マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止対策で、いろいろなものが大きく様変わりしています。
例えば新しい生活様式では食事の在り方が大きく変化し、テーブルマナーと長年向き合っているマナー講師としては大いにとまだいました。
加えて年末を迎えた今、年始・年末の風物詩「初詣」をはじめ、正月のありかた、そのものが大きく変わりましたね・・・。
マナーの視点での、今までの「当たり前」が、当たり前ではなくなってきた感があるということで、今回の激変ぶりは驚くばかりです。
特にオンライン食事会とかオンライン参拝とか、オンラインが大きく関与してきたことと、その裏にある経済優先主義ではないでしょうか。
時代の流れと素直に順応する人もいれば、戸惑いを隠せない人もいるでしょう。
特に「儲かればいい」「楽しければいい」というような「何でもあり」的風潮には戸惑うことも多々あります。
今回は年末・年始を控え、改めて「日本人と初詣」について考えてみたいと思います。
【日本人と宗教観】
現在日本では憲法で信仰の自由が認められています。
そして国教は定められていません。
様々な宗教団体が存在するのが現状で、日本には宗教団体が約182000団体あるといわれています。
なかでも神道系の信者が約8500万人、仏教系は約8800万人と圧倒的に多いのが現実です。
日本の人口が約12600万人ですから、この合計だけでも人口を上回ります。
おかしいかもしれませんが、複数の宗教を信仰する人や、信徒の基準が明確でない、さらにそれぞれの団体が多い目に申告しているのかもしれませんね。
キリスト教は洗礼を受け、イスラム教は入会儀式があるそうですが、仏教や神道にはそのようなものはないので、詳しい数字は把握できそうもないと思います。
【初詣は日本独特の世界屈指の宗教行事?】
初詣が今のように盛んになったのは明治に入ってからだといわれていますが、ほとんどの村には神社がありましたから、当時は地元の氏神様に参拝するのが主流だったと思います。
それが明治になって次第に交通機関が発達し、それに加えて旅行会社や旅館・ホテル、有名神社・仏閣等の営業戦略等が功を奏し、多くの国民が有名神社に参拝するようになったのでしょう。
この傾向は戦後、特に新幹線が開通してから顕著になったようですね。
しかし今の初詣は娯楽性が大きいものの、宗教施設である神社・仏閣への参拝ですから立派な宗教行事だと考えます。
そして今や初詣をする人は9000万人を超えているとか。こんなに大規模な宗教行事は、世界中にもそんなに例を見ないのではないでしょうか・・・。
もちろん、バレンタインデー、ハロウイーン、クリスマスなどすっかり日本に定着し、年中行事の中でも大変大きなウエイトを占めている宗教行事はありま。
ただ、これらはほとんどが日本では信仰の有無に関係なく、祈りも伴わないでしょう。となると初詣とはまた別の視点でとらえた方がいいと考えます。
次回に続きます。