【男女トラブル・マッチングアプリ】パパ活の相手が「警察に行く」と言い出したら?

若井亮

若井亮

テーマ:男女トラブル

パパ活で知り合った相手と関係がこじれたとき、相手から「警察に行く」「被害届を出す」と言われることがあります。言われた側は、逮捕されるのではないか、家族や職場に知られるのではないかと不安になり、相手の求めるままにお金を払ってしまいがちです。しかし、相手が何を理由に警察と言っているのかによって、取るべき対応は大きく変わります。この記事では、お金を渡した側・受け取った側それぞれの立場から、「警察に行く」と言われたときの考え方と初動を整理します。

本記事は2026年10月時点の法令に基づいて解説しています。刑罰は2025年6月の刑法改正後の「拘禁刑」で表記しています。


「警察に行く」という言葉が出てくる典型的な場面


言われる立場相手の言い分の例問題になりうる法律
お金を渡した側「実は18歳未満だった」児童買春・児童ポルノ禁止法、青少年健全育成条例など
お金を渡した側「同意していなかった」「勝手に撮影された」刑法の不同意性交等罪・不同意わいせつ罪、性的姿態撮影等処罰法
お金を受け取った側「お金をだまし取られた」刑法の詐欺罪
どちらの側も「払わないなら警察に行く」主に民事上の請求の問題(伝え方によっては恐喝罪)


 同じ「警察に行く」という言葉でも、相手が問題にしている事実は場面ごとに異なります。まずは、相手の言い分がどの類型にあたるのかを見極めることが出発点になります。

「警察に行く」と告げること自体は違法なのか

 被害を受けたと考える人が警察に相談したり、被害届を出したりすることは本来の権利です。そのため、「警察に相談します」と伝えること自体が、直ちに違法になるわけではありません。

 一方で、「〇万円を払えば警察には言わない」というように、警察への申告を取引材料にして金銭を求め、その要求が権利行使として社会的に許される範囲を超える場合には、恐喝罪(刑法249条、10年以下の拘禁刑)が問題になることがあります。言われた側に落ち度がある場合でも、要求の金額や方法によっては恐喝と評価される余地があります。この線引きについては「被害届を出す」と言われた|正当な権利の告知と脅迫の境界で詳しく解説しています。

 また、被害届が出されたからといって、すぐに逮捕されるとは限りません。警察が受理するか、どの程度捜査をするかは、相手の申告内容や証拠の有無によって判断されます。相談・被害届・告訴の違いについては事件は『いつ』始まるのか|相談・被害届・告訴・立件の違いもご参照ください。

お金を渡した側が「警察に行く」と言われたとき


「18歳未満だった」と言われた場合

 相手が18歳未満で、金銭などの対価を渡して性交や性交類似行為をした場合には、児童買春(5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)が成立する可能性があります。相手が16歳未満であれば、刑法の不同意性交等罪などが問題になる場面もあります。

 相手の年齢を知らなかったという事情は、犯罪の成否を左右する事情の一つになりえます。ただし、プロフィールの記載や見た目だけで判断していた場合には、「知らなかった」という説明が通りにくいこともあります。他方で、相手の言い分が事実でない可能性もあるため、慌ててお金を渡す前に、年齢を確認できる材料が残っているかを整理することが大切です。詳しくはパパ活相手が未成年だった|男性側の児童買春リスクと対応をご覧ください。

「同意していなかった」「撮影された」と言われた場合

 性的な関係に至った後で「同意がなかった」と言われた場合、2023年の刑法改正で新設された不同意性交等罪・不同意わいせつ罪が問題になることがあります。お金の授受があったことは、同意があったことを直ちに裏付けるものではありません。また、相手の承諾なく性的な姿を撮影していれば、撮影罪(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)の対象となります。

 こうした場面では、会う前後のメッセージや当日の経緯がどのように残っているかが重要になります。パパ活から性的関係に至った後のトラブル|対価と同意の評価やマッチングアプリで会った相手から被害届|経緯の記録が意味を持つ理由もあわせてご参照ください。

約束のお手当を払わなかったことを理由にされた場合

 性的な関係の対価としてお金を払う約束は、公序良俗に反するものとして無効と判断される可能性があります。そのため、相手が「約束のお金を払わないなら警察に行く」と言っても、未払いそのものは基本的に民事上の問題にとどまることが多いと考えられます。ただし、最初から払うつもりがないのに支払いを約束していたなど、経緯によっては刑事上の評価が問題になる余地もあるため、個別の事情を確認する必要があります。詳しくはパパ活の「約束したお手当」トラブル|口約束・条件変更でもめたらで解説しています。

お金を受け取った側が「詐欺で警察に行く」と言われたとき


贈与・貸付・対価のどれだったかを分ける

 パパ活で受け取ったお金が、もらったもの(贈与)だったのか、借りたもの(貸付)だったのかによって、返す義務の有無が変わります。書面によらない贈与であっても、すでに渡し終えた分は、あとから取り消すことはできません(民法550条)。これに対して、返す約束で借りたお金であれば、関係が終わっても返す義務は残ります。

