【親子問題】親の家に住み続ける子に、固定資産税や修繕費の負担を求められる?
この記事は、成人した子と暮らす、または離れて暮らす親御さんを想定した一般的な解説です。薬の飲み方や量についての医学的な判断は、主治医や薬剤師にご確認ください。命に関わるおそれがあると感じたときは、この記事を読む前にまず119番に連絡してください。
精神科や心療内科に通う子が、処方された薬を飲んでいない。あるいは、部屋の引き出しから飲まずにためた薬がまとまって出てきた。そうした場面に気づいた親御さんから、どう声をかければよいのか、薬を取り上げてよいのかというご相談をいただくことがあります。
薬の問題は医療の領域ですが、薬を捨てる・預かる・人に渡すといった行為には、法律上の扱いが関わる部分もあります。この記事では、親が取れる行動と避けたい行動を整理し、医療や相談窓口へのつなぎ方を解説します。
「飲まない」と「ため込む」は分けて考える
同じ薬の問題でも、飲まずに放置しているのか、飲まずにためているのかで、親が気にかけたい点は変わります。
| 状況 | 考えられる背景の例 | 親がまず気にかけたい点 |
|---|---|---|
| 飲まない | 副作用がつらい、効いていると感じない、病気だと認めたくない | 体調や生活の変化、受診が続いているか |
| ため込む | 飲み忘れが積み重なった、まとめて飲む・人に渡すつもりがある | 命に関わるサインの有無、薬の行き先 |
背景は人によって異なり、親が推測で決めつけることは避けたいところです。理由を問い詰めるよりも、「最近つらそうに見える」「体調はどうか」といった、本人の状態に目を向けた声かけのほうが、話を聞ける余地が残りやすい傾向があります。
処方薬は本人のもの|親がしてよいこと・避けたいこと
処方薬は、医師の診察を受けた本人に処方され、本人が受け取ったものです。成人した子であれば、治療を受けるかどうか、薬を飲むかどうかも、原則として本人が決めることになります。そのうえで、親の対応を3つに分けて考えます。
黙って捨てる・隠す
本人に断らずに薬を捨てたり隠したりすると、本人の持ち物を勝手に処分したことになり、親子の間で大きな争いになるおそれがあります。また、薬によっては急にやめることで体調を崩すものもあります。安全のために手元から離したいと考えたときも、まず主治医や薬剤師に相談してから動くほうが無難です。
食事や飲み物に混ぜて飲ませる
飲ませたい一心で、本人に知らせずに薬を混ぜる方法を考える親御さんもいます。しかし、本人の同意なく薬を飲ませることは、本人の自己決定を損なう行為であり、気づかれたときに親への信頼を大きく損ないます。体調に変化が起きた場合には、親が責任を問われるおそれも否定できません。避けたほうがよい対応です。
本人の了解を得て親が預かる
本人が了解していれば、薬を親が預かり、決まった分だけを渡すという方法も考えられます。この場合も、主治医に「家族が管理している」と伝えておくと、処方の日数や受け渡し方を見直してもらえることがあります。本人が嫌がっているのに無理に取り上げると、かえって薬を隠すようになることもあるため、了解を得る過程そのものを大切にしたいところです。
主治医・薬剤師に伝えるときのポイント
医師や薬剤師には、刑法134条などにより職務上知った秘密を守る義務があります。そのため、成人した子の病状や治療内容を、本人の同意なく家族に説明することは通常ありません。
一方で、家族から医師へ情報を伝えることは妨げられていません。「家族には何も教えてもらえない」と感じても、家での様子を伝えることには意味があります。伝える際は、次の点をメモにまとめておくと伝わりやすくなります。
- 薬を飲んでいないと気づいた時期と、そのきっかけ。
- 見つかった薬の種類と、おおよその量。
- 睡眠・食事・外出など生活の変化。
- 「死にたい」「消えたい」といった言葉の有無。
- ほかの病院にも通っている様子があるかどうか。
お薬手帳が見られる状態であれば、どの医療機関から何が処方されているかを確かめる手がかりになります。本人が受診に同行させてくれない場合は、病院に電話をして「家族として情報を伝えたい」と申し出る方法もあります。
ため込みが見つかったときに確かめたいこと
飲まずにためた薬は、飲み忘れの結果にすぎないこともあれば、つらさを抱えた本人が、まとめて飲むことを考えているサインであることもあります。どちらなのかを家族だけで見極めるのは難しいため、見つけた段階で主治医に伝えることをおすすめします。
本人が「死にたい」と口にしている、普段と様子が大きく違う、すでに多く飲んだ形跡があるといった場合は、迷わず119番に連絡してください。東京都では、救急車を呼ぶべきか迷うときに相談できる「#7119」もあります。
