マナーうんちく話342≪マナー美人⑨「旅館のマナー」≫
言葉には「話ことば」もあれば「書き言葉」もあります。
私は講演会講師ですが一方コラムも書いています。
上手下手は別にして、いずれも数だけはこなしたつもりですが未だ満足するには至りません。
ちなみに講演&研修会回数は計1000回を超えていると思います。
また「マイベストプロ」で発信したコラム数は計1800題になりました。
「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」といわれますが、お蔭をもちまして講演は全国各地から依頼をいただいております。
コラムは台湾人の愛好者がいます。
日本への留学経験もあり、日本語や日本の文化を勉強している女性です。
ところで書き言葉と、話ことばはかなり異なります。
例えば「拝啓」「敬具」「・・・けり」などは書き言葉で会話では使用しません。
逆に「ちょっと」「とても」「だから」「でも」は会話で使用しますが、手紙になると「多少」「非常に」「従って」「しかし」という表現に変わります。
最近では昔のように文語、口語というような明確な区別は薄れ、メールやスマホでも絵文字が登場したり、「AI」の進化により、文章も声で書くようになりましたね。
「読み・書き・そろばん」教育も大きな変革をもたらしたわけです。
しかし話をするときには、メールや手紙を書く時と異なり、瞬時に言葉を組み立て、考えるスピードと、話すスピードが、上手にかみ合わなければいけません。
特に私の場合はパソコン、プロジェクター、パワーポイントなどの道具を使用しないのでなおさら大変です。
講演では、お客様の顔や表情を伺いながら、身振り・手振りを添えるよう心がけています。
ただし、聴く側もそこは理解しているのであまり神経質になる必要はないと思います。
その点、書き言葉は読む側も考えながら読むので細心の注意が必要です。
そして文章にして綺麗につながっている場合は、話し言葉としても聞く側が納得し、伝える力もあると思います。
つまり上手に話そうと思えば、上手な文章を書けることが大切だと痛感します。
加えてそれに内容が伴うことも大切でしょう。
心を籠めるということだと思います。
書くときのポイントは「簡潔」に「要領よく」がおすすめです。
《一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ》は必要な用件だけを手短に表現した手紙としてとても有名です。
一筆⇒短い文章
啓上⇒差し上げる
火の用心⇒昔は木造建築で照明はローソクが多かったので特に火の用心には敏感
お仙泣かすな⇒「仙千代」という息子の名前。息子を大事にして下さいという意味
馬肥やせ⇒昔は、馬は大変貴重で、馬の管理をしっかりお願いするという意味
戦国武将が戦地から妻にあてた手紙ですが、明瞭簡潔に用件が表現され、しかも思いやりも感じられる名文句だと思います。
いつもだらだらとコラムを書いている私には大典参考になりますが、なかなかこの様には書けませんね。
話にしてもしかりです。
だらだら感がぬぐえませんが、その分心を籠めたいと思っています。
ちなみに「一筆啓上」は、男性が手紙の書き出しに使用する決まり文句のようなものですが、最近はめったにお目にかかることはありませんね。
話し言葉の「僭越ながら・・・」「一言申し上げます」なども日本人特有のへりくだった言い方で、外国の人には簡単には理解しがたい言葉ですが、どこか心地よい響きがあり、いつまでも残したいものですね。