マナーうんちく話139≪贈り物の頂き方のマナー≫
【贈答の心得】
贈答は、相手への気持ちをさらに解りやすく形にして伝える手段ですが、日本の贈答は神道の影響を強く受けています。
また農耕文化で栄えた日本において、農民が収穫と互いの協力を喜び、祝う姿が贈答の在り方だったといえます。
時代は大きく変わりましたが、今でも物のやり取りは、互いの仲をより深めることに変わりはありません。
つまり贈答の本来の目的は、品物に真心を添えて相手に贈り、人間関係をより豊かにすることにあります。
ただ自分がどんな気持ちで贈り物をしたいのか、その目的を明確にすることが大切です。
【進物と贈り物】
人に差し上げる品物のことを「進物」とか「贈り物」とか表現しますが、進物は古くから用いられた言葉で、贈り物は比較的新しい言葉です。
従って違いは殆どありませんが、しいて言えば「進物」は献上品としての意味があるので、儀礼上や上位者への捧げものの意味があります。
一般的には下位者から上位者へ品物を差し上げる場合に使用されますが、立場に関係なく使用することもあります。
デパートなどでは「ご進物用ですか?」「熨斗紙はどうしますか?」などと聞かれる場合がありますね。
ちなみに昔は大名などの献上品の番をする「進物番」とか、朝廷や公家への進物を担当する「進物奉行」などといわれる役職が存在していたようです。
一方「贈り物」は広くお互いの贈答品という捉え方でいいと思います。
勿論贈る相手は誰でもいいわけです。
目上の人への挨拶などとして品物を差し上げるというより、なにか出来事があった時などに贈ったり、贈られたりします。
また人に品物を差し上げる時の改まった言い方に「贈呈」があります。
記念品などが多いですね。
【贈答品の形の整え方】
進物や贈り物になる品物は、贈答の目的に相応しい形式を整えて、初めて贈答品の体裁を成します。
形式がとても重要になるわけですが、体裁が整わないものは感心しません。
無作法になるということです。
では贈答品の体裁とは具体的にはどのような事でしょうか?
《マナーうんちく話》で何度も登場しましたが「包装の仕方」「リボンの掛け方」「熨斗」「水引」「表書きの書き方」など昔から多くの作法が存在します。
さらに複数の品物が入ったものの場合、慶事には奇数、弔事には偶数のものを贈るという昔からのしきたりもあります。
お見舞いの時の鉢植えや目上の人への現金など、様々なタブーもまだ根強く存在します。
贈り物をするときには「清浄」を意味する白い紙で包み、熨斗を付け、水引を結ぶ風習などは、その由来などを正しく理解していないと戸惑うことも多いと思います。
加えて改まった贈り物の場合は、贈り物の仕方や贈る際の口上の述べ方など、とにかく多くの作法が存在するのが日本の贈答のむずかしさでしょう。
次回は熨斗の由来についてわかりやすく触れておきます。