【親子問題】子が借りた部屋の連帯保証人を、親がやめることはできる?
この記事は、成人した子の暴力やお金の無心、ひきこもりなどについて、親御さんが弁護士に依頼する場面を前提にしています。離婚や別居にともなう未成年の子との面会交流は扱っていません。
子の暴力やお金の要求に悩み、弁護士への相談を考えながらも、「弁護士に頼んだら、もう子とは会えなくなるのではないか」「親が子を見放したと受け取られないか」とためらう親御さんは少なくありません。
先にお伝えすると、弁護士に依頼したからといって、法律上、親が子と会えなくなるわけではありません。依頼によって主に変わるのは、お金の要求や話し合いの「窓口」です。ただし、介入の初めの時期には、方針として親から子へ直接連絡したり会ったりすることを控えていただく場面があります。この記事では、その理由と、離れている間の様子の知り方、再び会うまでの考え方を整理します。
弁護士への依頼で変わること・変わらないこと
親が弁護士に依頼すると、弁護士は親の代理人として子と向き合います。変わる部分と変わらない部分を分けると、次のようになります。
| 項目 | 依頼の前 | 依頼の後 |
|---|---|---|
| 法律上の親子関係 | 続いている | 続いている(依頼によって変わらない) |
| お金の要求や話し合いの相手 | 親が直接受ける | 弁護士が窓口になる |
| 子から親への用件 | 親に直接届く | 弁護士に向けるよう子に求める |
| 親が子と会うこと | 当事者どうしで判断 | 禁止はされない。方針として一時的に控えることがある |
法律上の親子関係は、弁護士への依頼によって変わることはなく、親の側の意思だけで解消することもできません。この点は【親子問題】子と縁を切りたい|法律上できることとできないことで詳しく解説しています。
依頼によって変わるのは、主にやり取りの経路です。これまで親が一人で受け止めてきた要求や言い分を、弁護士が代わりに受けるようになります。窓口を代える意味については【親子問題】弁護士に頼むと何が変わるのか|窓口を代えるという選択もあわせてご覧ください。
「会えなくなる」と感じやすい理由
離婚の場面のイメージと重なりやすい
「弁護士 子と会えない」という言葉で調べると、離婚や別居によって子と会えなくなった親の相談が多く見つかります。法律相談サイトにも、配偶者の弁護士から「依頼者や親族に接触しないように」と書かれた書面が届き、子と電話してよいのか戸惑っているという相談が寄せられています。
こうした相談の多くは、未成年の子をどちらの親が育てるか、離れて暮らす親とどう会うかという、面会交流の問題です。成人した子との親子問題は、これとは前提が異なります。成人した子と親が会う頻度を裁判所が決める仕組みはなく、会うかどうかは親と子それぞれの意思に委ねられています。
通知の文面が「接触禁止」のように読める
弁護士が介入する際は、子に対して通知を送り、今後の用件は弁護士に連絡するよう求めるのが一般的です。この文面を見て、親も子に近づけなくなると受け取る方がいます。
しかし、この通知は親の代理人として子に協力を求めるもので、裁判所の命令のように子の行動を法的に縛るものではありません。依頼者である親の行動を制限するものでもありません。通知に何を書くかについては【親子問題】弁護士から子に最初の連絡が入るとき|通知で伝えることで解説しています。
関係を断つための依頼だと思われやすい
弁護士が入ると、家族の関係が「争い」に切り替わるように感じる方もいます。当事務所が親子問題で目指しているのは、親と子それぞれの自立であって、親子の関係を断つことではありません。実際に取り組んできたケースでも、親への攻撃を止めながら子の自立を支え、その結果として関係が落ち着いていった家庭があります。
介入の初めに直接の接触を控えていただく理由
それでも、介入を始めてしばらくの間は、親から子へ直接連絡したり会ったりすることを控えていただくようお願いすることがあります。主な理由は次のとおりです。
- 窓口を一本にして、お金の要求が親に直接流れ込む経路を閉じるためです。
- 親が個別に応じると弁護士を通した話し合いと食い違い、子が「親に言えば通る」と受け止めるおそれがあるためです。
- 介入の直後は子の気持ちが揺れやすく、暴力のおそれがある家庭では安全を優先する必要があるためです。
- 親御さん自身が要求や暴言から離れ、心身を休める時間をつくるためです。
控える期間は家庭ごとに異なり、一律に何か月と決まっているわけではありません。子の生活の落ち着き具合、支援者との関係のでき方、要求が収まってきたかどうかなどを見ながら、段階的に見直していきます。介入の後に子の反発が強まった場合の備えは【親子問題】介入の後に子が逆上した|再度の暴力への備えで取り上げています。
離れている間、子の様子は分からなくなるのか
当事務所では、弁護士と民間の自立支援カウンセラーがチームを組んで対応しています。弁護士は親の代理人として要求を受け止め、カウンセラーは住まい探しや仕事探し、生活保護の申請のサポート、日々のお金の管理や悩みの相談など、子の日常生活を支えます。
子の様子は、カウンセラーから親御さんに報告します。親が直接会わない期間があっても、子が今どのような生活を送っているかを知る手立てはあります。子を孤立させたままでは自立は進みにくいため、子の側にも支援者がつく形をとっています。
