根性が違う、100歳の経営者魂―店長を震え上がらせた祖母の営業トーク―Ⅰ
先日、ある同業者の会合でのことでした。
これは少し珍しい会で、
「先輩後輩問わず税理士が集まって日頃の悩みや思うところを大いに語り合おう」
というかなりラフな会だったのです。
普段、会務報告とか事務伝達とか極めて退屈な内容でしかない会の中で面白い試みだと思って私も参加したのです。
まあそういう訳で、わりに自由な雰囲気の中で意見交換は進んでいきました。
話が事務所経営についての悩みあれこれになったとき、議長をしていたHさんが
「ところで事務所パンフレットとか皆さん作っているんですかね。」
と話題を振りました。
Hさんは普段から私とは割に言いたいことを言い合っている仲です。
彼の問いかけに対して皆黙っていました。
どうやらパンフレットを作っている人はいないらしいのです。
もちろん私は以前から作っていたので「そうか、誰もいないのか…」と思いつつ、それを取り出しました。
「私のところではこんなものを作っています。」
と1セット隣の先生たちに回していくと、始めて見る先輩の先生たちも「ほほう!」てな感じで眺めています。
Hさんは以前から私のパンフレットは知っていたのでつい余計な口を挟んできます。
「ああ、海江田さんのパンフレットね。あの無駄に金をかけたやつね。」
いつもの憎まれ口を叩きます。
「会計事務所のパンフレットは事務所のパソコンかなんかで手作りした程度でいいと思うんですよね。あんまり金をかけてもね。」
と、さらに続けました。
『わかってないなあ、Hちゃん! 「所内で手作り」程度は俺も散々やってきたんだよ。それでも伝わらないレベルがあるから、あえてプロと一緒に作ったのがこのパンフなのさ。』
『きのうきょうのマスターベーション(自己満足)で作ったわけじゃないんだぜ。わかんね―かなあ、そこんところ。わかんねーんだろうなあ。』
と私の心の中の声がつぶやきます。
つづく