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平松幹夫

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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

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コラム

マナーうんちく話1951《戦時中の難局から生まれた「いただきます」の挨拶。コロナの今、学ぶ点は多々ある》

2020年5月11日

テーマ:日常生活におけるマナー

コラムカテゴリ:くらし

《目には青葉 山ほととぎす 初がつお》

この時期多くの人が思い浮かべる山口素堂の有名な句ですが、当時の江戸の町の、初夏の風情が感じられる作品です。

目で新緑を、耳でホトトギスの鳴き声を楽しみ、舌で初物の味を堪能するこの時期ならではの風情で、今物が豊かで便利な時代とはいえこんな贅沢は出来ませんね。

初物を好んだ江戸っ子は、季節の到来を告げる味を誰よりも先に食べることを喜んだのでしょう。

ところで日本には食事の前と後に、食材や料理を作ってくれた人に対して「頂きます」「ごちそう様」の挨拶をする習慣がありますが、この言葉は以前、60代から90代を対象に出版社が行った「孫の代まで残したい言葉」で一位になった言葉です。

外国では、食事の前に「祈り」をささげる習慣が存在する国はありますが、感謝の言葉を発する国は珍しいと思います。

もともと稲作を中心とする農耕文化を有し、神道や仏教を信仰する日本では、昔から炊き立てのご飯を神様・仏様・ご先祖様にお供えする儀礼的な習慣がありました。

わたしも幼い頃、そのように親からしつけられており、人間が食事をする前には仏壇や神棚にご飯を、お供えして食事をしたものです。
今でも神棚や仏壇がある家では、そのような習慣はあると思います。

さらに家族そろっての食卓では、食事の前に箸を持ち上げ、頭を下げていた記憶があります。神聖な食べ物を頂くという行為は、神様・仏様・ご先祖様への感謝の表れだったわけですね・・・。

それに加え、「頂きます」と「ごちそう様」の挨拶。

「自分の命を長らえるために卵、魚、肉、野菜、果物などの命を頂く」という意味と、「私を育てるために一生懸命働いて食べさせてくれてありがとう」という意味ですが、いずれも感謝の言葉で、この言葉の発想は実に素晴らしいです。

ではいつ頃、誰が作ったのでしょうか?

太平洋戦争の真最中だったといわれています。
長引く戦争と物資の不足で、コロナ騒動で苦しい思いをしている今より、もっと過酷な自粛や我慢を全国民が強いられた時で、言論統制もあったころです。

発信元は、当時の教育関係者といわれています。
戦局が悪化すれば都会では空爆の恐れがあり、学童疎開などが実施されるわけですが、今とは比較にならないくらい辛い生活だったと思います。

そんな状況下でも不平不満を言わず、感謝の気持ちを忘れないために作られたのでしょうか?それが戦後ラジオや新聞により全国へと広まったと思います。
作った人の本意はどこにあったのか推測しかできませんが、本当に尊敬に値します。

そしてそれから約80年経過した現在も、日本の食卓にすっかり根付いているわけですから立派だと思います。
当時の教育者や政治家は骨のある人が多かった事がうかがわれます。

昭和20年(1945年)に日本は終戦を迎え、荒廃した国を立て直すわけですが、素晴らしいリーダーシップを発揮した政治家が多く存在し、それに伴い国民が一致協力して頑張ったから、世界がうらやましがる復興を遂げたのでしょう。

ちなみに今や国民的漫画になっている「サザエさん」は1946年に掲載がスタートしましたが、まだ食べ物もまともに手に入らない混乱期に、苦労の連続ながらも、一生懸命けなげに頑張っていた人の共感を呼びました。

現在はライフスタイルが大きく変わり、一家だんらんの楽しい食卓は過去のことになりましたが、サザエさんに憧れ、だんらんを望む人は多く存在します。

団らんの条件は「感謝」「思いやり」そして「本音」です。
長引く自粛で何かと大変ですが、これを機会に家族内における感謝、思いやり、本音について考えてみてはどうでしょうか。

そしてともにコロナと戦っていきたいものです。
 

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