また、介入の初めには、弁護士とカウンセラーがご自宅を訪問し、子と直接話をすることも少なくありません。家を出て自分で生活していくことを時間をかけて提案し、子がそれを受け入れた後も、最初から一人で暮らしていけるわけではないため、親からの必要最小限の経済的な支えを続けながら、カウンセラーが生活の土台づくりを手伝います。家を出てから少なくとも半年ほどを支援の期間として見込んでいます。親からの支えが続いている以上、親子のつながりが途切れるわけではなく、関わり方の形が変わると考えていただくとよいかもしれません。
役割の分け方は【親子問題】弁護士とカウンセラーが組むという形|役割を分ける理由、子が家を出た後の連絡の考え方は【親子問題】独立した後に連絡が来なくなったら|安否確認の順序と「報告の枠組み」で解説しています。
親と子が再び会うまでの考え方
親が会いたいと思ったとき
子に会いたいと感じるのは自然なことです。その気持ちを抑え込む必要はありませんが、先に弁護士やカウンセラーに伝えていただくと、時期や場の設け方を一緒に考えられます。支援が軌道に乗る前に親が単独で会うと、それまでの取り決めが崩れることがあるためです。
子から会いたいと言われたとき
子から「会いたい」「家に寄りたい」と連絡が来ることもあります。その場で返事をせず、「相談してから返事をする」と伝えるだけでも十分です。会いたいという言葉の背景にお金の話が含まれていないか、支援者と一緒に確かめてから判断すると安心です。家に戻りたいと言われた場面については【親子問題】独立した子が家に戻りたいと言ってきた|再同居を断るときもご覧ください。
会うときに決めておきたいこと
- 会う場所と時間の長さ。
- 同席する人の有無。
- 話題にしないこと(お金の貸し借りや住まいの話など)。
- 途中で切り上げるときの合図。
- 会った後に支援者へ様子を伝える方法。
会わない期間が長くなる場面もある
すべての家庭で、短い期間で会えるようになるとは限りません。子自身が親と会うことを望まない場合、成人した子の意思を親の希望だけで変えることはできません。また、暴力が深刻な家庭では、警察とも連携しながら、安全が確認できるまで会わない判断をとることがあります。
直接会うことが難しいまま話し合いが必要になった場合には、家庭裁判所の調停で第三者を交えて話し合う方法もあります。会わない期間が続いても、それがそのまま関係の終わりを意味するわけではありません。距離を置くことの意味については【親子問題】親子が離れて暮らすことの意味|距離という視点で取り上げています。
依頼の前に弁護士と確認しておきたいこと
子と会えなくなることが心配な場合は、依頼の前にその気持ちを率直に伝えてください。次の点を確認しておくと、依頼後の進め方を思い描きやすくなります。
- 子との連絡や面会についての親としての希望。
- 直接の接触を控える期間の目安と、見直しの時期。
- 子の様子の報告の方法と頻度。
- 子から直接連絡が来たときの対応。
- 方針を途中で変えたいときの相談の仕方。
相談の場で確認したい点は相談で弁護士に必ず確認したい10の質問、当事務所の流れと費用は【親子問題】子の暴力・ひきこもり・お金の無心・犯罪行為に悩む親御さんへ|ご相談から自立までの流れと費用、よくあるご質問にまとめています。
よくあるご質問
弁護士に相談したことは、子に伝わりますか
弁護士には守秘義務があり、相談しただけで子に伝わることはありません。介入を始める段階で、子に通知を送ることによって初めて伝わります。詳しくは【親子問題】相談内容は子に伝わるのか|守秘義務と連絡の取り方をご覧ください。
依頼中に子から電話がかかってきたら、出てもよいですか
出ること自体が禁じられているわけではありません。ただ、出るかどうか、出た場合にどこまで話すかは、事前に弁護士と決めておくと迷いが少なくなります。お金の話になったときは「弁護士に伝えてほしい」と答え、やり取りの内容を後で共有していただくと、方針の食い違いを防ぎやすくなります。
子のほうも弁護士をつけた場合は、どうなりますか
子に代理人の弁護士がついた場合、当事務所の弁護士は、原則として子の弁護士を通してやり取りをします(弁護士職務基本規程52条)。これは弁護士どうしのルールで、親が子と会うことを禁じるものではありません。ただ、話し合いが続いている間に親が個別に会うと、どちらの言い分が本当なのか分かりにくくなることがあるため、会う前に担当の弁護士へ相談していただくのが無難です。
依頼が終わった後は、自由に会えますか
依頼が終わった後に子と会うかどうかは、親御さんと子の判断に委ねられます。終了の前に、その後の関わり方や連絡の頻度を一緒に考えておくと、元の状態に戻ることを防ぐ助けになります。
まとめ
弁護士に依頼しても、親子の関係そのものがなくなるわけではありません。介入の初めに接触を控える期間があるとしても、それは子の自立と親御さんの安全のための段取りの一つです。子と会えなくなることが不安で相談をためらっている場合は、その不安から聞かせてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


