【風俗トラブル】風俗トラブルで警察から連絡が来たときの初動手順|その場で確認すること・応じないこと

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

突然、見覚えのない番号から着信があり、出てみると「〇〇警察署の者です」と名乗られる。風俗店の利用をめぐってトラブルになっていた方にとって、これほど落ち着かない場面はないかもしれません。「あの日のことで話を聞きたい」「署まで来てもらえますか」と言われると、その場で何かを答えなければならないように感じてしまいます。

 しかし、電話の最中に決めなければならないことは、実はそれほど多くありません。この記事では、風俗トラブルをめぐって警察から電話や連絡が来たときに、その場で確認しておくこと、その場では応じないほうがよいこと、電話を切った後に進める順序を整理します。

この記事は、2023年の刑法改正(不同意性交等罪・不同意わいせつ罪の新設)と性的姿態撮影等処罰法の施行を反映した内容です。実際の手続の進み方は、事案の内容や担当する警察署によって異なります。個別の判断については弁護士にご相談ください。


警察からの電話で、その場で決めることは多くない

 警察から電話で出頭を求められる場合、多くは逮捕を前提としない「任意」の呼び出しです。刑事訴訟法198条1項は、捜査機関が被疑者に出頭を求めて取り調べることができると定める一方で、逮捕・勾留されていない被疑者は出頭を拒むことができ、出頭した後もいつでも退去できるとしています。

 もっとも、任意だから無視してよいということにはなりません。正当な理由がないまま連絡に応じない状態が続くと、逃亡や証拠隠滅のおそれを判断する事情の一つとして見られることがあり、在宅のまま進むはずだった手続の進み方が変わってしまうおそれもあります。

 電話の場面で大切なのは、「応じるか、断るか」をその場で決めることではありません。相手が誰で、何の件で、自分がどの立場で呼ばれているのかを確かめ、即答を避けて、次の一手を考える時間を確保することです。電話を受ける前の心構えは、「警察から電話が来た」|折り返す前に確認したい3つのことでも解説しています。

その場で確認すること

 電話を受けたら、まず次の項目をメモに取ります。慌てていると聞いた内容を忘れやすいため、手元に紙がなければスマホのメモアプリでも構いません。

確認すること確認する理由
警察署名・部署名・担当者の氏名後で警察署の代表番号から担当者に取り次いでもらうため
折り返し先の電話番号着信した番号と照らし合わせ、警察署の番号と一致するか確かめるため
どの件についての連絡か利用日・店名・場所などが、心当たりの件と一致するかを確かめるため
被疑者か参考人か聞かれる内容や必要な準備が、立場によって変わるため
求められている日時と場所日程の調整が必要かどうかを判断するため
持参するよう言われた物スマホや身分証などの扱いを、事前に検討しておくため


相手が本当に警察かを確かめる

 近年は、警察官を名乗る特殊詐欺の電話も増えています。警察からの連絡は、通常、警察署の代表番号や担当部署の番号など、発信元が分かる形で行われます。非通知の着信であったり、話の途中で金銭の振込やアプリの操作を求められたりした場合は、いったん電話を切り、自分で調べた警察署の代表番号にかけ直して、担当者が在籍しているかを確かめると安心です。

 風俗トラブルの場面では、店の関係者が「もう警察に相談した」と言って連絡してくることもあります。名乗られた内容をそのまま受け取らず、警察署を通じて確認する手順を挟むことが大切です。

どの件で、どの立場で呼ばれているのか

 「何か心当たりはありますか」と聞かれても、こちらから事件の内容を説明する必要はありません。「どの件についてのご連絡でしょうか」と尋ね、相手から伝えられた範囲を記録します。

 また、被疑者として取り調べたいのか、参考人として事情を聞きたいのかによって、その後の見通しは大きく異なります。たとえば、利用した店が摘発されて客として事情を聞かれる場合と、キャストから被害届が出ている場合とでは、準備しておくべきことがまったく違います。担当者が答えられる範囲で構わないので、立場を確かめておきます。

日時は「確認してから折り返す」と伝えてよい

 「今日来られますか」と言われても、その場で承諾する必要はありません。「予定を確認して、こちらから折り返します」と伝え、いったん電話を切ることができます。仕事の都合などで日程の調整を申し出ることも、通常は受け付けてもらえます。

 ただし、折り返すと伝えたまま放置することは避け、自分で決めた期限までに必ず連絡を入れます。日程の組み方については、警察からの呼出しの日程は調整できるのか|仕事との両立で詳しく取り上げています。

その場では応じないほうがよいこと

 電話口や電話の直後には、次のような対応は控えるのが無難です。

  • 電話で事件の経緯を詳しく説明したり、行為を認めたりすること。
  • 準備の時間がとれない日程で、出頭を約束してしまうこと。
  • 警察から電話があったことを店やキャストに伝え、話の内容をすり合わせようとすること。
  • スマホに残っているやり取りや写真などのデータを削除すること。
  • 「示談すれば終わる」と考え、弁護士を通さずに店へ金銭を振り込むこと。


