顧客ニーズとウォンツについて―顕在化した需要と潜在的需要について考える―Ⅲ
ただ、ここに書かれている内容は、取り上げられているサンプルの大手企業やそのライバル企業がすべて一定のマーケティング的な手順を踏んだ上での話なので、その前提がなければ成立しないことになります。
その手順というのは、市場調査を行ない、商品企画をし、販売戦略をたて、販売促進計画を練り、営業に落とし込む、といったプロセスを踏んでいくことなのです。
それぞれの場面で、専門のスタッフが課題に取り組みケンケンガクガクの議論を行なったりしています。
「100円の・・・」においてその各部分は、デフォルメされて書かれており面白い読み物になっています。
分かりやすさを優先させているために、途中の細かいところはかなり大雑把な印象を受けます。
私は、それは別にかまわないと思っています。
ひとつの読み物ですから、読み易さ、分かり易さに配慮すればこういった書き方になるのでしょう。
問題はそこのところではありません。
この本に書かれているいずれのプロセスも企業活動において必要であることはその通りなのです。
しかしながら、こういったプロセスそのものを、ほとんどの中小企業は踏襲することができないだろう、ということが問題なのです。
つまり、本文中には
「リサーチの結果を受けて商品開発の会議が行なわれた。」
などと、サラリと書かれており、実際そう言った場面が度々登場します。
ところが、現実の中小企業ではその当り前のように書かれているリサーチを行なうのかどうか、商品開発を社内で会議にかけて検討するのかどうか、といった業務レベルが問題になるのです。
多くの中小企業にとってはリサーチを行なう費用もなければ、会議を開くノウハウもない、というのが現状ではないでしょうか。
そもそもどうしてそんなことをしなければならないのか、さえ理解されていない場合が多いのです。
事務所主催の会議風景。
つづく
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