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「中小企業は国の宝だ」という日本の「常識」が本当に正しいのか―新型コロナ禍で露呈した「日本経済の脆弱性」について考える―Ⅲ

海江田博士

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テーマ:危機管理について

[小規模事業者が多い分だけダメージが大きい]


アトキンソン氏が指摘される、テレワークへの対応能力一つとっても心もとない日本の中小企業の現状。
これが国というレベルになったとき、その影響というのはどのような形で現れるのでしょうか。

その点についてアトキンソン氏は以下のように述べられています。
―小規模事業者が増えれば増えるほど、その国の生産性が低くなるので、財政が圧迫されます。
すると、小規模事業者が多い分だけダメージが大きいのに、それに対応するための予算が限られてしまうのです。―

生産性の低さゆえに、国全体として圧迫されてもともと苦しい財政にもかかわらず、今回のような非常時のときには、そのおおもとである中小企業救済のためにお金がかかってしまう、という逆進性・・・
この点について、アトキンソン氏は上記のように指摘しておられるのです。

こういった指摘は、我々にとって耳の痛い話ではありますが、これまで日本の経済を下支えしていたという中小企業の存在が、現状どうなっていて、今後どう考えればいいのか・・・
こういった課題については、根本的に見直さなければならない時期に来ているのかも知れません。

見直すという点について、アトキンソン氏は次のようにかなり厳しい見方で指摘しておられます。
このような意見を、ここまではっきりと表明した人はこれまでの日本にはあまりいなかったのではないでしょうか。

―このように見ていくと、「中小企業は国の宝だ」という日本の「常識」が本当に正しいのか、疑問に思えてきます。
私は、今回のコロナ危機で日本の産業構造の弱さが露呈したと考えており、その原因は中小企業にあると見ています。―

確かに「中小企業は国の宝だ」というフレーズは、これまでもよく使われたものであり、我々もその点についてあまり疑問も持たずにきています。
この鉄板の原則ともいうべき価値観に切り込んでいくというのは、それなりの理由や説得力がなければ、反発を買うことは必須です。

その点について、アトキンソン氏はどのような説明をされるのでしょうか。
その論理展開もしっかりと見てみたいと思います。





つづく

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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