供給が遅れればビジネスチャンスを逃し、調達が間に合わなければリスクをかぶる―新型コロナウイルス禍で気づいた先を読むことの責任とリカバリー力の大切さ―Ⅲ(おしまい)
[重要な物資は国内調達できるよう構築すべきでは]
国内経済は慢性的な低収益構造にあり、それが大きな問題である、と指摘される経済評論家の加谷 珪一氏。
その実態について
「中国や韓国に依存せざるを得ない構造的な要因」
というタイトルで解説しておられる。
― マスクに用いる不織布は中国が圧倒的なシェアだが、ドイツも高い輸出シェアを確保している。一方、日本はマスクのほとんどを輸入しており、国際市場での競争力はない。マスクだけでなく防護服やフェイスシールド、人工呼吸器など、医療器具の多くを輸入に頼っており、中国をはじめとする諸外国からの輸入がストップした場合には深刻な状況に陥る。(中略)
肺炎患者の最後の拠り所となる人工呼吸器のメーカーは、中国や米国、ドイツなどが中心で、日本で使われている装置の多くは輸入品。世界は人工呼吸器の争奪戦となっており、生産能力を持たない国が数量を確保するのは困難だろう。
こうした事態を受けて、国内では「外国依存を脱却せよ」「国内の生産体制を強化せよ」という勇ましい声が聞かれる。重要な物資は国内調達できるよう体制を構築すべきというのは、まさに正論であり、異論を挟む余地はない。(中略)
重要な物資を海外に依存していた場合、非常時に深刻な事態に陥ることについて予想できないほど日本人は知能が低いのだろうか。そんなことはないはずだ。十分に予見できていながら、こうした体制を構築できていなかったことには相応の理由があると考えるべきであり、逆に言えば、この部分を改善できなければ、いくら声高に叫んでも状況は良くならない。―
資材の調達やマスクのように作りのシンプルな製品を、労働賃金の安い国(今や中国はそれほど安くはない・・・)に依存するのはわかるような気もするが、人工呼吸器など医療器具の多くを輸入に頼っている、というのは不思議な話である。
それこそ、日本の得意分野ではなかったのか!?!
先進国であるドイツがこういった製品について輸出可能な国であることを知ると、
「重要な物資は国内調達できるよう体制を構築すべき・・」
ということを強く思わざるを得ない。
その点について、加谷氏は
「十分に予見できていながら、こうした体制を構築できていなかったことには相応の理由がある・・」
と、引き続き解説されている。
豊かに見える日本社会
つづく