 「あげたつもりはない、貸しただけだ」と言われた場合には、受け取ったときのやり取りの中で、返済の約束や期限の話が出ていたかどうかが判断の材料になります。

詐欺になるかは受け取った時点の事情で決まる

 お金を返せなくなったからといって、それだけで直ちに詐欺罪(刑法246条、10年以下の拘禁刑)になるわけではありません。詐欺が問題になるのは、たとえば実在しない留学費用や治療費を名目にしてお金を受け取った場合や、受け取った時点で返すつもりがなかった場合などです。

 実際に、関係が終わってから時間が経った後に、相手が詐欺として告訴するという相談も見られます。名目や受け取ったときの説明が問われるため、当時のメッセージを消さずに残しておくことが大切です。「詐欺だ」と言われて返金を求められている|民事の紛争と刑事の境界、借りた金を返せないと詐欺になるのか|借入時の欺罔の有無もご参照ください。

言われた直後にしておきたいこと・控えたいこと


  • その場で金額を約束したり、相手が用意した書面に署名したりしないようにします。
  • 相手とのメッセージ、通話の記録、送金の履歴は消さずに保存しておきます。
  • 会った日時や場所、当日の流れを、記憶が新しいうちに時系列でまとめておきます。
  • 「こちらも訴える」「家族に言う」など、言い返す形で相手を脅すような連絡はしないようにします。
  • 相手の自宅や職場を訪ねて話をつけようとすることは避けます。


 特に、不安からメッセージを削除してしまうと、自分に有利な事情まで確認できなくなるおそれがあります。証拠の残し方は男女トラブルの証拠の集め方|LINE・録音・写真を法的に有効にするで解説しています。また、「警察に行く」とあわせて家族や勤務先に知らせると言われている場合には、「家族と職場にバラす」と言われた|告知の中身別に見る違法性もご覧ください。

警察から連絡が来たときの考え方

 実際に警察から連絡が来た場合、多くは任意の事情聴取への協力を求めるものです。折り返す前に、何の件についての連絡なのか、どこの警察署の誰からの連絡なのかを確認し、できれば弁護士に相談してから対応することをおすすめします。詳しくは「警察から電話が来た」|折り返す前に確認したい3つのことをご参照ください。

 反対に、相手から繰り返し金銭を求められている場合には、こちらから警察に相談するという選択肢もあります。自分にも後ろめたい事情があると相談しにくく感じるかもしれませんが、その点も含めて整理したうえで相談先を考えることができます。自分にも非がある場合の警察相談|恐喝被害を申告する際の障害もあわせてご覧ください。

弁護士が間に入ると何が変わるか

 弁護士が代理人になると、相手とのやり取りは弁護士が窓口となり、ご本人が直接連絡を受ける場面を減らせます。相手の言い分のうち、法的な根拠がある部分とそうでない部分を仕分けし、請求に応じる必要があるのか、応じるとしてどの範囲なのかを検討します。

 話し合いがまとまる場合には、清算条項や接触禁止、口外禁止などを盛り込んだ合意書を作成し、後から同じ件を蒸し返されにくい形を整えます。すでに被害届が出されている場合には、刑事手続の見通しを踏まえて対応を組み立てます。当事務所で扱った事例として、【解決事例】パパ活相手からの高額な返金請求|弁護士の介入により支払0円で関係を清算した事例もご紹介しています。

よくあるご質問


「警察に行く」と言われたら、すぐに逮捕されるのですか

 相手が警察に相談したとしても、直ちに逮捕されるとは限りません。警察は申告内容や証拠を確認したうえで、捜査の要否や方法を判断します。ただし、相手の言い分に裏付けがある場合には捜査が進むこともあるため、早めに事実関係を整理しておくことが大切です。

脅されてお金を払ってしまった後でも、取り戻せますか

 恐喝や強迫によって支払ったお金については、返還を求められる場合があります。もっとも、相手の特定や支払いの経緯によって見通しは変わります。詳しくは払ってしまった後に取り戻せるか|恐喝・強迫を理由とする返還をご参照ください。

相手に本名や住所を知られていなければ、心配はいらないのですか

 本名を知られていなくても、送金の記録やアプリの登録情報などから身元がたどられる可能性はあります。知られていないことを前提に放置するよりも、相手の言い分を確認したうえで対応を考えるほうが安全です。

まとめ

 パパ活の相手から「警察に行く」と言われたときは、まず相手が何を問題にしているのかを見極めることが大切です。年齢や同意が問題とされている場合と、お金の返還をめぐる民事の争いにすぎない場合とでは、取るべき対応は大きく異なります。焦ってお金を払ったり、やり取りを消したりする前に、事実関係を整理することが大切です。

 相手の言い分が事実なのか、請求に応じる必要があるのかを一人で判断するのは難しいものです。相手と直接やり取りを続けることに不安がある場合や、すでに警察の名前が出ている場合には、早めに弁護士へご相談ください。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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