マナーうんちく話553≪「和の作法」と「一回一動作」のお勧め≫
我が家の花壇に、甘い香りのする金木犀の花に続いて、精魂込めて育てた菊の花が咲き始めました。
奈良時代に薬草として中国から伝わったといわれる菊は、解熱効果や邪気を払い長寿を得るとも・・・。
そんな菊で今年も手作りの「菊酒」や「菊枕」や「菊風呂」を楽しんでいます。
ところで「秋」の語源は、新米を始め、食べ物が飽きるほど市場に出回るので「飽きるが秋」になったという説が有力ですが、「食欲の秋」真只中の10月9日に「百歳時代を楽しく賢く生きる大人の食育講座」を、和気町中央公民館大集会室で開催しました。
第1部は「講話」、第2部は「グループワーク」の2部制での開催です。
第1部「講話の内容」
〇現代食生活の課題と、食に関する身近な話題や言葉
・食料自給率がカロリーベースで約38%を推移し、先進国ではワーストクラスの日本人が、世界で最も贅沢な食生活をしている現実に触れ、「一見豊かそうに思える食生活の様寒とした現実」について。
・「コケッココ(鶏)症候群」に触れ、子ども、若者、中高年齢者の深刻な「孤食」の現状について。
・「お家ごはん」がコロナ禍で増加したが、家庭の食卓で、親が子どもにテーブルマナーを教えることができない現状について。
〇日本の年中行事と行事食
・五節句、正月と盆、春と秋の彼岸を始め、祭りや子供の成長過程における祝い事などの行事食の由来や、そこに込められた先人の思いなど。
〇世界が認めた和食の魅力と精神文化
・和食と四季との関係や箸に込められた精神文化、年中行事との関りなど
〇和食のテーブルマナー&精神文化
・美しい箸使いや器の扱い方(演習)
・和食の精神文化
〇心が通う食卓づくり
・先ずは台所をきれいに
・食卓に四季を・・・
・家庭における豊かな食卓⇒「共食」の勧め
・地域コミュニテイーにおける共食の勧め
・・・休憩と体ほぐし体操・・・
第2部「グループワーク」の内容
・互いの自己紹介
・リーダーと記録係と発表係の選定
下記の課題についてリーダーが進行係になってフリートーク後、グループとしての意見をまとめて頂きました。
①世界3大食法で「箸食」は韓国、中国などは箸を縦にセットするのに対し、日本では箸先を左にして、横向きに並べてセットします。
その理由を考えて下さい。
②お節料理の販売合戦が始まっていますが、そもそも「お節料理」とは、どんな料理でしょうか?
③子や孫が左手で箸を使う。どう思いますか?
1,多様性を認める時代だから、そのままで良い
2,極力右手で持つよう教える
④今まさに食欲の秋真最中ですが、食欲の春、食欲の夏、食欲の冬という言葉はありません。なぜ食欲の「秋」なのでしょうか?
⑤「9里よりうまい13里」といわれます。
では13里とはどんな食べ物?
以上の問いに対し、各グループの発表係がそれぞれ意見を発表していただきました。
さすがに①は難易度が高いせいか、完璧といった答えは聞けませんでしたが、50代から80代の参加者には、いろいろな視点で大いに検討していただきました。
とてもユニークな回答もあり「なるほど、このような捉え方があるのか」と感心させられました。
ハッピーライフ創造塾の講座では過去に何度も「和食のテーブルマナー」「洋食のテーブルマナー」「料理教室」「カフェ」「栄養講座」などなど、大人の食育講座を開催していますので、今回の講話は、食事を楽しむという視点での、やや難易度の高い講座に仕上げました。
自国の食文化を次世代にも教えて頂きたい、との主催者や講師の思いもあります。
①の「箸を横に並べてセットする」理由はほとんど知られていないので、座礼の扇子を用いた挨拶を例に実演での解説をしました。
食育講座を開催していつも痛感することは、日本の素晴らしい食文化が年々影を潜めてきたこということです。
国際化とは、むやみやたらに欧米文化の影響を受けるのではなく、先ずは自国の文化を理解し、それを次世代に伝承するとともに、積極的に国際社会に向けて発信することだと考えます。
今回は冒頭で「孤食」の深刻な課題に触れ、一人での食事をいかに楽しくするかについてマナー講師の立場でお話ししましたが、特に該当する人が多く、喜んでいただきました。
コロナもだいぶ落ち着いてきたので、今後は出来る限り話し合いの機会も設けたいと思っています。
出前講座(出張)講座も可能です。
10人前後の小グループから、大人数までお気軽にお声をおかけください。
特に教育機関、子育て・孫育て中の人、高齢者グループ、各種団体の方々にお勧めです。