マナーうんちく話516≪袖触れ合うも多生の縁≫
日本は4月が年度初めになる職場が多いせいか、入社式や人事異動などで何かと人が動く時期であり、期待と不安が入り混じる頃でもあります。
まさに4月は節目を象徴する特別な季節ではないでしょうか。
そして本人の意識と行動力が問われるときでもあります。
昔から「縁は異なもの味なもの」といわれますが、人の一生には様々な出会いがあり、それが人生に大きな影響を与えることが多々あります。
「一期一会」の気持ちで、一つ一つの出会いを大切にしていただきたいものです。
将来親友となる人との出会いがあるかもしれません。
また未来の伴侶との出会いになるケースがあるかも・・・。
新年度に遭遇する新しい出会いに対して、どのようなご縁が結べるかで未来が大きく変わるかもしれないということです。
「マナーうんちく話」でも触れましたが、先人は「袖振り合う縁も他生の縁」といって、いろいろな出会いを大切にしてきました。
それはコロナ禍の今でも同じだと考えます。
多種多様な出会いに対して、どのように振舞うかはその人の価値観であり、ある出会いにどのように対応するかは10人10色でしょう。
ただいろいろな出会いに対して感謝の気持ちを持ち、できる限り縁を活かす努力は大切にしたいものですね。
ところで現在、仕事に直結するコミュニケーション能力向上や、人脈づくり等に関する教本は多々あります。
しかしコロナ禍において人との接触が遠ざけられ、急激な出会いの減少が見受けられます。
改めて人と人とのつながりを再認識した人も多いと思います。
コロナ禍ですが、許す限り多くの人と直接交流するのもお勧めです。
多くの人と出会えば、多くの価値観があることを実感できます。
そして、いろいろな価値観に触れることでさらに視野が広くなります。
私は長年におけるホテル勤務を通じ、多くの人と出会い、多くの体験談を聞くことができました。
また交流のあった多くの人から新鮮な刺激も沢山受けました。
その人の有する知識、知恵、価値観、生き方、人柄などなど・・・。
もちろんコロナ禍ですから、インターネットや書物を通じて色々なことを学ぶのもいいと思いますが、直接人と交流して、そこから学ぶのが一番で、世界観が大きく変わることもあります。
また「類は友を呼ぶ」と言いますが、同世代や仲間同士のみならず、異世代や異業種の人との出会いも大切にして下さいね。
そして出会いがあれば「別れ」も当然あります。
この別れは実につらく、大きな悲しみを伴うこともあります。
心が痛みます。
しかし実は別れは自分自身を大きく成長させてくれます。
人は出会いで豊かになり、別れで逞しくなるということです。
涙をこらえ、弱い心に打ち勝つことで精神面が鍛えられるでしょう。
今を乗り越える努力も大切です。
ちなみに別れには「切る別れ」と「切られる別れ」があるといわれますが、離婚や失恋やリストラを経験した人も多いと思います。
いろいろな「理不尽な別れ」もあるでしょう。
落ち込むばかりではだめで、改善策を立て、それを行動に移す努力もたいせつにしていただきたいものです。
また新しい目標を定めるのもいいかも・・・。
先人は「粋な別れ」を大切にしましたが、いつの時代にも別れ際は大切にしたいものですね・・・。
「マナーうんちく話」でも登場しましたが、マナーの世界には「お迎え3分にお見送り7分」や「残心」という言葉があります。
さらに「有終の美」「立つ鳥跡を濁さず」という言葉もあります。
いずれも別れ際の大切さを説いた言葉ですが、別れ際にはその人の人となりが現れますね。
くれぐれも別れ際のマナーは大切にして下さいね。