ATMで金を下ろさせられる・カードを切らされる|悪質な恐喝からの離脱法

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

 「払うまで帰さない」「ATMで下ろしてこい」「カードで払え」——風俗のキャッチやぼったくり店で、こう迫られていませんか。あるいは、その場の勢いで支払ってしまい、後になって強い後悔と不安を感じてこの記事にたどり着いた方もいるかもしれません。

 まず知っておいてほしいのは、脅しを伴うこうした取り立ては、恐喝罪などの犯罪にあたる可能性があり、あなたはその被害者だということです。風俗を利用したという後ろめたさから、泣き寝入りする必要はありません。

 この記事では、身の安全を最優先にしながら、その場から離脱する方法と、支払ってしまった後の被害回復の手立てを、過度に不安をあおることなく整理します。

いま、その場で脅されているなら(安全最優先)

 もし今まさに脅されている状況であれば、何よりも身の安全が最優先です。お金は後から取り戻せる可能性がありますが、ケガは取り返しがつきません。

  • 複数人で囲まれている、帰してもらえないといった状況では、無理に抵抗したり、相手を挑発したりしないでください。
  • ATMコーナーやコンビニには防犯カメラや非常用ボタンがあります。可能であれば、人目のある明るい場所に移動しましょう。
  • トイレや店の外に出る口実を作り、隙を見て110番通報してください。その際は「店から帰してもらえない」「脅されてお金を要求されている」と、監禁・脅迫されている事実を具体的に伝えることが大切です。単なる料金トラブルとしてではなく、刑事事件として動いてもらいやすくなります。店の正確な住所が分からなくても、位置情報から現場が特定されることがあります。
  • キャッシュカードや暗証番号、クレジットカードは、できる限り渡さないでください。ATMで引き出させられそうな場面では、可能なら警備員や店員に助けを求めることも考えられます。
  • 「今は持ち合わせがない」などと伝え、時間と距離を作ることが、離脱や通報のきっかけになることもあります。

その取り立ては「恐喝罪」にあたる可能性がある

 脅しを用いてお金を支払わせる行為は、恐喝罪(刑法249条)にあたる可能性があります。恐喝罪の法定刑は10年以下の拘禁刑と、決して軽くありません。

 「家族や会社にバラす」「払わないと帰さない」「ATMで下ろしてこい」といった言葉で相手を怖がらせ、支払わせることは、典型的な恐喝の形です。帰らせてもらえない状況であれば監禁の問題も生じますし、抵抗できないほどの暴行・脅迫を伴えば、より重い強盗として評価される場合もあります。

 重要なのは、店が一方的に決めた「罰金」「保証料」といった名目の請求に、法的な効力があるとは限らないということです。言い値をそのまま支払わなければならない義務は、多くの場合ありません。

知っておきたい悪質な手口

 被害に遭いやすいのは、出張先や旅行先など、慣れない繁華街です。典型的な流れを知っておくと、早い段階で危険に気づけます。

 路上のキャッチに誘われ、前金を渡し、「保証料」などの名目で次々に金銭を求められ、最終的に高額になる——こうした、少しずつ金額を吊り上げる手口は「たけのこ剥ぎ」とも呼ばれます。

 そして、手持ちの現金が尽きると、「ATMで下ろせ」「キャッシングしろ」と迫られます。さらに悪質なケースとして、ドン・キホーテのような身近な量販店で、貴金属やブランド品、金券などをクレジットカードで購入させ、それを買い取らせて現金化し、支払いに充てさせるという手口も報じられています。カードの利用枠を限界まで使わせることを狙ったものです。実際に、こうした組織的な取り立てで店側の従業員らが摘発された事例も報道されています。

支払ってしまった後でも、諦めなくてよい

 すでに支払ってしまった場合でも、回復の余地が残っていることがあります。特にカード払いの場合は、複数の手立てがあります。

カードで払った・切らされた場合

 まず、できるだけ早くカード会社に連絡し、状況を説明してカードの利用停止などを相談してください。そのうえで、次のような制度の利用を検討できます。

  • 支払停止の抗弁(割賦販売法):加盟店との間でトラブルがある場合に、解決まで支払いを一時的に止められる仕組みです。
  • チャージバック:すでに引き落とされた後でも、取引の取消しや返金を求められる制度です。強迫や詐欺による契約、事前の説明と実際が著しく異なる場合などが対象になり得ます。

 いずれも、ぼったくりや脅迫の事実を裏づける証拠(やり取りの録音、写真、警察への相談記録など)が重要になります。貴金属などを買わされた場合は、その明細や現物も証拠になります。

現金を下ろして払った場合

 現金の場合、取り戻しは容易ではありませんが、不可能とは限りません。被害届の提出や刑事事件としての捜査を通じて相手方が特定され、返金交渉につながることがあります。実務上は、警察の捜査を経たうえで、被害届の取下げを条件に返金を求める、という進め方がとられることもあります。

やるべきこと・やってはいけないこと

 被害回復の成否は、どれだけ証拠を残せているかに大きく左右されます。店名や場所、従業員の人数や特徴、やり取りの録音、連絡先、カードやATMの利用明細(時刻・場所)、買わされた物のレシート、防犯カメラの所在などを、思い出せる範囲で記録しておきましょう。

 一方で、被害に遭った悔しさから、感情的に暴れたり物を壊したりするのは避けてください。かえって、こちらが威力業務妨害や器物損壊の責任を問われるおそれがあります。また、その場で示談書や念書にサインしてしまうことも、後の対応を難しくします。

家族・職場に知られずに解決するために

 「風俗を利用したことを知られたくない」という気持ちにつけ込むのが、この種のトラブルの常套手段です。しかし、繰り返しになりますが、脅されているあなたは被害者です。

 弁護士が代理人として窓口に入れば、店側は本人や家族、職場へ直接連絡することが難しくなります。連絡手段を本人の携帯電話のみに限定し、自宅への郵送を避けるなど、プライバシーに配慮した対応も可能です。後ろめたさから一人で抱え込むより、早めに相談することが、被害回復と、露見の防止の両面で有効です。

まとめ

  • ATMでの引き出しやカード決済を脅しで迫る取り立ては、恐喝罪などにあたる可能性がある。まずは身の安全を最優先に離脱し、監禁・脅迫があれば110番を。
  • 店が一方的に決めた「罰金」「保証料」に、言い値で応じる義務はないことが多い。
  • 現金が尽きると量販店で貴金属などをカードで買わせ換金させる、といった悪質な手口も報じられている。
  • 支払ってしまっても、カードなら支払停止の抗弁やチャージバック、現金でも刑事手続きを通じて回復の余地がある。証拠の保全が鍵。
  • 風俗利用の後ろめたさで泣き寝入りせず、早めに弁護士へ。家族・職場に知られずに進める方法がある。

 若井綜合法律事務所は、不当な要求への対応や風俗にまつわるトラブルを、お客様側の立場で、家族や職場に知られることなく、迅速かつ穏便に解決することを大切にしている法律事務所です。
 脅しに一人で耐える必要はありません。まずはお気軽にご相談ください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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