【解決事例】メンズエステで不同意わいせつを主張され書面を根拠に慰謝料を示唆された事例|受任通知後に接触なく支払いなしで終結
風俗店の利用後に、キャストや店から「避妊具を外した」「外れたのにそのまま続けた」と言われ、慰謝料や検査費用、罰金などの名目で金銭を求められるご相談があります。行為の最中のことは記録が残りにくく、双方の記憶も食い違いやすいため、何が起きたのかを後から確かめるのが難しい類型です。その分、手元に残っている資料と、記憶が新しいうちに作った整理メモが、相談の場で大きな手がかりになります。
本記事では、避妊具をめぐる主張を理由に請求を受けた方が、弁護士に相談する前に揃えておきたい資料と、整理メモの作り方をまとめました。末尾には相談前のチェックリストも置いています。
本記事は2026年11月時点の法令を前提にしています。避妊具をめぐる行為の法的な評価には議論があり、個別の事情によって結論が変わることがあります。具体的な対応は、お手元の資料をもとに弁護士へご確認ください。
避妊具をめぐる主張で、どのような請求を受けやすいのか
請求のきっかけは、終了直後にキャストから指摘される場合のほか、店のスタッフが呼ばれてその場で話し合いになる場合、数日たってから店やキャストの関係者を名乗る人物から連絡が来る場合などさまざまです。まずは、自分がどの場面で、誰から、何を言われているのかを把握することが出発点になります。
「外した」「外れた」「破れた」で話の中身が変わる
一口に避妊具をめぐる主張といっても、意図的に外したと言われているのか、途中で外れたことに気づかないまま続けたと言われているのか、破損に気づいた後の対応を問題にされているのかで、争点が異なります。相手の言い分がどれにあたるのかを最初に押さえておくと、集めるべき資料の見当もつけやすくなります。
請求の名目を書き分ける
この類型では、次のような名目が組み合わされて提示されることがあります。
- 店の規約違反を理由とする罰金・違約金。
- キャスト本人の精神的苦痛を理由とする慰謝料。
- 性感染症の検査費用や通院費。
- 緊急避妊薬の費用や、妊娠を理由とする費用。
- 出勤できなくなった期間の補填などの休業損害。
名目ごとに、根拠となる事情も必要な資料も変わります。「示談金」として一括の金額だけを示された場合でも、どの名目がいくら含まれているのかを確かめておくと、相談の際に検討しやすくなります。
相談前に押さえておきたい法的な前提
資料を揃える目的をはっきりさせるため、刑事と民事の両面について、現時点での考え方の大枠を確認しておきます。
刑事の面|「罪にならない」とは言い切れない
2023年の刑法改正で不同意性交等罪が設けられました。避妊具の着用を条件に性交に同意していたのに、相手に知られないまま避妊具を外す行為は「ステルシング」と呼ばれ、海外では処罰の対象としている国もあります。日本では、性交そのものへの同意はあることから不同意性交等罪にはあたりにくいとする弁護士の見解が報じられている一方、法務省の解説でも明確には触れられておらず、解釈が定まっているとまではいえません。
また、性感染症をうつしたとされる場合には、傷害罪として問題にされる余地があるとも指摘されています。さらに、本番行為が禁止されている業態では、避妊具の話とは別に、性交そのものに同意があったかどうかが問われることもあります。相手の主張がどの点に向けられているのかによって、刑事の見通しは変わります。
民事の面|請求には根拠と相当性が必要
刑事上の罪にあたらない場合でも、精神的苦痛を理由とする慰謝料の請求を受けることは考えられます。もっとも、請求された金額がそのまま認められるわけではなく、どのような事実があったのか、どのような損害が生じたのかを、請求する側が示す必要があります。
店の規約にもとづく罰金や違約金についても、規約に書かれているからといって、記載どおりの金額を支払う義務が当然に生じるとは限りません。金額が過大な場合には、その効力が争われることがあります。
資料が言い分の食い違いを埋める
この類型では、行為の最中の出来事そのものを示す客観的な資料はほとんど残りません。そのため、予約の内容、その場や後日のやり取り、請求額の変化といった周辺の事情を積み重ねて、どちらの言い分に無理がないかを検討していくことになります。資料の一つひとつは小さくても、まとまると判断の材料になります。
相談前に揃えたい資料
次の表は、相談の際に手元にあると検討を進めやすい資料の例です。すべてが揃っていなくても相談はできますので、残っているものから集めてください。
| 資料 | 分かること | 揃えるときの注意 |
|---|---|---|
| 予約の記録(予約メール・SMS・店のサイトの予約画面) | 利用日時、店名、コース、キャスト名 | 履歴が消える前に画面を保存しておく |
| 支払いの記録(領収書・カード明細・振込明細) | 利用料金と、その後に支払った金額 | 請求に応じて支払った分は別にまとめる |
| 店のサイトの料金表・禁止事項 | 利用時にどのようなルールが示されていたか | 後から書き換えられることがあるため、保存した日付が分かる形で残す |
| 店やキャストとのやり取り(LINE・SMS・メール・通話履歴) | 主張の内容、請求額の変化、言われた言葉 | 自分が送った分も含めて全体を残す |
| 請求の内容が分かるもの(請求書面・メッセージ) | 名目、金額、支払期限、支払方法 | 口頭で言われただけなら、日時と言葉をメモする |
| 署名した書面(誓約書・示談書・念書) | 何を約束させられたか | 手元にない場合は、写真の有無と、書面の題名・金額を書き留める |
| 提示された診断書や検査結果 | 請求の根拠として示された内容 | 見せられただけなら、日付・医療機関名・記載されていた内容をメモする |
