【親子問題】再婚した親と成人した連れ子の関係がこじれたら?

若井亮

若井亮

テーマ:親子問題

この記事は、連れ子が成人(18歳以上)している場合を前提に、民法の規定に沿って解説しています。連れ子が未成年の場合は、親権の扱いなど別の論点が加わります。


再婚してから年月が経ち、連れ子が大人になったころに、再婚相手との関係がうまくいかなくなることがあります。同じ家に住み続けている、生活費を求められる、言葉の行き違いが重なって会話がなくなった、将来の相続が気になってきた、といった形で表に出てくることが多いようです。

 こうした場面では、まず「法律上どういう関係にあるのか」を確かめることが出発点になります。養子縁組をしているかどうかで、扶養や相続、関係を解消する方法が変わるためです。この記事では、再婚した親(実親)と再婚相手(継親)の立場から、成人した連れ子との関係がこじれたときに確認しておきたいことを整理します。

まず確かめたいのは養子縁組をしているかどうか

 再婚しただけでは、再婚相手と連れ子の間に法律上の親子関係は生じません。この場合、両者は「1親等の姻族」という関係にとどまります(民法725条)。一方、再婚相手と連れ子が養子縁組をしていれば、連れ子は再婚相手の嫡出子としての身分を取得し(民法809条)、法律上の親子になります。

 連れ子が幼いころに縁組をしていて、家族の記憶があいまいになっていることもあります。縁組の有無は戸籍に記載されているため、戸籍謄本で確かめておくと話を整理しやすくなります。

項目養子縁組をしている場合養子縁組をしていない場合
法律上の関係法律上の親子1親等の姻族
扶養の義務直系血族として互いに扶養義務を負う原則として負わない(特別の事情があれば家庭裁判所が定めることがある)
相続継親の相続人になる継親の相続人にはならない
関係を終わらせる方法離縁(協議・調停・裁判)夫婦の離婚によって姻族関係が終了する


 なお、扶養義務があるといっても、成人した子に対して親が負うのは、自分の生活に余裕がある範囲で援助する程度のものと一般に考えられています。親の扶養義務の範囲については、【親子問題】親の扶養義務はどこまでか|成人した子を養う義務はあるのかで解説しています。

関係がこじれる場面と、法律上の見通し


連れ子が家を出ていかない

 成人した連れ子が同居を続けていて、再婚相手が出ていってほしいと考えるケースです。住まいの名義が誰にあるか、連れ子がどのような経緯で住んでいるかによって、求められることが変わります。名義人が明渡しを求めること自体はできますが、鍵を替える、荷物を外に出すといった実力での追い出しは、法的に問題になるおそれがあります。進め方については【親子問題】子を家から出ていかせることはできるのか|占有と明渡しをご覧ください。

 名義が実親にある場合は、再婚相手だけの判断では明渡しを求められない点にも注意が必要です。夫婦の方針がそろっていないまま動くと、話し合いがかえってこじれることがあります。

生活費やお金を求められる

 養子縁組をしていない場合、再婚相手には連れ子を扶養する法律上の義務は原則としてありません。養子縁組をしている場合でも、働いて生活できる年齢の子からの要求に、親がそのまま応じなければならないわけではありません。断ることの位置づけや、渡したお金の記録の残し方は、【親子問題】子から金銭を要求され続けている|断ることの法的な位置づけで整理しています。

実親が板挟みになる

 実親にとっては、配偶者も子も大切な家族です。どちらかの味方をしているように受け取られると、もう一方との関係まで悪くなりがちです。実親が子をかばい、再婚相手が厳しい対応を求めるといった形で夫婦の方針が分かれたときの考え方は、【親子問題】夫婦で方針が割れる|一方の親が子をかばうときで取り上げています。

相続への不安が出てくる

 養子縁組をしている連れ子は再婚相手の相続人になり、遺言で取り分を少なくしても、遺留分を請求できる立場にあります。養子縁組をしていない連れ子は再婚相手の相続人にはなりません。ただし、再婚相手が先に亡くなって実親がその財産を相続し、その後に実親が亡くなると、その財産は実親の子である連れ子にも相続されることがあります。誰に何を残したいかについては、夫婦それぞれの遺言の内容を早めに検討しておくことが一つの方法です。

 暴力や重大な侮辱が続いている場合には、相続人から外す「相続廃除」という制度もありますが、認められる要件は限られています。詳しくは【親子問題】暴力を続ける子に財産を渡したくない|相続廃除の要件をご覧ください。

暴力や暴言がある

 身の危険を感じる場面では、関係の整理より先に安全の確保を優先します。110番通報や警察署への相談をためらう必要はありません。再婚相手に向けた暴力については、【親子問題】再婚相手(継親)に子が暴力をふるう|養子縁組の有無で変わる法的な関係と対応で詳しく解説しています。

