マナーうんちく話87≪ハッピーな食卓とは?≫
百花繚乱の一年で最も美しい時期ですが、コロナ騒動でストレスがたまりやすいと思います。春の息吹を感じながらストレス解消にスイーツを頂くのもいいですね。
江戸時代から酒好きを「上戸(じょうご)」、そして甘党を「下戸(げこ)」と呼んでいましたが、甘党の春を祝福するように多種多様なスイーツが勢ぞろいしています。
そこで和菓子に続き、今回は「洋菓子」の美しい食べ方に触れておきましょう。
子どもにもぜひ教えてあげて下さい。
今から約30年前に雑誌の影響で「ティラミス」が爆発的に流行し、その後お菓子、ケーキなどの糖分が高い食べ物を「スイーツ(sweets)」と呼ぶようになりましたが、今はスイーツといえば主に洋菓子を指します。デザートとも言いますね。
スイーツ(デザート)は種類も豊富で、大人にも子どもにも至福の時間を与えてくれますが、できれば美味しく、楽しく、美しく頂きたいものです。
まず和食は一部の大皿を除き、器を持ちますが、洋食は持たないのが基本的マナーです。これは和菓子と洋菓子にも当てはまります。
また和菓子は黒文字が使用されますが、洋菓子はカトラリー(ナイフ・フォーク類)が用意されます。店のサービスの仕方や、職場・家庭のもてなしの仕方などにより異なるものの、一般的にはデザートの基本はフォークです。
ちなみにフランス料理では肉料理の後にデザート(dessert)が出ますが、これはとても重要な意味があります。
和食は砂糖を使用しますが、西洋料理は砂糖をほとんど使用しません。だから人間の生理的欲望として、最後に甘いものが欲しくなるわけで、理にかなっています。
ところで家庭、職場、訪問先、喫茶店などでケーキを食べる際のポイントは、見た目を大切にして、最後までその美しさを保つことです。
イチゴのショートケーキやチーズケーキなどは一般的ですが、三角形のケーキは左側(尖った部分)から一口ずつ食べます。ちなみに尖った部分は左になります。
フォークで左端から縦に切って一口ずつ食べて下さい。次第に真ん中の部分に来たら今度は横に切って、その後同じように縦に切って食べればいいでしょう。
ミントの葉やイチゴ、キュウイ、ブルベリーなど果物が乗っている場合は、これらを先に取ってしまわず、その部分に来たら食べるようにすれば美しく頂けます。
タルトのように固い生地はナイフで切るのがベターですが、フォークだけですと、まずフォークを指して手前に寝かすように切ります。
ややこしいのはミルフィーユですね。横に寝かせて(手前に倒して)、左から一口大に切れば、比較的パイ生地がつぶれないと思います。しかしミルフィーユは、崩れても全く気にする必要はないでしょう。美味しさが引き立つかも・・・。
パンケーキは重ねたまま十字に切り、四分の一ずつ、上から一口の大きさで食べるようにします。
特に注意していただきたいのは、食べる時より食べ終えた時です。サランラップや銀紙などは小さくまとめて皿の上におき、フークを下側に置けばいいでしょう。
同じスイーツでも難しいのはフランス料理のデザートだと思います。
フランス料理では肉料理が終われば、塩・コショウ・パン皿、使用しなかったフォーク・ナイフが下げられ、フィンガーボールやスプン・フォークが用意されます。
フィンガーボールはブドウなど、手で食べるものに使用しますが、左上に置き、スプンは右、フォークは左です。
ケーキやパイならフォークを、アイスクリーム、ソルベ、プディングならスプンを使用しますが、使用しないカトラリーはそのまま食卓に置きます。食べ終わったらスプンは上向きに、フォークは尖った先が下向きでスプンの下に置いて下さい。
なおフィンガーボールは指先のみ交互に洗い、ナプキンで拭いて下さい。
アイスクリームに添えられている乾き菓子やプチフールは手で食べます。
いずれも前のめりにならないよう、姿勢を正しくしてくださいね。
最後にスイーツは、上戸も下戸も幸せをいっぱい感じながら召し上がって下さい。