すぐに命の危険があるとまではいえないものの、家族として不安が大きいときは、各都道府県の精神保健福祉センターや、厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」で、家族からの相談を受け付けています。受付時間は地域によって異なります。本人が強い言葉で親を追い詰めてくる場合の考え方は、【親子問題】「金を出さないと死ぬ」と子に言われた|命の問題と金銭の問題を分けて考えるで詳しく解説しています。
薬を人に渡している・売っている疑いがあるとき
ためた薬を友人に渡している、インターネットで売っている様子があるという場合は、本人自身が法律上の問題を抱えるおそれがあります。
睡眠薬や抗不安薬の多くは「向精神薬」にあたり、麻薬及び向精神薬取締法によって、譲り渡せる者と相手が限られています。処方を受けた本人であっても、余った分を他人に渡すことは同法に反するおそれがあり、お金を受け取っていればさらに重く扱われる可能性があります。向精神薬にあたらない医療用医薬品でも、許可なく販売することは医薬品医療機器等法上の問題になり得ます。
この段階では、薬の問題に加えて刑事手続の見通しも関わってきます。子の行為が罪にあたるかどうか、親として何ができるかは、具体的な事情によって変わるため、早めに弁護士へご相談ください。薬への依存が疑われる場合の家族の関わり方は、【親子問題】薬物の問題を抱える子と家族の関わり方|距離の取り方という視点や【親子問題】刑事処分だけでは止まらない|依存症支援の窓口もあわせてご覧ください。
本人が受診も服薬も拒むとき
成人した子が治療そのものを拒んでいる場合、親が代わりに受診させたり、薬を飲ませたりすることは原則としてできません。精神保健福祉法には、本人の同意がなくても入院が行われる医療保護入院や措置入院の制度がありますが、いずれも医師の診察による判断が前提で、家族の希望だけで決まるものではありません。
家族が先にできるのは、医療機関や公的窓口に相談し、家での様子を記録しておくことです。本人が相談を拒む段階でできることは【親子問題】本人が相談を拒む場合|家族だけで動ける範囲、医療保護入院の同意を求められた場合の考え方は【親子問題】医療保護入院の同意を求められた|家族が同意することの意味で解説しています。
暴力や金銭の要求が重なっているとき
ご相談のなかには、服薬の問題とあわせて、子からの暴言や暴力、お金の無心が続いているご家庭も少なくありません。薬のことで親が口を出すたびに衝突が起き、親が疲れ切ってしまうこともあります。
当事務所では、弁護士が親御さんの代理人として子との連絡の窓口を担い、自立支援カウンセラーが子の生活面を支える形で、親子の問題に取り組んでいます。治療や薬についての判断は医師に委ねつつ、親が子と直接向き合い続けなくてよい環境を整えることが目的です。取り組みの内容は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応でご紹介しています。
よくあるご質問
子の主治医に、親だけで相談に行ってもよいですか
家族だけの相談に応じるかどうかは医療機関によって異なります。応じてもらえる場合でも、本人の同意がなければ病状の説明は受けられないことが多い一方、家族からの情報は受け取ってもらえます。まずは電話で受け付けの方法を確認するとよいでしょう。
見つけた薬はどう扱えばよいですか
本人に処方された薬であれば、本人が持っていること自体は通常問題になりません。家族が保管や処分を考える場合は、本人と話したうえで、主治医やかかりつけの薬局に相談してください。処方された覚えのない薬や、本人以外の名前が書かれた薬が混じっている場合は、薬の入手経路に問題がある可能性もあるため、弁護士への相談も検討してください。
薬を飲まないなら通院の費用を出すのをやめてもよいですか
成人した子の通院費用を親が負担し続ける法的な義務は、一般には限られています。ただし、治療から離れることで状態が悪化するおそれもあるため、費用の出し方を見直す場合も、主治医や支援者と相談しながら進めることをおすすめします。
まとめ
子が処方薬を飲まない、ため込んでいると気づいたときは、薬を取り上げることより先に、主治医や薬剤師に家での様子を伝えることが出発点になります。命に関わるおそれがあれば119番を、薬を人に渡している疑いがあれば弁護士への相談を、と状況に応じて相談先を分けて考えてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


