マナーうんちく話1764《逝き方の選択とそのお作法・不作法①》
【神様からの素敵な贈り物】
自然と共生し平和な社会を築いてきた日本人は、二度に及ぶ世界大戦で大きな打撃を受けました。しかし、その後経済を活性化させ、栄養・衛生状態を改善するとともに医療技術や医療制度を向上させました。
そのお蔭で神様から、世界がまだ味わったことがない「長寿」という素晴らしい贈り物を授かりました。
神様の粋なはからいで「二毛作の人生」を謳歌することが与えられた以上、これから先の人生は、思いきり、自分のために生きることもいいでしょう。
ちなみに、人生のリセットには「心と身体の健康」が必要不可欠ですが、カラオケ、グルメ、旅行、ゴルフ、俳句に短歌など、自分のためにだけ生きることは実は難しいというのも実感です。
【デジタル化の加速と新型コロナで生活様式が大きく変化した】
またデジタル化の加速に加え、「新型コロナ」という予期せぬ出来事にも遭遇し、従来の価値観が通じなくなってきたようです。
高齢者にとっては非常に厳しい現実ではないでしょうか・・・。
そこで新たな高齢者観や価値を加味する必要が生じてきました。
まず目先のコロナ対策ですが、幸いにも高齢者は「ワクチン接種」がすすみリスクが大幅に低減しました。
このことは素直に感謝したいものです。
しかし万全とは言い切れません。
それどころか感染拡大が続いており収束のめどが立っていません。
ただ、今まであまりにも高齢者は自粛生活が長かったので、それによる身体的・精神的虚弱に陥っているのも確かです。
運動不足による影響は筋力・筋量及び認知機能の低下をきたします。
さらに人との接触が不足すれば、物忘れも進行し。また生きがい感の喪失にもつながります。
感染症対策ばかりではよくないということです。
ではどうする?
守りと攻めのバランスを上手にとりいれることに尽きると考えます。
【新型コロナ対策】
しばらくは暑さ対策とともに3密回避の基本を徹底し、自粛生活で虚弱化した心と体を復活させることが必要です。
基礎疾患がある人はそれを改善させ、適度な運動や食事に気を配ってください。
特に古今東西「生きることは食べること」ですから、食事の在り方に重きを置いて下さい。
単に栄養的側面のみならず、誰とどのような雰囲気で食べるかという点にも留意してくださいね。
「楽しくて、賢い食卓」の実現です。
そして社会的な活動も大切です。
ちなみに「社会参加活動」とは就労、習い事、地域活動、ボランティア等も含まれますが、これらの活動により心の豊かさや生きがいを充足することが可能です。
要は身体的活動と社会的活動の融合ということです。
【大切にしたい地域貢献という視野】
また60歳代、70歳代の人は自分の時間を、自分が生活している地域の人たちと共に、地域のために使ってほしいものです。
そうすることにより地域が喜び、自分も喜びが得られます。
元気なうちは、福祉の対象にはできる限りなりたくありません。
長年の経験や知識や知恵やスキルを活かす場があるといいですね。
なんといっても元気な高齢者には、長年培ってきた多彩な経験や知識や知恵があります。まさに「亀の甲より年の功」で、それらに新たな価値を添えて、地域に還元することは素晴らしいことだと思います。
コロナで疲弊した今こそ、シニア世代の底力を発揮し、自分も輝き、世間のお役に立つ生き方をしたいものです。
とはいえ、個人差はあるものの、ほとんどの人は要介護者予備軍です。
PPK(ピンピンコロリ)は理想ですが、現実は認知症、寝たきり、コロリのNNK(ネンネンコロリ)です。
今のうちに要介護状態になっても、希望の持てる生きがいづくりをお勧めします。
【生涯学習の必要性が大きく浮上してきた】
ただしこれだけでも不十分です。
激変する技術革新への追従や健康寿命増進が大きな課題です。
そのためには生涯にわたり学習する必要があります。
ちなみに「生涯学習」とは、長い人生を豊かに生きるために、生涯にわたり主体的に学習することです。
経済や社会が刻々と変化し、従来の価値観ではもはや対応できなくなった面が多々あり、新たに知識や技術の習得が必要になってくるわけです。
さらに物の豊かさから「心の豊かさ」を求める人が増えてきたことも確かですね。
そして生涯学習には大半のシニアは関心を寄せていますが、最近は民間のカルチャーセンター、大学、専門学校、及びテレビ、ラジオ、インターネット等もとても充実しております。
ただし地域により環境差が大きいのが現実で「知的格差」も心配です。
その点どこの地域にも存在する「公民館講座」等の利用はとても手軽で安心です。
またそれを通じ「新友」ができるなど、新たな触れ合いが可能になるでしょう。
【高齢期を《幸齢期》にするハッピーコミュニケーション術】
