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平松幹夫

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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

コラム

マナーうんちく話2180《親の甘茶が毒になる!見習いたい江戸時代のマナー教育》

2023年6月1日

テーマ:マナーの心得

コラムカテゴリ:くらし

6月は旧暦では「水無月」と呼ばれますが、梅雨に入り、一年で最も水に関連が深い月なのに、なぜ「水が無い月」なの?と疑問に思う人も多いと思います。

「水無月」の「無」は「・・・の」という意味があり、水無月とは「水の月」ということになります。

田植えをするので、田んぼに水を引く月ということでしょう。

ちなみに5月は「皐月」ですがもとは「早苗月」です。

いずれも稲作で栄えた日本らしい素敵な名前だと思います。


早いところではすでに梅雨に入り、各地で田植えが始まる頃で、農家にとっては大変忙しくなる月ですが、それにしても最近子どもが田植えの仕事を手伝っている姿を見ることが少なくなりましたね。

機械化されたから不要になったのか、それともあえてさせないのか、よくわかりませんが、主食のコメ作りの苦労を小さい時に経験することは、この上ない食育になると思うのですが・・・。

昔の田植えは中腰で長時間、泥の田んぼの中で行う重労働です。
だからこそ「一粒の米も大切にする」という「勿体ない精神」が培われたのでしょう。

時代は変わり豊かで便利になった今、稲穂を見たこともない人も多いかもしれませんね。

日本人と最もかかわりが深いコメづくりについて、小さい頃から、大人が子どもに教えるのも大事だと考えますが、如何でしょうか。


江戸末期に日本を訪れた欧米の高官たちは、貧しくとも凛とした美しさの日本人女性に感動したといわれますが、日本の大人が、子どもをとても大事にしていた姿にも好感を持ったようです。

親が子を背負ったり、抱いたり、あるいは手を繋いだりしている姿は、しつけに大変厳しい欧米人には特に微笑ましく思えたのかもしれませんね。

しかし猫かわいがりではありません。

江戸時代の親は子どもに対して躾もきちんとしていたようです。


物質的に豊かで便利になった今の日本で、他人の子を叱ったら、下手をすれば訴えられるかもしれません。

うかつに他人の子のプライベートに踏み込むことは難しいでしょう。
互いに干渉しない風潮があるようですが、反面孤立感や孤独感を抱く人もいます。

昔は「親は無くとも子は育つ」といわれましたが、主に地域の人々の暖かい心遣いと自分自身の力で、実の親がいなくても子どもはどうにか育つという意味です。

今と比較にならないほど貧しかった時代に、子育ては周りの大人や地域が担ってきたのだと思います。
地域にそれだけの教育力が存在したともいえるでしょう。

当時の家庭では、親が子どもの躾もおろそかにしません。

ちなみに江戸時代の庶民の子の教育機関といえば「寺子屋」が一般的です。
ここでそれなりの教育が受けられますが、全て寺子屋に丸投げではありません。

先生に対する礼儀や挨拶などは家庭で親が教えます。

江戸時代の庶民の教育レベルは、日本が世界屈指の高い国であったと思われますが、子どもが寺子屋に入る前までは、家庭で親が必要最小限の躾を行っていたとか・・・。

そして寺子屋の教育内容も豊富で、歴史、地理、社会などとともに礼儀作法もあったようです。

恐らく敬語や食事の作法なども教えたのでしょう。

心の教育には重きが置かれ、多様な礼節教育に力がそそがれたようです。

「三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五里で末決まる」が江戸時代の教育の重要はポイントだったわけです。

「三つ子の魂百迄」といわれるように3歳までに心の大切さを教え、6歳までに箸使いや履き物の脱ぎ方・揃え方など基本的な躾を施したのでしょう。
家に客人が来れば、お茶も出したことでしょう。

さらに9歳になる頃にはコミュニケーションの大切さを説いていますが、特に商人を目指す場合は、9歳までに「世辞が言えて一人前」だったようです。

「世辞」とは単なるお世辞ではなく、お客様と良好な人間関係を築くためのいわゆる社交辞令です。

「マナーうんちく話」でも触れましたが「和顔愛語」の様なスキルも身に付けたのでしょう。

そして12歳になると手紙のやり取りができるようになり、15歳でモノの理屈を理解するよう教育を受けるわけです。

「鉄は熱いうちに打て」といわれますが、とにかく学ぶ点は沢山ありますね。


江戸時代の庶民の教育施設は全国にたくさんありますが、読み書きや算盤を始め、歴史や地理のような学問以上に、躾を重視していた点が素晴らしいです。

学問より「礼節」に重きを置いたということが大きな特徴で、今と異なるところです。

江戸時代は世界に類を見ない平和な政権が250年以上続いたおかげで、多彩な文化が開花し、経済が豊かになり、社会活動が活発になったので、商家にとっても農家にとっても、一人前の人間を育てることが大事になってきたからだと考えます。

それに加え立派な指導者にも恵まれていたのではないでしょうか。
ここが素晴らしいですね。
羨ましい限りです。


ところで「親の甘茶が毒になる」という言葉があります。
子どもを甘やかして育てると、その子のためにならない。むしろ毒になる。という意味ですが、今の日本は豊かになり過ぎたせいか、まさにそうではないかと思います。

親の躾が甘いということです。

偏差値至上主義の家庭が多く、偏差値教育には熱心になっても躾は家庭ではほとんど行わない・・・。
学校では英語や数学や国語などの成績がいい子が「良い子になる」。
これで本当にいいのでしょうか。

社員研修などを通じ痛感します。

いったいいつからこのようになったのでしょうか。

「子は親の背中を見て育つ」といわれますが、先ずは大人が良い手本を示すことが大事ですね。特に社会的影響力の高い人は・・・。


江戸時代も今も、子どもは常に「社会の宝」です。

だからこそ、幼い頃から日常生活や社会的マナー、そして公共道徳などを厳しくしつけたいものですね。 

子が非礼を犯しているときには、大人はその場で間髪入れず注意することが望ましいのですが・・・。
「かわいい子には旅をさせる」必要があるということです。


また全国的に子育てが大きな話題になっていますが、ほとんどが金銭的な支援が多いように思います。
江戸時代や戦前のように、マナー教育に力を注ぐ政策は殆どありません。

かつて「礼節の国」といわれた日本で、礼節教育は欧米に遅れを取ってしまっていると思うのですが、ここに焦点が当てられないのがとても寂しい気がします。

この記事を書いたプロ

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