顧客ニーズとウォンツについて―顕在化した需要と潜在的需要について考える―Ⅱ
『マーケティング』と『政治』の共通点ということを考えてみると面白いことに気付きます。
マーケティングは「市場ニーズ」を強く意識します。
というより、「市場ニーズ」を意識することそのものがマーケティングと言っていいでしょう。
同じく政治は「世論」或いは「支持率」というものを強く意識します。
政治を進める上で世論や支持率はかなり敏感に意識せざるを得ません。
我が社の提供する商材やサービスが市場ニーズに合わなければ、やがて売上は落ち込み収益はさっぱり上がらなくなります。
最悪の場合倒産にいたります。
同じように政治も世論の反感を買い支持率が落ち込めば、次第に体制を維持できなくなるでしょう。
これも支持率が一定の数字を下回ったときには最悪の場合選挙に追い込まれるのです。
マーケティングは「消費者」、政治は「選挙民」の支持を取り付けなければ成り立たないというところで両者は共通しているといえましょう。
消費者は「買わない」即ち「金を出さない」という行為で、選挙民は「選ばない」即ち「投票しない」という行為で意思表示することができます。
その点においてこの両者は似ているのです。
マーケティングの方がよりシビアなのは、政治は少なくとも次の選挙までタイムラグがあるのに比べて、マーケティングは即その日から「金を出さない」つまり「買わない」という行為を消費者が選択することができるという点にあります。
この意味において、消費者の日常生活に直結しているだけに、政治よりもビジネスの方がよりシビアではないでしょうか。
「時間稼ぎ」という手が使えないからです。
このような事情を背景に、マーケティングが消費者のマインドを、政治が選挙民の思惑を強く意識しながらその方向性を決定していくということは理解できないわけではありません。
しかし、この度が過ぎると一体どうなるでしょうか?
つづく