マナーうんちく話2052《先祖に感謝し思い出話に花を咲かせたいお盆》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

新聞を広げてもテレビを見てもオリンピック、オリンピック、そしてアナウンサーの熱狂報道・・・。

一方新型コロナは猛威をふるい続けており不安や心配は募るばかり。

もっと真摯に伝えなければならないことがあるのでは?と大きな矛盾を感じています。

コロナ対策やオリンピックを経験して、知事や国会議員を始め、指導的立場にある人の人格や資質を疑った人は多いのではないでしょうか。
今の報道の在り方にも大いに疑問を感じます。

ところで相変わらず厳しい暑さが続いていますが、間もなく淡黄褐色の体調が5㎝くらいのトンボの群れが飛び交うようになります。
恐らく都市部でも見かけるでしょう。

正式な名称は「薄羽黄トンボ」ですが、地域によって「仏トンボ」とか「精霊トンボ」とも呼ばれます。

トンボは日本では神話の時代からなじみの深い昆虫ですが、昔の人はお盆がまじかになると、精霊トンボが先祖の霊を運んでくると考え、丁重に迎えたわけです。

また、お盆は仏様が里帰りされる日で、昔から「ハレの行事」は控えるよう言われたものでした。

私も幼いころに、お盆になると水泳なども控えるよう親から言われた記憶があります。

理由は何だと思いますか?

盆になると水辺に霊が集まりやすくなるので、川に引きずり込まれる危険があると考えられていたようです。

ちなみに「盆」は、今では配膳などに使用される平たいトレー(器)を指しますが、本来は霊に対する供物を置く容器のことで、それが供物を備えて、祀られる精霊の呼称になったわけですね。

四季の豊かな日本では、一年に二度、つまり春と秋に祖先の霊が子孫のもとに里帰りし、交流すると考えられていたようです。

従って「盆」とは、初秋になって生前に過ごした家に先祖の霊がかえられるので、それをお迎えして、供養(おもてなし)して、またお見送りする一連の行事ということになります。

今でも夏になると全国各地で「盆踊り」が開催されますが、その盆踊りは、初秋に里帰りした先祖の霊をもてなすために行われた「念仏踊り」が起源だといわれています。

やがて時代の流れとともに農村の娯楽になり、さらに村の若者の出会いの場や婚活の場になったといわれています。
地域住民の交流の場となり、村人同士が絆を深めたのでしょうね。

もともと盆の行事は、公家や武家や僧侶のような特権階級の行事でしたが、今のようにお盆の行事が庶民に普及するのは江戸時代になってからだといわれています。

江戸時代は衣食住も豊かになり、いろいろな産業や文化が花開きますが、盆に必要な「提灯」や「迎え火」用のロウソクが大量生産されるようになったことが、大きな原因でしょう。

庶民は普段は菜種油のような安価な油を使用しますが、盆は特別な日ですから、高価なロウソクを使用したようです。

今年もコロナのせいで、盆に帰省できない人が多いと思いますが、たとえ遠く離れていても先祖をしのび、感謝したいものですね。

次回は令和とコロナ禍のいま、改めて盆の意味や意義を考えます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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