販売促進について考える―まだまだ手薄な地方企業における販売促進戦略事情―Ⅳ
[最も安易で最も愚かな策]
経営者にとって極めて厳しい世の中です。
販売不振に陥ったとき、経営者は自分の事業についてどう考えるでしょうか。
なかなかいい知恵が浮ばないと「値段を下げたらどうだろう?」というところへ、つい行きがちになります。
私が、これまで見てきた多くの経営者がそうでした。
有効な販売促進策が思い浮かばない経営者に限って、ついついここへと行き着きがちになるのです。
しかしこれは、どう考えても、最も安易で最も愚かな策と呼ばざるを得ない一手、ということになります。
以前、私のクライアントであるガソリンスタンドの社長が、近隣の大手資本のスタンドが仕掛けてきた価格競争に真っ向から対抗したことがありました。
果てしない値下げ合戦の末、とうとう向こうが音を上げる形で終止符を打つことになったのです。
結果的に、その年の決算書の数字上では、売上はそのスタンド史上最高のものになりました。
ところが、利益は赤字ではなかったものの、近年では最低の、ギリギリ黒字でしかなかったのです。
大手資本と真っ向勝負に出て、鬼ように働いたにもかかわらず利益はチョボチョボだったことになります。
最後に、あんな消耗戦は二度としたくない、と社長が吐き捨てるように言っていた姿を思い出します。
これは、仕掛けられてやむなく受けて立ったというお話です。
しかし、もし自分の事業が同じような事態に直面したとき、少なくとも自分の方から値下げの口火を切る、という愚は避けたいものです。
この矢印のように値上げならまだいいが・・・・・
つづく