マナーうんちく話2157《誰かに教えたくなる「歳神様とお年玉と数え年の関係」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

間もなくお正月。
何十回も経験した正月ですが、正月行事に関しては、知っているようで、実はその由来や意味を勘違いしたり、正しく理解できていなかったりすることが多いのではないでしょうか?

勿論それはそれでいいと思います。
大切なことは自分流に日本のお正月を楽しむことではないでしょう。

そしてその際、その背景には、長い月日を経て育まれた豊かな文化が息づいていることを思い浮かべて頂けたらと思います。

ところで日本の年中行事の数は世界的に見ても大変数が多いといわれていますが、中でも正月行事は神様に由来するものが実に多いようです。
いわゆる歳神様ですね。

ちなみに歳神様については来年の正月に詳しく触れますが、実は日本では元日になれば、皆一様に歳神様からお年玉をいただきます。
お年玉の内容は「年」です。

昔の数え年では、みんな一様に正月になれば1歳加算されます。
昔は個人の誕生日を祝う習慣はありません。

ただ明治になり旧暦と同じく、数え年も西洋の風習に合わそうということで、「年齢計算に関する法律」が出来たようですが、庶民には普及しなかったようです。

その後昭和24年に「年齢の唱え方に関する法律」施行され、すべてが今の満年齢になったということです。

経験した正月の数である「数え年」より満年齢の方が若返り、さらに正確な出生届も促進され、国際的にも都合がよくなり、今ではすっかり浸透していますね。

ただ、歳神様からの贈り物という概念はうすらいだでしょうね。

またお年玉の起源は、一年の初めに賜るので「年賜」という説もあります。

さらに歳神様にお供えした鏡餅を、歳神様がお帰りになるタイミングを見計らって、その家の家長が「お下がり」として、子どもや使用人、あるいは分家に与えたからともいわれています。

なにぶんにもその家に里帰りされた歳神様が宿っていた鏡餅ですから、歳神様の魂が籠っています。
だから「お年魂」になるわけで、お年玉の起源は「餅」ということになります。

歳神様の魂が籠っている鏡餅を、家長が子どもや使用人や分家に配ったいきさつから、今でもお年玉は上位者から下位者に贈るのがマナーです。

このようにお年玉の起源は鏡餅ですが、今のようにお金になったのは、昭和の高度経済成長期頃からだと思います。

つまりお年玉がお金になったのはごく最近ということです。
私も幼い頃に、近所からつるし柿やお菓子を、懐紙や半紙に包んでいただいた記憶があります。

そして最近はポチ袋などに入れたお金が主流になりましたが、スマホ全盛になり、お年玉のキャッシュレスもあるとか。

一年の五穀豊穣や家族の健康をかなえて下さる、ありがたい歳神様の魂が宿っているお年玉が、時代の流れを受けデジタル化した。

個人的には寂しい限りで、本当にこれでいいのか?
首をかしげたく思います。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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