顧客ニーズとウォンツについて―顕在化した需要と潜在的需要について考える―Ⅱ
マーケティングの本来の目的が、ドラッカーの言う『顧客の創造』ということであれば、目先のニーズのみを追いかけるのではなく、もう少し中長期のビジョンを持たなければなりません。
マーケティングというのは、顕在化している需要、ニーズに対応しながらも、潜在的なニーズ、まだ人々が意識すらしていない需要「ウォンツ」を嗅ぎ付けなければならないのです。
まさに、ここにマーケティング本来の醍醐味があるのです。
この「ウォンツ」を発見し、他に先んじて打った具体的な諸施策が、やがてツボにはまったときに、ビジネス上の大きな成功が手に入るのです。
そしてそのアドバンテージは、ビジネスの世界においてしばらくの間他を寄せ付けない成功につながるでしょう。
政治も同じです。
よく「国家百年の計」といいますが、そのくらいのスパンでものを考えなければ国家の良好な運営はできません。
そういう意味では、政治はマーケティングよりも更に長期のビジョンや理念が必要だと思います。
だから、常に次の選挙結果にビクビクしている小粒な政治家ばかりの寄せ集めではろくな政治はできないのです。
政治とマーケティングの最大の違いは、マーケティングが高度に効率を追求するものだ、ということにあります。
的確なターゲットに的確な商材を的確な販売方法で打ち込んでいく。
そして、ビジネスとして最少の費用で最大の利益を追求していくのがある意味マーケティングの大きな使命なのです。
しかし、政治はそうはいきません。
時に非効率であっても、国民の最大幸福を追求しなければならないからです。
場合によっては片寄りやしわ寄せ、というものに目をつぶらねばならないケースもあるだろうと思います。
そういう意味では、政治の方がより哲学や理念の高さを要求されるのではないでしょうか。
その理念や哲学を持つ政治家があまりに少なくプアなのが、今の日本の悲劇であると思います。
おしまい