大学院に進む意義
研究をするにあたって、一番大切なことは疑問を持つことです。
これには訓練が必要です。子どもの「なんでなんで?」とは
少し意味が異なります。もちろん、子どものうちにこのような
「なんで?」と思うことはとても大切なことですが、
大人になると、疑問の質を高める作業も必要になってきます。
子どもは「なぜ?」という問いかけは、たいてい、親か学校の先生に
向けることが多いと思いますが、大人になると、いつでも誰でも
その疑問に答えてもらえるわけではありません。大半は自分で
答えを探さなければなりません。そのためにはある程度
焦点を絞って、答えを見つけやすい状態の疑問に仕立てて
おかないと答え自体が存在しないと誤解していまいかねません。
このクセがついてしまうと、結論ありきの研究をするという事態を
招いてしまうことが考えられます。
一つの思考訓練として、
「それはどうかな?」
と疑問を持つところから始めるのは妥当だと言えます。
例えばこの記事を見ると、
就職に苦労する学部がランキングとして並べられていますが、
私に言わせれば、こういった記事は信用できない典型です。
文言を引用させていただきますと、
せっかく大学へ進学したのだから、将来につながるコトを学びたいもの。
では一体、何を専攻すれば卒業後の自分に役立てることができるのか。
そこで、米財務サービス大手のH&R Blockが、せっかく学んでもまったく
意味のない大学の学部ワースト10を発表。
それぞれを専攻した学生の失業率から分析した同ランキングは、
日本とも共通する部分があるかもしれないので是非参考にしていただきたい。
私は、こういった記事を見ると、まず「それはどうかな?」という疑問を持ちます。
「せっかく大学へ進学したのだから、将来につながるコトを学びたいもの」
から入りますが、どのくらいの人がそう考えているのかが不明です。
逆に希望しない学部に入っちゃったという人はすり抜けているのかどうかも不明です。
つい先日4万人近くの大学再受験者という記事を書きました。
それから考えると、将来につながることを学びたいと考えて大学に入った人
ばかりではないということも言いうるはずです。
「では一体、何を専攻すれば卒業後の自分に役立てることができるのか」
という問いかけであるならば、
「意味のない大学の学部ワースト10を発表」
というのは明らかに論理のすり替えです。もしこの問いの回答を求めるならば
引用すべきは、「何を専攻したら卒業後役にたったか」という調査の結果です。
当然、「意味のない学部」の調査結果を引用しても、問いの回答にはなりません。
これは都合の良い回答に導くためにとった不適切な行為と言わざるを得ません。
目くじらをたてるような話ではないかもしれませんが、こういった思考が
昨今話題の「ねつ造」「コピペ」が生まれることを考えれば、やはり、
思考構造からして見直す必要があると言わざるを得ないのです。
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