まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
令和4年7月23日は二十四節気の一つ「大暑」。
暑い夏本番ですが、日本の夏は夏祭り、風鈴、浴衣、団扇、花火、蚊帳(かや)など、豊かな風物詩が目白押しです。
同時に食中毒が多い時期ですが、先人は食中毒のような穢れを仰いで払うために「扇子」を考案しました。
暑さだけでなく夏の穢れも仰ぐために、この時期「扇子」を持ち歩くのもお勧めです。
ただし扇子のマナーも大事にして下さいね。
※《マナーうんちく話2131「満ちれば欠ける!品格が出る扇子のマナー」》を参考にして下さい。
また7月23日は「土用丑の日」でもあります。
ウナギが最も売れる日ですが、今年は物価高のあおりを受けて「鰻重」や「鰻丼」も高騰しているようですが、それでも需要は相変わらず多いようですね。
なんだかんだと言っても豊かになったということでしょうか。
暑い夏に体力をつけるためにウナギを食べた先人の知恵には感心しますが、それが栄養学や医学が発達した現代まで脈々と続いているのは、単に栄養学的側面のみならず、主食のコメと相性がいいということと、かば焼きといった美味がたまらないということでしょう。
ところでかば焼きが登場した江戸時代には、鰻の専門店が多くあったようですが、これらの店では「鰻丼」には割りばしを添えていたようです。
当時、割り箸は「引き裂き箸」といわれており、鰻丼を食べる時に真新しい引き裂き箸を割って、「清い」という証明にしたとか・・・。
清浄を尊ぶ日本人ならではの発想ですね・・・。
そして客が使用した引き裂き箸は、再度箸の業者に回収され、業者はその引き裂き箸を今度は「丸箸」に加工して再利用したという説があります。
頭が下がりますね。
ちなみに世界には「手食」「フォーク・ナイフ・スプン食」「箸食」の「世界3大食法」がありますが、日本で手食を推奨したのは聖徳太子だといわれています。
以来日本の箸食は朝廷を中心に発展するわけですが、戦国時代には千利休が箸に関して厳格な作法を定めました。
そして江戸時代には食文化が広く発展し、庶民の間でも割りばしが普及しますが、今では年間250億膳使用されるとか・・・。
さて「割りばしのマナー」ですが、左右に割るのではなく、上下に割るようにして下さいね。
水平にして、箸先は左に向けます。
終われば箸袋に丁寧に戻してください。
箸袋の下を裏側に2センチくらい折っておくと、この箸は「使用済み」ということがわかりますね。
割りばしは2本の端の根元がくっついているので、割られていません。
つまり誰が見ても未使用、つまり衛生的であるということが理解できますが、江戸後期には庶民の間でも衛生意識が高かったのが伺えます。
加えて、日本の飲食店で供される割箸は殆ど無料です。
日本の飲食店がいかにおもてなし精神を発揮しているかということです。
素晴らしい文化だと思います。
また割箸の袋にひらかなで「おてもと」と書かれていますが、これは手元に置く箸「お手元箸」という意味です。
今では気軽に割箸を使用しますが、お祝い事や神事で割箸を使用するときには、「事を始める」という意味で使用されることがあります。
だから美しい箸使いを心がけて下さいね。