関係を整理する方法


話し合いの結果を書面に残す

 同居を終える時期、援助の金額と期間、連絡の取り方などを話し合いで決められる場合は、合意書にしておくと後の行き違いを減らせます。ただし、親子間の合意書には、守られなかったときの強制力に限界もあります。【親子問題】親子間で合意書を作る|約束を書面にする意味と限界もあわせてご覧ください。

養子縁組を解消する(離縁)

 養子縁組をしている場合、再婚相手と連れ子が合意すれば、届出によって離縁できます(民法811条1項)。合意できないときは、家庭裁判所の調停を経て、離縁の訴えを起こすことになります。裁判で離縁が認められるのは、悪意で遺棄されたとき、生死が3年以上明らかでないとき、縁組を継続し難い重大な事由があるときです(民法814条1項)。関係が悪いというだけで直ちに認められるわけではなく、これまでの経緯の全体から判断されます。成人した養子との離縁の進め方は、【親子問題】養子と離縁したい|成人した養子との関係の解消で解説しています。

夫婦の離婚や死別と、連れ子との関係

 連れ子との関係がきっかけで夫婦の関係まで悪くなり、離婚を考える方もいます。養子縁組をしていない場合は、離婚によって再婚相手と連れ子の姻族関係も終わります(民法728条1項)。一方で、養子縁組は夫婦の離婚では自動的には解消されません。離縁の手続をしない限り、扶養や相続の関係は残ります。

 また、実親が先に亡くなった場合、養子縁組をしていない再婚相手と連れ子の姻族関係は当然には終わりません。再婚相手が関係を終わらせたいときは、届出によってその意思を表示する方法があります(民法728条2項)。

動き出す前に整理しておきたいこと


  • 戸籍謄本で、養子縁組の有無と時期を確かめておくこと。
  • 住まいの名義と、連れ子が住むことになった経緯を確かめておくこと。
  • これまでに渡したお金や負担した費用を、時期と金額がわかる形でまとめておくこと。
  • 暴言・暴力・物の破損などがあれば、日時と内容を記録しておくこと。
  • 実親と再婚相手で、どこまでを目指すのかを話し合っておくこと。


 相談の前に用意しておくとよい情報は、【親子問題】相談の前に整理しておきたい5つの情報にまとめています。

第三者が間に入るという選択

 当事者どうしで話すと、過去のいきさつや感情が先に立ち、話し合いが進まないことがあります。弁護士が親の代理人として連絡の窓口を引き受ければ、直接のやり取りを減らしながら、住まいやお金の条件を整理していくことができます。

 当事務所では、親子の問題について、弁護士が親側の代理人として介入し、自立支援カウンセラーが子の住まい探しや仕事探しなど生活面を支える形で対応しています。連れ子を一方的に遠ざけるのではなく、本人が自分の生活を立てられるよう支えることが、結果として家族全体の負担を軽くすることにつながると考えています。サービスの内容は、【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応をご覧ください。

 なお、実親と再婚相手の間で利害が分かれている場合(離婚や財産の分け方で意見が対立している場合など)は、一人の弁護士が夫婦双方の代理人になれないことがあります。ご相談の際は、どなたがどの立場で相談されるのかを最初にお伝えください。

よくあるご質問


再婚相手と連れ子が口をきかなくなっただけでも、相談してよいのでしょうか

 暴力や金銭のトラブルが起きていなくても、ご相談いただいてかまいません。会話がない状態が長く続くと、住まいやお金の話を切り出しにくくなり、問題が表に出たときには選べる方法が少なくなっていることがあります。法律上の関係を確かめ、今後起こりうることを見通しておくだけでも、夫婦で落ち着いて話し合う材料になります。

連れ子が再婚相手のお金を無断で使っていた場合はどうなりますか

 再婚相手と連れ子は、養子縁組をしていなくても姻族として「親族」にあたります。そのため、無断で持ち出された場合の刑事上の扱いには、同居しているかどうかなどによって特例が設けられています(刑法244条)。一方で、使われたお金の返還を求めるなど、民事上の請求ができるかどうかは別に検討することになります。考え方は【親子問題】親の預貯金を勝手に引き出された|刑事と民事の分かれ道で解説しています。

連れ子のもう一人の実の親に相談してもよいのでしょうか

 連れ子と、前の配偶者などもう一人の実の親との親子関係は、再婚や養子縁組の後も続いています(普通養子縁組の場合)。連れ子が成人していれば、その実の親に何かを強制することはできませんが、連れ子の住まいや生活の受け皿について協力を相談できる場合もあります。ただし、元の夫婦の間に別の対立が残っていることもあるため、連絡するかどうかは家族の状況を踏まえて慎重に判断してください。

 再婚家庭の親子関係は、養子縁組の有無や住まいの名義、夫婦それぞれの考えによって、取れる手段が変わります。関係がこじれていると感じたら、まずは法律上の関係を確かめ、何を優先したいのかを整理するところから始めてみてください。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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