まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
正月を迎える前には「冬至」と、数ある日本の行事の中でもビッグイベントになっているクリスマスの存在があります。
ポインセチヤの赤やヒイラギやモミの木の緑など、クリスマス色に染まった商店街を歩めば大人でも胸が高まります。
すっかり定着したクリスマスケーキやクリスマスプレゼントが、飛ぶように売れる時でもあります。
そのクリスマスには様々な説がありますが、もとは冬至が起源だとする説が有力なようです。
12月22日の「冬至」は一年で最も日射しが短い日で、夏至の反対です。
大昔、自然に寄り添って生活していた人々にとって、太陽の明るさや暖かさは命を繋ぐうえで、大変貴重な存在です。
日本人も西洋人もここは同じでしょう。
だから日射しが最も弱い冬至の日は、一年のうちで最悪の日で、こんな時は火を焚いて祈りをささげるわけですね。
この火祭りとキリスト教の風習が融合して、現在のクリスマスのもとになったという説があります。
また太陽が最も遠ざかり力が弱くなる日は、実は復活の起源になるわけです。
冬至の次の日から日射しは確実に長くなっていきます。
日本では「一陽来復」という言葉があります。
冬至を境に、これから運気は上昇しますよという意味です。
朝の来ない夜はない。
冬の次は必ず春になるわけですね。
日本では昔からカボチャ(南瓜)を食し、ゆず湯に入る習慣がありますが、ゆずは旬の食べ物で、夏野菜のカボチャは保存性がよく、夏に収穫しても十分この時期まで保存できるからです。わが家もそうです。
ちなみにカボチャは「南瓜」とも呼ばれ、「ん」の字がつきますから、レンコンや金柑などと同じように、縁起が良い食べ物だといわれています。
日本人は日射が最も弱い冬至に「ん」のつく食べ物を食べて「運」を呼び込もうとしたわけです。
中でも「レンコン」「銀杏」「金柑」「人参」「寒天」「うんどん」など、「ん」が二つ付いている食べ物は、より効き目がいいと考えられたわけです。
またカボチャは栄養価が高く、冬になり野菜が少なくなる時期は重宝します。
私はカボチャが大好きですから、毎年11月になるまで畑で作っています。
霜が降りる前に収穫したカボチャは、来年の春まで十分持ちますのでありがたいです。
昔の人が行った「冬至の火祭り」は日本も西洋も同じのようですが、日本の正月には「松」を使用し、西洋のクリスマスには「もみの木」が使用されます。
いずれも常緑樹で一年中緑が絶えないので、縁起が良いとされています。
もみの木は切っても、葉が落ちないからツリーに使用されたのでしょう。
先人の知恵は実に素晴らしいですね。
それにしても日本古来のしきたりと、西洋のしきたりが同時に味わえる日本は本当にいいですね。
神道や仏教が多神教であることと、日本が物質的に豊かな国だからでしょう。