マナーうんちく話1994《子どもの幸福度がワーストクラス!本当にこれでいいの?家庭共食の勧め》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

日本人は今、四季や自然の美しさに恵まれ、物が豊かで、平和で、医療や社会保障制度が完備し、法と制度を遵守し、秩序が維持された社会で暮らしています。

食料自給率は先進国でワーストクラスですが、世界屈指の贅沢な食生活を謳歌しています。文化・教育レベルも高く、平均寿命と健康寿命も世界トップレベルです。

果たしてこんな恵まれた国が、地球上にどれくらいあるでしょうか?
しかし日本人の「幸福度」はお世辞にもいいとは言えません。

さらに先ほど発表された日本の子の幸福感はとても低く、国連児童基金(ユニセフ)が、先進・新興国38か国の、子どもの幸福度を調査した報告書では37位でした。

身体健康では1位で、経済的にも比較的恵まれていたが、学校でのいじめ、家庭不和などで、幸福を感じていない実態が明らかになったと報じています。

「すぐに友達ができる」と答えた15歳の割合は、最下位クラスだったというのも気になるところです。

教育の在り方、家庭の在り方にも大きな原因があると思いますが、中でも《家庭における食事の在り方》を再確認したいものです。

いじめに走る子も、キレル子も、だらしない子も、食生活と関係が深いことはよく知られていますが、近年特に家族全員で食卓を囲むことが減少傾向にあります。

加えて、たとえ家族と一緒に食べても、大人は和食で、子はハンバーグなどと、ばらばらの食事も増えています。異なるものを食べて、どこが悪いの?と首をかしげる人もいるでしょう。勿論勝手です。

しかし、そのような食卓では、子どものわがままや、好き嫌いがまかり通るので、結果的には、ひねくれた子に育ちやすいと思います。

箸使いしかりです。箸使いも箸を使う人の勝手ですが、同じ食卓を囲む人に、不快な思いをさせないというのがテーブルマナーの基本です。

相手のことも考え、美しい箸使いを苦労しながら学習して身に付ければ、その子は自然にいじめに走らなくなるでしょう。

食育の重要性が見直されていますが、そもそも「食育」とは、単に料理を作り、教えるものだけではないはずです。

「食」は「人を良くする」と書きますが、食育とはまさに人生100歳時代をよりよく生きることを教えることで、いわゆる食を通じた人間形成でもあるわけです。

そして、その食育の第一歩が「家庭での共食」だと考えます。
つまり家庭で、家族全員が食卓を囲み、団らんの時間を作ることです。

特に朝家族が揃って、朝ご飯を共にとる努力はなりより大切だと思います。

朝、家族が揃って同じご飯を食べるということは、一日の活力源を摂取するとともに、子どもにとっては、「いつも家族と一緒」という安心感を与え、安定した情緒を養う効果も期待できます。

さらに家族そろっての食卓は、人間にとって生きる基本である「食べるという行為」についての「イロハ」を学ぶ場でもあります。

「コケッココ症候群」が問われて久しくなりますが、家族共食の習慣が崩れ、「孤食」が増え始めた頃から、いじめやキレル子が増えてきた気がしてなりません。

和食・洋食・ブッフェ等のテーブルマナーに30年以上関わっていますが、ここ10年くらいは「食卓から発信する家族のハッピーライフストーリー」というタイトルで、家族共食の大切さに触れ続けています。

家族がともに食事をする「共食の機会」を創意工夫して作りたいですね・・・。

農業・漁業等により生み出された食料に、家庭の調理が加味され、食卓になる。
その食卓で、日本の食文化の中心となる、稲作にまつわる年中行事も楽しんでいただきたいと考えています。
自然の恵みに感謝し、収穫の喜びを、家族や地域で共に味わえば幸福感は高まる。そう確信しています。
年中行事や人生儀礼の行事を、もっともっと家族で味わっていただきたいものです。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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