だと思います。
これが事実だとしても極論の類で、高学歴が子どもを追い込んでいることには
なりません。要はこのケースの人が、高学歴を歪曲して捉えているだけの問題です。
私はこういった記事をみると、今の日本の歪んだ大学受験や歪んだ大学への期待を
象徴していると感じます。学問をすることは、こういった記事の内容とは
全くかけ離れていて、自分の生き方に彩りを与えることです。学術の方法を身につければ
知識を体系的に入手できます。知識を身体にインストールすることで、
できることを増やし、できることを増やすことで、できない人
(基本的に子どもなどの弱者)に思いやりを持ち、その思いやりが慈しみの心を育て、
その心がまた集団で生きていくための智慧を作る。
こういった循環を得るものでもあります。こういった良い循環を生み出すことが
できる人は確率的には高学歴の人が多いのは間違いないと思います。
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