電話で事実関係を話さない

 電話での受け答えも、担当者がメモに残し、後の取調べで「電話ではこう話していた」と確認されることがあります。記憶があいまいなまま話した内容が、後になって供述の食い違いとして扱われるおそれもあります。

 自己に不利益な供述を強要されない権利は憲法38条1項で保障されており、取調べの際には、あらかじめ供述を拒むことができる旨を告げることが求められています(刑事訴訟法198条2項)。事実関係の説明は、弁護士に相談して内容を整理してからにするほうが安全です。取調べでの受け答えについては、「認める調書」を作られないために|風俗トラブルの取調べ対応の注意点もあわせてご覧ください。

店やキャストに連絡しない

 警察から連絡があったと分かると、店やキャストに「どういうことか」と確かめたくなるかもしれません。しかし、被害を訴えている側への直接の接触は、口裏合わせや働きかけと受け取られ、証拠隠滅のおそれがあると見られる原因になることがあります。示談の話し合いが必要な場合も、弁護士を通じて進めるのが一般的です。

データを消さない

 店とのやり取りやキャストとのメッセージには、自分の言い分を裏づける事情が含まれていることもあります。電話の後に慌てて削除すると、その材料を失うだけでなく、消したこと自体が不利な事情として見られるおそれがあります。手を付けずに残しておきます。スマホの提出を求められた場合の考え方は、【刑事事件】警察に「スマホを任意で出してほしい」と言われた|応じる前に確認することで解説しています。

電話を切った後に進める順序


  1. 受けた電話の日時、担当者名、話の内容をメモにまとめます。
  2. 警察署の代表番号にかけ直し、担当者が在籍しているかを確かめます。
  3. 利用日・店名・店やキャストとのやり取りの経過など、心当たりの件を時系列で書き出します。
  4. 出頭の前に弁護士へ相談し、話す内容と話さない内容、持参する物を整理します。
  5. 日程を決め、約束した期限までに警察へ折り返しの連絡を入れます。


 時系列のメモは、記憶が新しいうちに作るほど正確になります。店から届いたメッセージや着信履歴、利用時の予約記録なども、日付の確認に役立ちます。

 被害届がすでに受理されている場合の流れは、【風俗トラブル】被害届が受理されたと言われた|その後の流れと呼び出しまでの期間で整理しています。電話の中で「不同意性交等罪」などの罪名を告げられた場合は、【風俗トラブル】不同意性交等罪と言われた|風俗の場面で罪名が出たときの整理も参考になります。

警察官が自宅や勤務先を訪ねてきた場合

 電話ではなく、警察官が直接訪ねてくることもあります。この場合、まず確かめたいのは、逮捕状や捜索差押許可状などの令状を示されているかどうかです。令状がある場合は、その内容に沿って手続が進められるため、記載されている罪名や場所を落ち着いて確認し、弁護士への連絡を希望することを伝えます。

 令状がなく「署まで来てほしい」と求められる任意同行であれば、電話の場合と同じく任意の求めであり、日時の調整を申し出る余地もあります。ただし、その場の状況によっては、強い口調で断ることがかえって事態をこじらせることもあります。穏やかな口調で、記録と相談の時間がほしいと伝えるのが現実的です。

弁護士に相談するタイミング

 警察から連絡が来た段階は、まだ取調べを受けておらず、話す内容も示談の進め方も、これから組み立てられる時期です。この段階で弁護士が関わると、取調べに向けた受け答えの準備、出頭日程の調整、被害を訴えている側との示談交渉、身柄の拘束を避けるための意見の提出などを、並行して検討できるようになります。

 とくに、キャストや店との示談がまとまっているかどうかは、その後の処分の見通しに影響することがあります。示談交渉は本人が直接行うより、弁護士を通じて進めるほうが、相手方も話し合いに応じやすくなる傾向があります。早い段階で相談する意味については、【刑事事件】警察から電話が来た段階で弁護士に相談する意味で解説しています。実際の進み方の一例として、【解決事例】デリヘル利用後に警察署から着信|出国を控えるなか相談から5日で示談が成立した事例もご覧ください。

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まとめ

 警察からの電話は突然かかってくるため、その場で全てに答えなければならないように感じがちです。けれども、電話の中で必要なのは、相手と用件と自分の立場を確かめ、日程の返事を保留することまでです。事実関係の説明や店・キャストとの話し合いは、状況を整理してから進めても遅くはありません。不安なまま一人で受け答えを続けるより、早めに弁護士と方針を決めておくことで、落ち着いて手続に向き合いやすくなります。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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