高齢期を「幸齢期」にするには健康・生きがい・お金・生涯学習などのキーワードが浮かんできますが、10年以上高齢者の健康・生きがいづくりに関する講演で痛切に感じることは、高齢者のコミュニケーション能力です。
1年半以上コロナによる自粛生活を経験して、人との関りがいかに大事か?を改めて実感した人も多いと思います。
オンラインによるコミュニケーションが推奨されていますが、やはり最終的には対面での交流に行き着くと考えます。
ちなみに身近な人との良好な人間関係づくりは、手間暇かけ、ギブ&ギブの精神で、見返りを求めないことですが、何にもましてコミュニケーションは大切です。
残念ながら日本人は良いところを沢山持っていますが、笑顔、聞き上手、先手必勝の挨拶、褒め上手などのコミュニケーションが苦手な人が多いのが現状です。
この事は高齢社会から「超高齢社会」に変化した今も変わっていない気がします。
【終活はその意味と意義を正しく理解することが大切】
その割には最近の多くの高齢者は、歳を重ねるほど「終活」に熱心な人が増えているようですね。
日本の高齢者は3600万人以上で、そこに向けて果敢な終活ビジネスが展開されているわけですから頷ける話です。
しかし終活は往々にして、その道の専門家が自分の専門分野に絞って話を展開している傾向があるように感じます。なかでもエンディングノート、葬儀、死に備えた身辺整理などがおおいようなきがします。
もちろん家族や遺族に迷惑がかからないように、それなりの備えをしておくことも大事なことだとは思いますが・・・。
ただ、今一度日本の高齢社会の現状を把握して下さい。
60年から70年前までは確かに「老い=死」だったようですが、今の日本は世界屈指の長寿国になり、定年後の人生が大幅に伸びています。
つまり老いが死に直結しなくなっているということです。
サザエさんの父である波平さんの時代とは激変したということです。
だからまだ元気なうちは《いかに自分らしく輝いて生きるか》を前向きにとらえて頂きたいものです。
周囲と良好な人間関係が築けており、家族とのコミュニケーションがしっかりとれていれば何とかなるさというのが私の考えです。
また死に対する準備もいいかもしれませんが、仏教の本を読むこともお勧めです。
私もそうでしたが、今後の生き方や葬儀に対する考え方が大きく変わるでしょう。
今をいかに素敵に自分らしく生きるか?
自分が輝いて生きていけば周囲も喜ぶし、またそれが次世代や国際社会の模範になり、ひいては最高の社会貢献になるのではないでしょうか。
【死ぬまで生きよ!】
「何歳まで生きたいか?」という民間企業が実施した「寿命に関する実態調査」では、80歳代まで生きたいが約47%、90歳代までは27%、70歳代が19%でした。
そして100歳以上生きてみたい人は約7%という調査結果がありますが、私が毎回講演会で参加者にお尋ねする時の答えとよく似ています。
これをどうとらえるかは人それぞれですが、せっかく「人生百歳時代」といわれる国と時代に生まれ育ったわけですから、百歳まで元気で生きる気概をぜひ持っていただきたいと思います。
アメリカの詩人サムエル・ウルマンは、70歳を超えて作成した「青春の詩」の中で「青春とは心のありようだ」と説いています。
いくつになっても希望や信念や自信をもって前向きに歩みたいものですね。
ちなみに疑惑や恐怖や失望は老いを加速させるそうです。
また戦国時代の武将真田幸村は「死ぬまで生きよ!」という名言を残しています。
非常に単純なようですが、実に奥深い意味があります。
どんなことがあっても生き延びよ!
そのためにはどうするか?
戦国の武将は自分だけでなく、家来を多く召し抱えています。
もちろん家族も親族もいるでしょう。
そして多くの領民がいます。
だからそれらの人をいかに守り抜くか?を真っ先に考えないといけないわけですね。
つまり背負うものがあまりにも大きいので、本当に一生懸命生きるために、あれやこれやと考え抜いてきたわけでしょう。
今の日本の政治家とは重みが全然違うと思います。
だから歴史に残る名言になるのでしょう。
「青春とは心の様相を言う」にせよ、「死ぬまで生きよ」の言葉にせよ、まさにコロナ禍と百歳時代を生きる私たちにとって、よりよく生きるヒントを与えてくれている気がします。
人生百歳時代、最後の最後まで「生」に執着する気概こそ、これからの時代を豊かに生きるポイントだと考えます。
笑顔で、楽しく、自分流に歩みたいものです。
繰り返しになりますが、思いやりと感謝の心&コミュニケーション能力は必要不可欠です。
ぜひこの機会に身に付け家庭や職場や地域で素敵に発揮してください。
皆様の《これから》に「幸せの鐘」が鳴り響きますように・・・。
令和3年晩夏
ハッピーライフ創造塾 平松幹夫