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再び文学への原点回帰―「読書」はかつて私に何をもたらしたか―

海江田博士

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テーマ:自分を振り返る

今日の目次
・遠くなった文学の世界
・日本を代表する作家たち
・世界の文学も愛読
・危険な文学という毒
・好きな作家は全集で
・再び文学漬けの日々を

遠くなった文学の世界

中学生、高校生の頃は日本や世界の文学にはまっていて、それらの作品をよく読みました。そういえば、文学書などさっぱり手にしなくなって久しくなるなあ、と少し感慨深く振り返る自分がいます。
大人になって普段読むのは、すっかり実用書ばかりになりました。とはいえ、私の場合、改正税法がどうとか新会計基準がどうしたといった専門書ではありません。
ちょっと前だと、マッキンゼーとかボストンコンサルティングなどで経験を積まれた大前研一氏、堀紘一氏など高名なコンサルタントの書かれたものをよく読んでいました。近年では、楠木健氏とか山口周氏といった旬のコンサルタントが書かれた経済全般、経営全般に関わる書籍を多く読んでいます。

日本を代表する作家たち

昔、私が文学に触れ始めた頃の定番といえば、夏目漱石、芥川龍之介、森鴎外、太宰治、宮沢賢治といったところだったでしょうか。いずれの作家も私が生まれた頃には既に亡くなっていた人たちで、今の人たちが村上春樹や東野圭吾、百田尚樹といった同時代のベストセラー作家を読むのとは少し異なるスタイルだったように思います。
夏目漱石の場合「坊ちゃん」あたりに始まって「吾輩は猫である」とか「心」とかを読みふけったものです。芥川龍之介の短編も面白く「杜子春」とか「蜘蛛の糸」とか「羅生門」とかも興味深く読みました。
中学に入ったころの私は、実に生意気なガキだったみたいで、いつも何かしらの文学書を持ち歩いていました。ある日、母と街に買い物に出かけたときも、芥川龍之介の少し分厚い本を抱えていて、母が買い物をしている間、ふてくされたようにそれを読んでいたら、女性の店員に「何を読んでいるの?」と聞かれたことがありました。「え、別に・・・あ、芥川龍之介だけど・・」と、答えながら、なんか照れ臭かったことを覚えています。
わざわざ芥川龍之介の本など持ち歩かなくてもよさそうに、と、今になって思えばいささか恥ずかしい限りです。まあ、あの頃はそんな風に何かしらカッコをつけたがっていたのでしょう。
とはいえ、ただカッコをつけていたわけではなく、文学は本当に好きで小説はよく読んでいました。当時の中学生向けの雑誌には青春小説のようなものも連載されていて、甘酸っぱい内容のものが多かったみたいでしたが、そっちの方には目もくれずに、少し背伸びして先述の日本を代表するような作家のものをよく読んでいたのです。

世界の文学も愛読

また当時よく読んだのは、夏目漱石や芥川龍之介のような日本文学ばかりではありませんでした。ドストエフスキーとかヘルマン・ヘッセ、トーマス・マンといった海外の作家のものもよく読んでいました。
特にヘルマン・ヘッセはドイツの青春小説作家のような位置付けで、彼の代表作でもある「車輪の下」などは何回も読み返したものです。進学校に進んだものの、そこの環境に溶け込めず、精神を病んでいく主人公の姿に自分をダブらせたりしたものでした。
国別で言えば、当時はドイツ文学が好きで、先述のヘルマン・ヘッセやトーマス・マンのほかに、ハンス・カロッサ、シュテンファン・ツヴァイクといったそれほどメジャーではない作家のものも文庫本などでよく読んでいました。ドイツ文学の中に漂う北部ヨーロッパの、なにかどっしりと落ち着いた雰囲気のようなものが好きだったのです。
ロシア文学では、ドストエフスキーにはまったと言っていいかも知れません。ドストエフスキーは、河出書房が出版した全集まで買って徹底的に読みこみました。「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」「白痴」など重厚で長編大作が多く、一作読み終えるのにふうふう大変な思いをしたことを覚えています。

危険な文学という毒

こういった難しい文学を読み込んでいたことが功を奏したのか、受験の国語はひどく易しいものとしか思えず、予備校のテストや模試などでは何回も最高点を取りました。考えてみれば、国語は受験に際しても大して勉強すらしなかったように思います。
日本文学に話を戻すと、最もよく読んだのはやはり太宰治かも知れません。彼の文体の軽妙さというかとっつきやすさは、読者をある種の中毒に陥らせるような魅力がありました。中学、高校の頃から、かなりはまって読んでいたような気がします。
「人間失格」や「斜陽」といった作品には、深く引き込まれるような魅力を感じました。無頼とか放蕩とかいう言葉が似合う作家であり、そんな作品が多かったことを覚えています。
ドストエフスキーの作品は、個人全集を通じてほぼすべてを読みました。同じく、太宰治も筑摩書房刊の全集を購入して読みました。

好きな作家は全集で

私は、好きな作家はその作品を徹底的に読んでみたくなるために、何人かの文学者については個人全集を購入して読み込んだのです。今、書斎の本棚を見てみても、その作家たちの「全集」が並んでいます。
日本の作家では夏目漱石全集、芥川龍之介全集、太宰治全集を買いそろえました。宮沢賢治全集も買ったような気がしていたのですが見当たりません。たぶん、途中でお金が続かなくなって挫折したのだろうと思います。
海外の作家のものでは、ドストエフスキー全集、トーマス・マン全集、ヘルマン・ヘッセ選集、といったところが並んでいます。全集は発行されていなくても好きになった作家のものは、文庫本などを探して集められるだけ集めて読んだりしていました。気に入った作家については、かなりのめり込むタイプだったと思います。

再び文学漬けの日々を

そうやって買いそろえた作家の作品は、一応すべて読みました。つまり、当時純文学については、貪欲に読書していたことになります。
作家によっては、当時の年齢ではよくわからない世界観なども随分あったはずです。それでも、まだ若く体力もあったので、まるで格闘技かのように力わざで読み倒していたのだと思います。
さて、そんな私も純文学など、全く読まなくなって久しくなります。かといって、文学の持つ香りというか、その独特の触感について忘れたわけではありません。むしろこれからの私の人生にとって、より大事な位置を占めるようになるのではないか、と思っています。
実生活では、この歳になってからも忙しさに追われる日々ではありますが、なんとか時間を捻出してもっと文学に触れようと思っています。そうです。このまま終わったのでは、あの頃、懸命に文学に向き合った日々が無駄になるじゃありませんか。


数十年かけた蔵書。この中に個人全集も入っています。

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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