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コラム
一度使ったらそれだけで終わりの補助金―地方衰退の原因と再生の処方箋を考える―Ⅱ
2019年7月12日
[税金を使う=「利益を出せない」事業ばかり]
こう書いてきますと
「おカネをもらってなぜ悪い。実際、補助金というお金で助かった事例もそこそこあるじゃないか!」
と反論されそうです。
確かに、それがきっかけとなって、設備投資など初めの滑り出しを後押ししてうまく回り始めた、といった事例がない訳ではありません。
しかし、そんな事例はごくわずかに過ぎず、きっかけとしてもほんのちょっとの後押しでしかなかった、というのが私の見てきた多くの事例なのです。
おカネに関して、木下氏は次のように続けておられます。
―なぜ何兆円もの資金を、地方の活性化目的に配分しても活性化しないのか。
理由は、結構シンプルです。(中略)
税金を使う=「利益を出せない」事業ばかりだからです。
地域活性化は、中央から地方への単なる「所得再配分」では達成できません。(中略)
なぜならば、配ったその途端に、その事業に必要な各種経費として消えてしまい、それで終わりだからです。
「1サイクル」(1回転)しか、経済が回りません。(中略)
一度使ったらそれだけで終わりです。
もう2度と同じような効果を生み出すことはできません。(中略)
公共施設の開発でも、大規模な建設事業は、大手ゼネコンが取得して、下請けくらいは地元企業へ分配されるでしょうが、やはり、地域内経済でみると、そのわずかなおカネが一回し(ひとまわし)されるだけで終わりです。―
このことは私も以前から感じていました。
何か事業を始めたときに発生する必要経費というのは、何も最初の一期目だけで終わるものではありません。
事業が続く限り必要経費というのは発生し続けるのです。
あまりに当たり前すぎて、普通に民間事業を経営しておられる経営者の方には「馬鹿にするな!」と、怒られてしまうくらい当然の事実であります。
言うまでもなく、原価や経費といったコストは事業収益の中から賄われるものです。
事業が収益を生み続けない限りコストを賄うことはできません。
ところが、補助金で始めた事業には継続性がないのです。
木村氏が書かれているように―「1サイクル」(1回転)しか、経済が回りません。一度使ったらそれだけで終わりです。―
といった性格のものなのです。
つづく
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