| 身分証を見せた・撮影された事実 | 相手が持っている個人情報の範囲 | どの書類を、誰が、どのように扱ったかを記録する |
消さない・書き換えない・送り直さない
不安から相手とのやり取りを削除したり、トーク画面を非表示にしたりすると、後で経緯を確かめられなくなることがあります。スクリーンショットを撮るときは、日時と相手の表示名が入る形で保存しておくと安心です。記録を確かめる目的で、相手にあらためてメッセージを送るのは控えたほうが無難です。
ご自身の検査結果をどう扱うか
性感染症をうつしたと言われている場合、ご自身の検査結果は、相手の主張を検討するための手がかりの一つになることがあります。ただし、検査を受けるかどうかと、その結果を相手に示すかどうかは別の問題です。結果を相手に伝える前に、弁護士と扱いを相談しておくことをおすすめします。
整理メモの作り方
資料と並んで役に立つのが、ご自身の記憶をまとめた整理メモです。時間がたつほど細部は薄れていくため、できるだけ早い段階で、次の項目に沿って書き出しておくとよいでしょう。
| 項目 | 書いておくこと |
|---|---|
| 利用の概要 | 日付、時間帯、店名、利用場所(店舗・自宅・ホテル)、キャスト名 |
| 避妊具の扱い | 誰が用意し誰が着けたか、着用を確かめた場面、外れた・破れたと気づいた時点とその後の行動 |
| その場での会話 | 相手が何と言ったか、自分が何と答えたか(できるだけ言葉どおり) |
| 終了後の流れ | 店のスタッフが来たか、どこで何を話したか、書面への署名や身分証の提示の有無 |
| 請求の経過 | 最初の請求の日時・金額・名目と、その後の変化 |
| 支払いの有無 | 支払った日、金額、方法、受領書の有無 |
| 現在の心配ごと | 家族や職場への連絡のほのめかし、警察への届出を示唆する発言など |
「覚えていること」と「推測」を分けて書く
「たぶんこうだったと思う」という部分と、はっきり覚えている部分が混ざると、後で説明が揺れる原因になります。覚えていないことは「覚えていない」と書いておくほうが、相談の場では正確な検討につながります。
相手の主張は別の欄に書き出す
相手がいつ、誰を通じて、どのような言葉で主張しているのかを、自分の記憶とは分けて記録しておきます。主張の内容が途中で変わっている場合には、その変化自体が検討の材料になることがあります。
不利に見える事実も書いておく
ご自身にとって都合の悪い事実を伏せたままにすると、見通しを誤るおそれがあります。弁護士には守秘義務がありますので、気になる点も含めてメモに残しておいてください。
相談前チェックリスト
資料と整理メモの確認
- 予約・利用の日時と店名を確認できる記録。
- 店やキャストとのやり取りの保存(自分が送った分を含む)。
- 請求の名目・金額・期限の書き出し。
- 署名した書面の写真、または題名と金額のメモ。
- 提示された診断書・検査結果の写真、または記載内容のメモ。
- 支払った金額と方法の記録。
- 店のサイトの料金表・禁止事項の保存。
- 避妊具の扱いについての時系列メモ。
- 「覚えていること」と「推測」を分けたメモ。
- 相手が把握している自分の個人情報の範囲。
早めの相談を考えたい状況
次の状況に当てはまる項目が多いほど、早めにご相談いただくことで選べる手立てが残りやすくなります。
- 支払期限を区切られている状況。
- 「警察に行く」「被害届を出す」と言われている状況。
- 家族や職場への連絡をほのめかされている状況。
- 身分証を撮影された、または預けさせられた状況。
- その場で示談書や誓約書に署名した状況。
- 一部を支払った後に、追加の請求を受けている状況。
- 妊娠や性感染症を理由とする費用を求められている状況。
- 連絡のたびに請求額や名目が変わる状況。
資料を揃えている間に避けたい対応
相談の準備をしている間にも、相手から連絡が続くことがあります。次のような対応は、後の話し合いを難しくするおそれがあります。
- 急かされても、その場や電話口で支払いや新たな署名に応じるのは控えたほうが無難です。
- キャスト本人に個人的に連絡して事実を確かめたり謝罪したりすると、その文面が事実を認めたものとして扱われるおそれがあります。
- 事実と異なる内容を認める書面やメッセージは出さないようにします。
- 反対に、強い言葉で相手を非難する返信も、話し合いをこじらせる原因になりやすいです。
- 相手が指定する場所に一人で出向くのは避けたほうが安心です。
一方で、何も返さずに放置するのがよいとも限りません。期限を示されている場合には、「内容を確認したうえで後日回答します」といった短い返事にとどめ、その間に相談の準備を進めるのが一つの方法です。
弁護士に相談した後の進め方
弁護士にご依頼いただいた場合、相手方との連絡の窓口を弁護士に移したうえで、請求の根拠となる資料や内訳の提示を求め、主張と資料の食い違いを確かめていきます。刑事手続に進む可能性がある事案では、その見通しを踏まえて対応の順序を組み立てます。
話し合いで解決する場合には、支払う金額だけでなく、これ以上の請求をしないことの確認、口外しないことの約束、今後の接触を控えることなど、合意書にどのような条項を入れるかも重要になります。キャスト本人が合意の当事者に含まれているかどうかも、確認しておきたい点の一つです。
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まとめ
避妊具をめぐる主張は、行為の最中の出来事が争点になるため、記憶と周辺の資料をどれだけ丁寧に残せるかが検討の土台になります。請求の名目や金額に納得できない場合でも、すぐに支払ったり強く争ったりする前に、まずは手元の資料と整理メモを揃えて、落ち着いて見通しを確かめることが大切です。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


