若者から見た「ズレ」への共感について―現代日本の様々な矛盾点を考えてみる―Ⅺ
ところが、しばらく経って気が付いたのは先述の
「誰に向けた、何のための発信なのか」
という視点がまるで欠けているということだったのです。
いろいろな議論を重ねたが、最後までその点は私にとって不明でした。
結果、それまでと大した進展のないまま「対外広報」の部署だけが名目的に残っていましたが、それも近年になって広報に吸収される形で消滅してしまいました。
そもそも
「税理士の社会的な認知をもっと深めよう。」
という目的が何のためのものなのかがはっきりしていなかったのではないか、と私には写りました。
一般的にはあまり認知されていない「税理士」という職業について、直接的には関係の薄い主婦や学生、子供たちまでその理解の底辺を広げよう、という当初の発想は悪いものではなかったかも知れない、と思います。
ただ、「では、それはなんのために?」という議論が浅かった、というよりはほとんどなされていませんでした。
そのために、それまでとあまり変わらない対内広報的なポジションのまま終わってしまったのは、当初のコンセプトが悪いものでなかっただけに残念な結果でした。
大は国家運営、自治体、小は業界団体、町内会的なものに至るまで、日本人は当初のテーマの打ち出しはそれなり悪くないものを出してくると思います。
ところが、そのメインテーマよりは途中の細かい調整の方に神経が行ってしまって、大きな目的を達成できない、ということが多いのではないかと見えるのです。
つづく