屁理屈は論文では書いてはいけません
昨日、新出生前診断のニュースが出ていました。
小論文をこれから書かねばならない人は、
この種の時事問題には敏感になっておいた方が
良いと思います。その上で自分がどう考えるかを
明確にしておく訓練が必要です。
出生前診断の問題は、様々な角度から論じられる
必要があります。一つは医療技術の問題、生命倫理の問題
少子化の問題、障害者のケアの問題、育児不安や負担の問題、
社会福祉や社会資源の問題、等々挙げればキリがありません。
様々な角度ということは言い方を変えれば、出生前診断問題を
起点にして、様々なネットワークがすでに存在するということ
でもあります。
医療技術の問題は、その技術が確立されるまでは生じ得なかった
問題が起こるという点で注目すべきです。
医療に関与したい人は、どうあってもその技術を
否定してはいけません。臓器移植なども同様です。
仮に倫理的問題が生じるとしても、医療者はその問題を
クリアすることが仕事なのであって、技術を否定することが仕事では
ないからです。たまにマウス実験自体が動物虐待で許せないという人も
いますが、その人は今の医療を受ける資格はないでしょう。
医療技術の発展にはマウス実験は不可欠だからです。
しかし、それではどこまでそのような実験が許されるのか、
クローンはOKかどうかと言われると、必ずしもOKは
できないこともあります。遺伝子に関わる問題は
歴史上の偉大な宗教者も言及していない問題です。
だから宗教はその回答を持っていません。
仮に言えたとしても、立場を一元化することは困難でしょう。
たまに○○教的立場では~と言う人もいますが、それは無理でしょう。
自分が教祖になって、新しい宗教でも立ち上げるしか
宗教として明確な意見を言うことはできません。
その意味で、出生前診断のような問題は、時代に合わせて
考えなければならない問題と言えます。そのため、
出生前診断の問題を論じるには、この歴史から知識を得て
おく必要があります。
今回のニュースでは
「診断の実施件数は4月の開始から6カ月で3514人に
上ったと仙台市で開催中の日本人類遺伝学会で発表した。
うち染色体異常の可能性がある「陽性」だったのは67人、
羊水検査で異常が確定したのは56人。中絶人数について
関係者は「異常確定の大部分」としている」
とありました。
中絶人数については、他のニュースでは「判明分で53名」と
しているところもありました。いずれにしても驚くべき
確率です。しかし、この問題を取り扱う人にとって、
最低限外してはならないポイントがあります。それは、
命の選別はしてはならないということです。当事者にしてみれば
簡単な問題ではありませんが、誰であっても、人の命に優劣を
つけることはできません。そこに合理的な根拠など立てようも
ありません。障害があるということが事前にわかったからと
いって、その命に生まれてくることを認めない権利も誰にも
ありません。様々に複雑な事情があり、一概に言えない問題も
たくさんあるのですが、この点だけは確実な事実ですので
小論文を書く人はおさえておく必要があるでしょう。
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